ふたり
シャトルバスを降りると、法被姿の群衆に混ざって目的地へと歩いていく。
『わぁー…すっごい人だね!!』
先ほどの件もあってか、レイちゃんも稚華さんの影から出てきてくれている。
後ろから見る2人は仲良く手を繋いで、理想の"姉妹"そのものだ。
「ねぇ莉結、あーゆーの良いよね♪」
『そーだねっ♪理想の姉妹ってカンジ♪』
「私たちって周りから見るとどう見えるのかなぁ??」
『えっ?まず"姉妹"はないよねぇー♪やっぱトモダチ?』
「だよねぇ♪トモダチだよねぇー…」
当たり前だ。それ以外どう見えるっていうんだよ。
そう思いつつも、自分でもよく分からない感覚に囚われた。
"トモダチ"という括りに違和感を覚えたのだ。
「ねぇ、私達も手、繋がない?」
『えっ?どしたの急に?』
自分でもよく分からないけど、そうしたいんだよ。と私の心が呟く。
「いいじゃん♪"女同士はフツウ"なんでしょ??それに、莉結ってすぐどっか行っちゃうじゃん♪
美味しそうなモノ見つけたりしてさ♪」
『なにそれぇー!!じゃぁ私は衣瑠が変な男の人にナンパされないように手を握ってあげよう♪』
そう言って莉結は私の手を握った。
そうだ♪こんな人混みの中はぐれちゃったらめんどくさいもんね♪そう自分に言い聞かせ、莉結の手をしっかりと握りしめる。
『おっ♪いい感じだねぇ♪そんなにしっかり手を結んじゃって♪逸れたらめんどくさいもんね♪ふふっ♪』
だ…だよねぇー。
なんか見透かされてる感半端ないんですけど…
『お姉ちゃん前向かんと危ないよ!!』
『おっ、ごめんごめん!!ところで嶺は何食べたい?お姉ちゃんおごってあげる♪』
ラッパの音が遠くに聞こえる。凧場まであとちょっと
だ♪




