表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/15

♯9 4月第4週【にゅーふぇいす?】

♯9です。新キャラです。疲れました。……ではお楽しみ下さいませ。

【航】

「そういえば、あの娘の事どうするの?」


【正義】

「接触して来ないんだから…別にどうもしないよ。多少迷惑だがな」


今週に入ってから、俺はある女子に追い廻されている。接触して来ないのだが、柱の影に隠れて此方に視線(睨んでる?)を向けてくる。


顔も見覚えがないし、話した事もない。恨みを買う様な事もしていない…正直うっとうしい。今の所は無視を決めこんでいるが……いつまでも続きそうで激しく不安だ。


今日は木曜日…俺は今、鳴海家のリムジンで学園に向かっている。隣に座った航は腕を組んで首を傾け、う〜んと唸っていた。


【航】

「どっかで見たことあるんだよなぁ〜?あの娘…思い出せないけど」


【正義】

「別にどうでもいいよ。どうせ…どっかのパーティーなんじゃない?この学園に通ってるくらいなんだ…お嬢様だろ?」


【航】

「う〜ん?…パーティーねぇ〜?……あっ!!!思い出した!。御堂グループのパーティーだ!…ほらっ!…フロンティアを経営してる」


フロンティア…ね。先週のデートを思い出すなぁ……俺にとっては踏み込む決意が固まって良かったが、美咲桜は辛いだけかもしれないな。


月曜日は明らかに空元気だったしな…観てるこっちが辛かった。昨日漸く普通に笑ってくれる様になった…場の空気を読んで、フォローしてくれた航と恋華には本当に感謝してる。…今日はどうなんだろう?…元気な顔を見せて欲しいな。


【航】

「マサ君どうしたの?…眉間に皺寄せて」


また顔に出たか…ポーカーフェイスってのは難しいモンだな。


【正義】

「考え事してた…御堂グループねぇ。…あのストーカーとは、やっぱり面識無いな」


【航】

「無視を続けるならどうでもいっか…あっ!芽衣先輩が門番してる、珍しいね?」


航の声に反応して車の進行方向に視線を向けた。校門の前に仁王立ちした彼女が居て、彼女の目の前に4人の男子生徒が正座していた。


【正義】

「本当だ…部屋(風紀委員教室)に居ないなんて珍しいな」


【航】

「アイツ等もついてないよね…厳しいもんねぇ〜芽衣先輩」


そんな事を話していると車が停まり、外からドアが開かれた。


【正義】

「ほらっ…着いたんだから降りるぞ?」


まだ前方を凝視していた航を車内に残して、校門に向かって歩きだした。


【航】

「ちょ…マサ君っ!待ってよ」


少し歩くと慌てて走ってきて隣に並んだ。そのまま歩き校門に近付いて行くと、彼女の怒声が聴こえてきた。


【芽衣】

「嫌がる女を4人掛かりで……お前等っ!男として恥ずかしくねぇのかよっ!!!」


正座した4人は顔を伏せて黙ったままだ。嫌がる女?…ナンパでもしてたのか?


【航】

「ねぇマサ君?…芽衣先輩の背中にしがみついてるの……あの娘じゃない?」


航の言葉に反応して、彼女の背後に視線を向けると……例のストーカー娘が居た。


【正義】

「本当だ……なんか震えてるな」


無理矢理に引き留めて腕でも掴んだのか?怯えてるなあの娘…可哀想に。


【航】

「マサ君?…………顔が恐いよ?」


【正義】

「だろうな…アイツ等にムカついてるからなっ!!!」


そう言い残してスピードをあげ校門に向かった。


【芽衣】

「何も言い返せないだろ?…1人でナンパも出来ないチキン野郎がっ!」


校門に辿り着き彼女の顔に視線を向けると、此方に気付き首を横に振った。…手を出すなという事か。俺が頷くと彼女は再び4人に向き直った。


【芽衣】

「男なら恥ずかしい真似をするなっ!…強引に話し掛けても恐がらせるだけだ、何故わからない?…相手の気持ちを少しは考えろよ馬鹿!。………もう行け、二度とこんな真似すんなよ!!」


【ナンパ×4】

「「「「スミマセンでしたっ!」」」」


4人は立ち上がり凄い勢いであの娘に近付き、深く頭を下げて走り去った。


【芽衣】

「ほらっ…もう大丈夫だ。これからは気を付けな」


彼女は優しく語り掛けながら、ゆっくりと体を離した。


【???】

「園田先輩っ!…助けてくれて、ありがとうございましたっ!」


深く頭を下げた後に此方を向き(睨まれた)


【???】

「……………フンッ!」


腕を組み鼻を鳴らして顔を背け、その場から走り去った。


【航】

「………思いっきり睨まれてたね?」


いつの間にか隣に居た航に、哀れみの視線を向けられた。


【芽衣】

「知り合いなんじゃねぇのか?…あの娘だよな?例のストーカー」


航の反対側に立ち、怪訝な顔で走り去る背中を指差した。


【正義】

「あのストーカー娘…何がしたいんだ一体?」


まだ考え込んでいる二人をその場に残して教室に向かった。






















あれから休憩時間の度に廊下から視線(睨まれた)を向けられた


今は4時限目のLHRで、再来週に迫った体育祭の出場種目を決めていた。


一人何種目出ても問題ない為、俺が寝ている間に(恋華&航の陰謀)徒競走系を8つも走る羽目になってしまっていた。



・学年別400

・学年別800

・全学年男女混合1500(各クラス代表者の男女各1名)

・全学年男子1500(各クラス代表者1名)

・借り物競争

・学年別200×4リレー

・全学年男女混合200×4リレー(色別に代表者男女各2名)

・クライマックス400×4リレー(色別に代表者4名)



大体赤組の推薦人が何で松原なんだよ。クライマックスリレーはポイント高いし、責任重大じゃねえか…俺。


【航】

「大丈夫だよマサ君っ!…1500とクライマックスリレー以外は俺も出るし、なんとかなるよっ!」


航が振り返ってそう言いながら肩を叩いてきた。


【正義】

「別に良いけどさ…玉入れとか綱引き出なくて済むし、でもクライマックスリレーがなぁ〜」


【航】

「大丈夫だよ。100を10秒台で走れるんだからさ…混合リレーは俺も出るし、頑張ろう?」


【正義】

「男子2人共1年かよ…先輩に足が速い人居ないのか?」


【航】

「マサ君が速すぎるんだよ…因みに恋華も出るよ、混合リレー」


言われてから黒板に視線を向けると、混合リレーの所に七瀬・鳴海・橘と書かれていた。……………この学園の先輩もっと頑張れよ…頼むから。


【正義】

「最早色別対抗じゃなくて、クラス対抗じゃねえか…後1人もウチのクラスで良いんじゃねえの?」


【航】

「なんか陸上部から選ぶらしいよ?…3年の先輩に、全中の時100で3位取った人が居るって言ってた」


混合リレーの勝ちは決まったな…航も100は11秒前半で走るし、恋華も女子の体力テストでタイム学年3位だったしな。女子の先輩も期待出来そうだ…200でも問題ないだろう。


【正義】

「じゃあ問題は混合1500とクライマックスリレーだな…青組には芽衣さんと美咲桜が居るし、メンバー次第じゃ間違いなく苦戦するな」




色分けはA組とB組が赤・C組とD組が青・E組とF組が緑だ。


芽衣さんは航より速いからなぁ〜。美咲桜は女子の体力テストでタイム学年1位…2人共持久力あるし侮れないな。


【航】

「2人共相当速いもんね…美咲桜ちゃんもやっぱり出るのかな?1500」


【正義】

「とりあえず芽衣さんは確定だろ、俺と殆ど互角だし…両方来るだろ。美咲桜は…解らないなぁ。まぁ昼飯の時に聞けば解るだろ」


【航】

「そうだね。…そういえばあの娘は昼も来るのかな?美咲桜ちゃんも恋華もなんか知り合いっぽいんだよねぇ」


そんな話初耳だぞ…恋華も知ってるって事は宮園繋がりか?だったら美咲桜に何が有ったか知ってるかもな……接触してみるかな。


【正義】

「その話本当なのか?……本当だったら話してみたいな」


【航】

「昨日移動教室の時に、3人で話してる所観たからね。かなり親しげだったよ?」


あの2人が俺と一緒に居ても近付いて来ないし…やっぱり俺に恨みでもあるのかな?ハァ〜…解らん。決めたっ!話してみよう。


【正義】

「今日話してみるよ…相手にしてくれるか解らんけど」


話しかけて逃げられたらどうしよう、明らかに敵意を向けてくるしな…もし逃げられたら凹むなぁ〜。


【航】

「きっと大丈夫だよ!…マサ君の事何か誤解してるかも知れないし」


【正義】

「誤解って何だよ?」


何か噂でもあるのか?聞いた事無いな…あっ!俺が何処かの会社の隠し子がナントカっていうのは聞いたな。どうでもいい噂だけど…関係あるのかな?


【航】

「いつもハーレムだよね…美咲桜ちゃんに恋華に芽衣先輩。ナンパ野郎のレッテルでも貼られてんじゃないの?」


ナンパ野郎…俺ってそんな風に見えてるのか?……ギャルゲー野郎にナンパ野郎って言われるとは………俺ってギャルゲー野郎以下なんだ。………ハァ〜…凹むなぁ〜。傷を付けられたお返しをしなければ……………いけないよなぁ?


