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本日は性転ナリ。  作者: 如月アル
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胸の奥のコトバ

『すいません、これも一緒にいいですか?』


『えーっと、すいません。大丈夫だとは思いますが一応確認させていただいても?』


そう言って職員のおじさんがベイちゃんを指した。


『確認…ですか?』


『はい、最近のぬいぐるみには、中に燃え残ってしまう"スピーカー"や"モーター"などが組み込まれているものがありましてね。一応ですが…』


そう言って職員のおじさんはベイちゃんを手に持つと、グイグイと頭やお腹を押しだした。


『あぁ、すいませんこちら確認していただけますか?』


そう言って背中についたファスナーを開く。


『飾りじゃ無かったんだ。』


すると綿が入った布の間をかき分けて小さな四角い箱が露わになった。

そこには"DEMO"の文字と1、2、3、RECの文字が書かれたボタンが付いている。


『こんな機能あったんだ。』


稚華さんはそう言ってボタンを押す。


"ボクと一緒にあそぼーよっ♪"

可愛らしい声がスピーカーから流れる。


"楽しいなぁッ♪"


そうやってボタンを1つ1つ推していく。


"元気出してッ♪"


『こんな機能あるなんて嶺言ってなかったのに。』


稚華さんの顔が微笑む。


そして最後のボタンを押した。


"サァー…"

他のものとは違う砂嵐のような小さな音が流れる。


"ゴホンッ、えーっと…姉ちゃんたちこんにちはッ、"こんばんは"かな?…"


『嶺っ!!!』

その声は紛れもなくレイちゃんのものだった。

ノイズ混じりの音声が続く。


"あの…私が居なくなっても絶対悲しんじゃダメだよッ!姉ちゃん大好きだよッ!!それと…衣瑠ねぇ莉結ねぇも大好きッ!!私ホントーに幸せだったよ!!楽しかったよ!!私…後悔なんてこれっぽっちもしてないからッ!!えとそれと…お花見……ベイちゃんも連れてってね。私も…それでお花見できるから…それと…みんなと出逢えて本当に幸せでした…『嶺ーっ、誰と話してんのーっ??』な、なんでもないよッ!!"


……


私たちはその場で声を押し殺して泣いた。


『最後くらい…泣かないって…決めてたのに…嶺の…ばか…』


私たちは棺の中のレイちゃんにそっと声を掛けた。


「私たちも大好きだよっ。」






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