【正義】

「大体恋華はお前のだろ?ハァ〜…まさか『ギャルゲー野郎』にナンパ野郎って言われるとは、思ってなかったよ鳴海君っ!!!」


いつの間にか寝ていた恋華に聴こえる様に、わざわざ『ギャルゲー』を強調して言ってやった。


【航】

「なっ!…なんて事を…危ないじゃないかっ!……ハッ…なっ何でもニャいんで続けて下さいっ!」


恋華が寝ている事を確認してホッとしている航に、周囲から生暖かい視線を向けられている事を教えてやった。ハッとして弁解を試みる航に、皆クスクスと笑っていた。


【正義】

「プッ…何でもニャいねぇ〜。こういうの属性って言うんだっけぇ〜鳴海君?」


【航】

「なっ!違うよ…噛んだだけだって!………絶対に信じてないよねぇ…その顔?……それにいつの間にか、呼び方が鳴海君になってるし!」


はて…どんな顔してんだろ。どうせなら語尾に『ニャ〜』って付ければ需要有りそうなのに………残念だ。



ガラーン‐ガラーン‐ガラーン‐ガ――――――――――――――――



【松原】

「良しっ!…体育祭は皆頑張れよっ!。もし最優秀クラスに選ばれたら、俺のボーナスが気持ちアップするらしいっ!!!……これでLHRを終わる」


何か奢るとか言えよっ!それに気持ちアップするって…良く誰も突っ込まないなぁ。ある意味凄いなぁ…この団結力。


【恋華】

「マー君?…ご飯食べないの?」


恋華の声で我に還って弁当を取り出した。


【美咲桜】

「ヒ〜ロ〜君っ!…体育祭の種目決まった?」


廊下からの声に視線を移すと、ニコニコしながら美咲桜が小走りで寄ってきた。これで全員揃ったな。


【恋華】

「いただきま〜す」


美咲桜がいつものポジションに座り、恋華の声で皆食べ始めた。美咲桜からお茶を受け取っていると、航はまだ此方をジッと睨んでいた。


【美咲桜】

「鳴海君はどうしてヒロ君を睨んでるの?」


【恋華】

「むぐっ?…本当だ。なんでかなぁ?」


2人が怪訝な顔を向けてきた。恋華…口に物を入れたまま喋るなよ、お嬢様の自覚ゼロだなぁ。面白くなりそうだし…………話すしかないな!


【正義】

「それは航がギャル[さっ!最近はガソリンが高くて困るよねぇ〜?]…………プッ…アハハハハハッ!」


【美咲桜・恋華】

「「………ギャル?」」


【航】

「そっそれは!…最近のギャルはメイクが濃いなぁ〜って思ってさ」


【正義】

「クククッ…しかしお前っ…露骨な話の逸らし方するな?…ガソリン?…メイク?…それはちょっと苦しいんでない?」


面白すぎるぞコイツ…侮れん。もしギャルゲーまで言った後だったらなんて答えたのか気になるなぁ。………いつか必ず実践してみよう。


【航】

「そっそうだ!…美咲桜ちゃんは体育祭、何の種目に出るの?」


コイツまだ警戒してるのか…しっかし強引に話題を変えるなぁ〜。


【美咲桜】

「そうだった!ヒロ君は何に出るの?…私は徒競走とリレーと騎馬戦と障害物競争と…………アレ?忘れちゃった」


【恋華】

「んぐんぐ…美咲桜も結構出るねぇ〜。アタシと被りまくってるしね」


【航】

「1500とクライマックスリレーは出るの?…マサ君は両方に出るよっ!」


何でお前が嬉しそうに言うんだよ。


【美咲桜】

「混合リレーと1500は出るよ。…青組のクライマックスリレーの出場者はまだ未定なんだって。なんでも当日に活躍した人から、投票で選ばれて決まるらしいよ?」


赤組もそれで良くない?松原は何を考えてるんだろ…あの人も読めないな。


【恋華】

「じゃあアタシと直接対決が多いねぇ〜…でも負けないからねっ!」


【美咲桜】

「ヒロ君が敵なのは嫌だなぁ〜……でも私だって負けないよっ!」


【正義・航】

「「…………………」」


なに、この空気?なんか2人の間の空間が歪んで見えるんですけど…背後に炎の様なモノも見える。


【美咲桜】

「ヒロ君っ!」


【恋華】

「航っ!」


2人はいきなり俺達に詰め寄ってきた。なんか顔が恐いよ。


【正義・航】

「「……………ナンデスカ?」」


【美咲桜・恋華】

「「私が(アタシが)勝つから観ててねっ!」」


【正義・航】

「「……………ハイ」」


ナンデスカこの展開?頭痛がしてきた…只でさえ色別対抗ドッジボールの事で頭が痛いのにな。時間もまだあるし…ちょっと現実逃避してこよう。


【正義】

「航、ドッジボールのメンバー考えといて…俺ちょっと風にあたってくるわ!」


そう言い残して席を立ち教室を出た。廊下にストーカー娘が居たが、無視してそのまま屋上に向かって歩いた。暫く歩くと背後に視線を感じ、いきなり後ろを振り返ってみた。


【正義】

「……………………?」


【???】

「ジ〜……ッ!?………フンッ!」


俺の視線に気付くと驚いた様な顔をしたが、鼻を鳴らして顔を逸らされた。…尾行に気付いてないと思っていたのだろうか?


ストーカー娘は此方をチラチラと観ながら、その場から動かない。………仕方無いので無視して屋上に続く階段を上がり、外に出た。










奥のフェンスに歩み寄って背中を預ける様に地面に座った。………隣にストーカー娘が同じ様に座って居るが、気にしない事にした。


ガラーン‐ガラーン‐ガラーン‐ガラー――――――――――――――



【???】

「ねぇ?…キミって『あの』七瀬正義だよね?」


暫く空を眺めていると5時限目開始を告げる鐘が鳴った………鳴り終わると同時に、隣に座った彼女が顔を伏せたまま突然口を開いた。


彼女は俺の事を知っているのか?…それに強調して言った『あの』って何の事だ?考えても仕方無い…話してくれるみたいだし、聞いてみるか。


【正義】

「確かに俺の名前は七瀬正義だけど…『あの』って何のことだ?」


【???】

「…………3年前の4月、市のピアノコンクールに出てたよね?…キミ」



!!!…彼女もあの場に居たのか?…まさかまだ覚えてる人がいるなんてな。ハハッ…今の俺は凄い顔をしてるだろうな。


【???】

「……………その無言は肯定と受け取って良いんだね?」


なんだ?急に声のトーンが下がった…前髪に隠れて表情は見えないが、肩を震わせている。……怒ってるのか?


【正義】

「………出てたけど?」


【???】

「ッ〜〜〜〜〜〜!!」


パァーン――


一瞬何が起きたか解らなかった。………右頬の焼ける様な痛みで、漸く頬を叩かれた事に気付いた。


【???】

「なんでっ!…なんでコンクールに出なくなったのっ!?お姉ちゃんから一番大切なっ!……ピアノを奪っておいてっ!!」


彼女のお姉さんから俺がピアノを奪った?…どういう事だ?…意味が解らない。…話の続きを促す為に彼女に視線を向けると、鋭い視線で此方を観ていた。


【???】

「あの時の事は……今でも覚えてる」



―回想―――――――――――???SIDE―



3年前…市のピアノコンクール。ボクは2歳年上の香津美かずみお姉ちゃんの演奏を聴きに、天瀬川市民ホールに来ていた。


お姉ちゃんは何をしても1番を取れる天才で、特にピアノは凄かった。いつかボクもそんな風になりたくて、その大きな背中を必死で追い掛けていた。


お姉ちゃんは中学1年からピアノの勉強をする為に、オーストリアのウィーンに留学した。先週、突然家に帰ってきた時は本当に嬉しかった。


ボクのヴァイオリンを聴いてもらえただけでも嬉しかったのに〈お礼に一曲弾いてあげる〉と言って、弾いてくれたベートーベンのピアノソナタ『悲愴』の表現力は本当に凄かった。


今日は久しぶりのコンクールだから〈楽しんで演奏する〉と言っていたんだけど、参加者リストを観てから〈必ず金賞を取る!〉と態度が激変してしまった。話しかけても何も応えてくれず、控室に姿を消してしまった。












参加者全員の演奏も終わって、表彰式が始まった。


…お姉ちゃんは演奏が終わっても客席に戻って来なかった。…失敗したのかな?とも考えたがボクの聴いた限りミスは無かった。


ボクは他の参加者と競べてもお姉ちゃんの弾いた『悲愴』が1番だと信じて疑わなかった。


【司会者】

「次は銀賞の発表です!。銀賞は………エントリーナンバー13番……御堂香津美さんですっ!……御堂さんはステージへ御上がりください……………………………………御堂さん?」


【???】

「っ……う………そ…でしょ?」


信じられなかった…ボクはお姉ちゃんが負けた所を見たことが無い。それから暫くの間…司会者はお姉ちゃんを呼び続けたけど、結局現れなかった。


【司会者】

「遅くなりましたが、いよいよ金賞の発表ですっ!…金賞は……………エントリーナンバー14番……七瀬正義君っ!…七瀬君はステージへ御上がりください」


誰があのお姉ちゃんに勝ったのかが気になって、ステージ上に視線を向けた。


ステージ上では美しい金髪を背中の中程まで延ばした、1人の少年にスポットライトが当たっていた。


【???】

「そうだっ!…見とれてる場合じゃない……………お姉ちゃんを探さないと!」


暫くその少年に見とれていたが、演奏後から姿が見えないお姉ちゃんが心配になって外に飛び出した。


ホールから出て直ぐにロビーを探したが、居なかったので控室に走った。控室の扉の前に居る警備員に、身内だと説明して入ろうとしたが〈中には誰も居ない〉と言われて建物の外に走った。


【???】

「ハァ…ハァ…お姉ちゃん…何処に居るの?」


辺りを見渡したがお姉ちゃんは居なかった…入口正面に在る階段を駆け降りると、お姉ちゃんは遥か前方を覚束無い足取りで歩いていた。


【???】

「ハァハァ…ハァ…お姉ちゃんっ!…ッ…待って!」


お姉ちゃんの居る所へ全力で走りながら叫んだ。声に反応して立ち止まったので、残りの距離を詰めた。


向き合う様に立って息を整え顔に視線を向けると、お姉ちゃんは顔面蒼白だった。


何て声を掛ければ良いのか悩んでいると、お姉ちゃんは此方に背中を向け口を開いた。


【香津美】

「ハハハハハハッ!………また負けた……またあの子に負けちゃった…留学っ…まで…っ……したのにぃ!!!」


いつも自信に満ち溢れたお姉ちゃんが泣いてる…また?お姉ちゃんは負けた事なんて無い筈…何を言ってるの?


【???】

「なっ…何を言ってる…の?負けた事なんて[3年前っ…にも……負けたのよっ!…あの子にっ!!!]………………えっ!?」


3年前っていったら、ボクが4年生の時だ。………そういえば一度だけ、風邪を拗らせて見に行けなかった事がある。………あの時負けてたんだ。今日はあの子に動揺したのかも知れないけど、その時のお姉ちゃんは落ち着いていた筈……それでも勝てなかったのかな?


【香津美】

「だから1年後にっ…ウィーンに留学したのよ………また負けちゃったけどね」


【???】

「でも…お姉ちゃんが1番[お世辞なんて要らないっ!]………そんな事無いよ…」


【香津美】

「ウィーンにもあんなレベルの高い演奏をする学生は居なかった……あの子は本当の天才なのっ!『神の指先』を授かった」


そう言ってお姉ちゃんは此方に背を向けたまま、敷地の外に向かって歩き出した。ボクはその場から動けずに…小さくなっていく背中を見つめていた。



―回想―――――――――――――――END―



【???】

「それからお姉ちゃんはピアノを弾かなくなった……なのにっ!…あれ以来キミはコンクールから姿を消したっ!…1回も出なかったっ!!!」


…そうか。彼女はあの人の妹だったのか。惜しいな…あの人は良い演奏をしていたのに。


【正義】

「君はあの人の妹…だったんだな。あの人は『言葉を音に乗せる』…良い奏者だったんだけどな、残念だ」


そう言うと彼女は驚いた様な顔をした。………どうしたのかな?


【???】

「覚えてるのっ!?…当時の事を…お姉ちゃんの演奏も?」


よ〜く覚えてるよ…違ったカタチでだけど。俺のせいで彼女の姉がピアノを辞めてしまったなら…話さないといけないよな、俺がコンクールに出なくなった理由を。


【正義】

「君の姉さんの演奏も…当時の事も良く覚えてるよ」



―回想――――――――――――正義SIDE―



【司会者】

「では最後にステージ上に居る受賞者の皆さんに、大きな拍手をお願いします」


受賞式が終わったのでステージから降りると、母さんが走り寄って来た。


【英理朱】

「おめでとう。まー君っ!……疲れてるかも知れないけど、取材受けても大丈夫?」


そんなに疲れた顔をしてるのかな?全然平気なんだけどな。


【正義】

「俺は大丈夫だよ。母さんの教え子が増えるチャンスなんだから、それに場所は控室でしょ?…どうせ行くつもりだったし構わないよ」


【英理朱】

「ゴメンね。15分後に記者の人を連れて行くから…ゆっくりしてると良いよ」


【正義】

「解った!…15分後だね?」


そう言い残して控室に向かった。控室の中には誰も居らず、着いてから5分位して扉がノックされた。取材には早すぎるよな?と思いながらも、歩み寄り扉を開けた。


【参加者A】

「居たぞっ!…お前等コイツを捕まえろ!」


開けた瞬間、同い年位の3人の男子が入って来た。1人がそう言った後に、残りの2人にタックルを喰らった。押し倒されて、うつ伏せの体制で床に押さえつけられた。


一瞬の出来事に俺は何が何だか解らなかった…何で俺の床に押さえつけられたんだ?…コイツ等は誰なんだ?…何がしたいんだ?


【参加者A】

「良しっ!…そのまま押さえてろよ?」


頭上からの声に顔を横に向けて、ソイツを覗き見ると片手で髪を掴まれた。その後直ぐに『ジョキ』という音がして、目の前に金色の髪が落ちてきた。


切られた髪が自分のモノだと思いたくなかった。…母さんや美咲桜が長くて綺麗だと、大好きだと言ってくれた金髪…………許さないっ!!!


頭の中で何かがキレた音がした。俺を抑さえつけていた2人を力任せに引き剥がして立ち上がり、引き剥がされた反動で尻餅をついた2人を思いきり蹴り飛ばした。


蹴り飛ばした2人が呻き声をあげていたが、無視して髪を切った奴を睨みつけた。


そして何故こんな馬鹿げた事をしたのか聞くことにした。


【正義】

「何で髪を切ったっ!……答えろっ!!!」


【参加者A】

「っ…お前みたいな不良はっ!…この場所に相応しく無いんだよっ!!」


今までもこの外見で理不尽な中傷や暴力を受けてきたが、刃物を出されたのは初めてだ。


【正義】

「どうせお前が何も受賞できなかった腹いせだろっ!……人のせいにするなっ!!!」


【英理朱】

「ちょっと声が大き……まー君っ!…っ!……その髪!!!」


殴り掛かろうとした時に扉が開いて、母さんが入って来た。床に散らばった髪に気付くと、此方に駆け寄ってきた。


母さんが心配そうな顔をしていたが、俺は髪を切った奴の手に持ったままのハサミを指差した。


【英理朱】

「この子達がやったのね?」


母さんの声のトーンが下がった…キレたな。髪を切った奴も怯えている…母さんの方を見ていると、その時また扉が開いた。


【記者】

「すみません。遅くなってしまっ[主催者を呼んで来なさいっ!!!]…………はっ…はいぃ!」


母さんの叫び声なんて久しぶりに聴いたなぁ…アイツを殴るのはもう無理だろうな。


【英理朱】

「まー君?…またいつもの?」


【正義】

「うん。くだらない中傷…ひがみ…………母さん俺、何か疲れちゃったから先に帰っても良い?」


【英理朱】

「えぇ。こっちは任せなさいっ!……確りと主催者に文句言っとくからねっ!」


【正義】

「ありがと…じゃあ先に帰ってるね」


そう言い残し髪を切った奴を睨みつけてから控室を出た。



―回想―――――――――――――――END―



【???】

「ボク達が出て行った後に……そんな事があったんだ。でも髪の毛を切られただけで…!ッ…ゴメン…ゴメンなさい」


『切られただけ』という言葉に反応して、彼女を無意識のうちに睨んでしまった様だ。それに気付いた様で、ペコペコと頭を下げて来た。


【???】

「髪の毛を切られたのが嫌だったから?…また切られるかも知れないって思ってるから?……『その程度の事』が原因なのっ!?」


今度は『その程度の事』って言いきりやがったっ!…それに声のトーンも上がった。…また怒ってるのか?……忙しい娘だな…怒って謝って、原因がそれだけだったら苦労はしてない。彼女納得してないみたいだし…話すしかないな、俺が人前で『弾けない理由』


【正義】

「でもそれが原因で……人前で弾けなくなってしまったんだ。…………………………誰かに観られてると手が震えて…指が動かないんだっ!…動いてくれないんだよっ!!!」


コンクールの翌日…レッスンでいつもの様に母さんに観てもらいながら鍵盤に手を置くと、手が震えて全く弾けなかった。まるで自分の指に針金が入ってるかの様だった……母さんが心配して〈今日は中止ね〉と言って部屋を出てから、自棄になってもう一度試したら今度は弾けた。その時に俺は『人前で弾けなくなった』事を自覚させられた。


『弾けない理由』を話すと、隣に座る彼女は立ち上がった。


【???】

「ボク…キミの都合を何も考えないで…キミも苦しんでいたのに、一方的な感情をぶつけちゃって……本当にゴメンなさいっ!」


そう言って深く頭を下げた。その深く下げた頭からポツポツと雫が落ちて、コンクリートの地面に小さな染みをつくった。


………頬を叩かれた時は驚いたが、優しい娘じゃないか…他人の為に涙を流せるなんて。


【正義】

「顔を上げてくれ…叩いた事も怒鳴られた事も……怒ってないから」


顔を上げた彼女の目元は真っ赤に腫れていた。俺は立ち上がり、ブレザーのポケットからハンカチを取り出して彼女の手に握らせた。


〈ちょっと待ってね〉と言って此方に背中を向け、ハンカチで目元を押さえていた。


…暫く視線を外して景色を眺めていると、後ろから肩を叩かれたので振り返った。


【???】

「ハンカチありがとう。その………ピアノは続けてるんだよね?」


彼女は不安そうな顔をして両手でハンカチを握りしめ、恐る恐るといった感じで尋ねてきた。


【正義】

「あぁ…今でもピアノは続けてるよ。まだリハビリ中だけどな」


そう言うと不安そうな顔が怪訝な表情に変わった。


【???】

「リハビリ中?……ケガ…しちゃったの?」


【正義】

「そっちの事じゃなくて…人前で弾く練習だよ」


彼女はポンッと手を叩き〈そっちの事だったんだっ!〉と小声で呟いていた。


【???】

「じゃあ…いつかコンクールに戻ってくるんだね?」


何でそんなに嬉しそうな顔をするんだ?…お姉さんからピアノを奪った男に。


【正義】

「あぁ…今はまだ、子供や親しい人の前でしか弾けないけど………いつか必ずっ!…」


リリスさんと母さん…2人の母親からの愛情を…受け継いだ俺の音を、世界中の人達に届けたい。


【???】

「その時はボクも…キミのピアノを聴いてみたいな?…あの時はお姉ちゃんの演奏しか、良く聴いてなかったから。………それにお姉ちゃん…ピアノは辞めちゃったけど、今は指揮者を目指してるんだよ。いつかキミと同じステージに立ちたいって…言ってたよ!」


あの人は指揮者を目指してるのか、いつか共演したいな。彼女のヴァイオリンも一緒に…3人で同じステージに立てる日が来るといいな。


【正義】

「いつか君とお姉[亜沙美]…………えっ?」


【???】

「ボクの名前は御堂亜沙美みどうあさみ…とっ!…友達なのに、いつまでもキミじゃ呼びにくいでしょ?」


そう言って彼女は頬を赤く染め顔を逸らし、右手を差し出してきた。同じ様に右手を差し出して、彼女の手をしっかりと握った。


【亜沙美】

「これからよろしくっ!え〜っと…正義君っ!」


彼女は此方を向いて握った手を離すと、顔を耳まで真っ赤にしながら言った。


何でこんなに赤くなってんだ?…まさか照れてるのか?……まるで美咲桜みたいだな。


【正義】

「あぁ、よろしく。亜沙美……って呼んでも良いのか?」


【亜沙美】

「……うん。そう呼んで良いよっ!」



◎御堂亜沙美◎1年C組‐O型‐162cm‐Bカップ‐国内に70店舗を構えるデパート『フロンティア』を経営する御堂グループ代表の二女。小柄だがスポーティーで引き締まった体型。髪は黒髪を肩口で切り揃えている。パッチリした目にシャープな顔だちで、遠くから観ると男の子に見える可愛い系。姉の影響で何にでも一生懸命になる傾向がある。身体を動かす事が好きなのでスポーツは得意(勉強は普通より上)ヴァイオリンは同年代の中では、ずば抜けた実力とセンスを持っている。スポーツの事になるとテンションがあがり、プレイ中にピンチに陥ると『女帝モード』を発動して常に笑いながら好戦的になる。一人称は【ボク】



【正義】

「早速だけど…桐原と橘は知り合いなのか?」


【亜沙美】

「美咲桜と恋華の事?…あの2人とは中学の時から友達だよ?」


ビンゴ!友達だったか…美咲桜に何が有ったのか知ってるかな?……そういえば彼女は授業サボっても大丈夫なのか?


【正義】

「そういえば亜沙美は授業サボっても平気なのか?…さっきの鐘って6時限目開始の鐘だぞ?」


【亜沙美】

「今までサボった事ないから大丈夫だよ?…それにお互い様でしょ?」


ニヤニヤした顔で言ってきた。ノリが良いし話易い…良い友達になれそうだな。……時間もまだあるし、もう少し美咲桜の事を聞いておくかな。


【正義】

「確かにな…もう少し聞きたいんだけど、美咲桜とはいつ頃知り合ったんだ?」


【亜沙美】

「う〜んとねぇ〜…確か2年生になってからだったと思うよ?…それまで違うクラスだったからね」


時期的に考えても…知らないだろうな。やっぱり川上さんだけが頼りか……ダメ元で、どこでヴァイオリンを習っていたか聞いてみるか。


【正義】

「じゃあ美咲桜とは結構長いんだね。…あとヴァイオリンを習ってるんだよね?……俺は自宅でレッスンを受けてるけど、亜沙美は何処で習ってたんだ?…ヴァイオリン」


【亜沙美】

「ボク?…自宅に先生を呼んでるよ」


アテが外れたな…まぁいいや。そんなに都合良く解る訳ないよな。考えが甘かった…来月頑張ろう。


【正義】

「話は変わるけど、亜沙美って何組?…もうすぐ体育祭だしさ」


【亜沙美】

「ボクはC組だから青だよっ!……今から楽しみだよねぇ〜!…早く当日にならないかなぁ〜?」


アレ?…何でテンション上がってんの彼女。体育祭に此処まで食いつくとは…もしかして熱血タイプか?


【亜沙美】

「正義君は赤だよねっ!?…ボクも色々出るよっ!…徒競走にリレーに玉入れ!…1500でしょ?…騎馬戦と…綱引き…借り物……あと障害物競争もあったなぁ〜」


クレイジーだ!…彼女はクレイジーだっ!…一体幾つに出てんの?………この娘、鉄人?


あれだけの種目に出るのに1500とリレーにも出るみたいだし、足も当然速いんだろうなぁ?


【正義】

「亜沙美はこの前の体力テストで、100のタイム何位だったか覚えてる?」


彼女の顔は良くぞ聞いてくれたと云わんばかりに輝いていた。


【亜沙美】

「ボクは2位だったよっ!…美咲桜に僅差で負けたけど、恋華には勝ったしねっ!」


指を2本突き出して、ピースサインを此方に向けてきた。……宮園出身者が体力テストのトップ3独占かよ。


【亜沙美】

「そういえば正義君は、色別対抗ドッジボールはどうするのっ!?」



解説:色別対抗ドッジボールとは!…円形のコートを中心から3つ均等に分けた陣地で殺し合うゲームだ。


自陣の後方に3人の外野を配置する、つまり味方同士のパスは自由だ。


内野は死んだら退場で外野には行かない。外野も殺しても内野には入れない。


顔面はセーフで、ボールを持って歩くのも歩数に制限は無い。


色別に人数は各クラスから2名、つまり内野9人で外野3人となる


全滅した色から順位が決まるバトルロイヤル形式で行われる。


つまり、常に2方向から狙われるスリリングなゲームである。


―――解説終了!―――



【正義】

「まだ決まってない筈だ……と思う………多分」


航にメンバーは一任してるからなぁ。さっき頼んだばかりだからまだ決まって無いよな?……多分………選手じゃない事を祈りたい。


【亜沙美】

「ボクは出るからさぁ〜…もし出ることになったら………楽しく殺し合おうねぇ〜?」


何であんな晴れやかな笑顔なんだよ!……芽衣さんも競技説明の映像で、満面の笑顔で敵選手を殺してたもんなぁ…………………まさか美咲桜も?


【正義】

「そっ…そうだね。……出てたらね?」


自分の顔が引きつっているのが良く解る…芽衣さんの剛球なんて取れるかよ、喰らった男子5メートルは吹っ飛んでたし…亜沙美もクレイジーだしさ。



ガラーン‐ガラーン‐ガラーン――――――――――――――――――



【正義】

「6時限目終わったな…亜沙美はこれからどうするんだ?…俺はカフェテリアに行くけど」


彼女は腕を組んでう〜んと唸っていた。


【亜沙美】

「美咲桜達も来るんだよね?……行きたかったけど、ボクは今日レッスンがあるからまた今度ね」


そう言って顔の前で両手を合わせてウインクした。


【正義】

「じゃあ最後に一つ頼んでいいか?」


【亜沙美】

「いいよ?…ボクに出来ることなら」


【正義】

「俺が人前でピアノを弾けない事……皆に黙っててくれるか?」


彼女は怪訝な顔をしたが、首を縦に振ってくれた。


【亜沙美】

「じゃあねぇ〜!明日の昼休み、教室にお邪魔するからぁ〜!」


そう言い残し扉の前まで歩いて此方に振り返った。手をブンブンと振った後、踵を返して彼女は校舎の中へ消えていった。


口止めの理由を聞かれなかった…感謝しなきゃな、あの優しい娘に。


【正義】

「さてと、カフェテリアに行きますかね!」


首を長くして待っている3人の顔を思い浮かべ、苦笑しながらカフェテリアに向かった。





















カフェテリアに着くと3人は口を揃えて〈遅いよっ!〉と言ってきた。


遅くなった事を謝りながら定位置に座ると、航から死刑宣告を言い渡された。


【航】

「松原先生が言ってたんだけど、ドッジボールは棄権者ばかりで戦力不足らしいよ。………………………………………………という訳で、俺達ドッジボールに出るから!」


【正義】

「どんな訳だよっ!!」





















まだ多くの生徒で賑わうカフェテリアに、正義の〈人柱はイヤだァーーーーーーーっ!!!〉という叫び声が響き渡った。

♯9どうでしたか?…やっと4月終了です。早くも作品の評価を戴けて嬉しい限りです。次も頑張りますよっ!♯10はゴールデンウィークのお話です。それでは次回をお楽しみに〜。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