♯12 5月第3週【少女の過去、失われたモノ】
♯12も病院からお届けしております。いや〜…過労を侮ってましたよ。仕事に復帰して一日目で病院に逆戻りとは……しかも同じ部屋。…………という訳で♯12お楽しみくださいましね。(←由衣口調)
【正義】
「ハァ〜…………アンタと話してると疲れる」
【警備員】
「…………私もだよ」
ここは宮園女学院の校舎内にある応接室。俺は最高に座り心地の良いソファーに座り、向かい側の座る警備員と優雅なティータイム?を楽しんでいた。
【警備員】
「いい加減に……本当の事を話してくれないか?…………女子の制服を盗む為に、あんな所に居たんじゃないのか?」
そう言うと警備員はニヤニヤしながら此方を指差した。
【正義】
「だから!『もう少し待たせると思うから、校内にあるカフェでお茶しながら待ってて』って友達に言われたから、カフェに向かってただけ!……場所が解らなくてウロウロしてたら、貴方に捕まった…はい説明終了!」
【警備員】
「君はまだ若い…罪を償えば[だからっ!俺じゃ無いって!!]………………ステキ丼でも食うか?」
警備員はそう言うと、テーブルの上に置かれていた携帯電話を手に取った。…………ステキ丼?
【正義】
「ステキ丼?…ステーキ丼の間違えなんじゃ…」
そう言うと警備員は腕を組み大きな溜め息を吐いた。
【警備員】
「取り調べで大活躍のステキ(素敵)丼、知らないのか?……自白剤がタップリ染み込んだス[弁護士を呼べっ!今スグにっ!!]…………激ウマなのに?」
何?その恐ろしいメニュー…そんなモノ食わされたら黙秘権なんて無いも同然じゃねえか。
【正義】
「ハァ…………(何でこんな事に)」
では此処で『何でこんな事に』なったのかをご覧戴く為に、時間を5時間程巻き戻してみようと思う。
PLAYBACK―――――――正義SIDE―
体育祭の翌日に川上さんから電話がかかってきて、話しているうちに『久しぶりに逢わない?』という流れになった。
彼女の声を聞いているうちに告白された時の記憶がフラッシュバックして来て、〈逢おう〉とは言えなかった。
本当は逢って美咲桜の件で力を借りるつもりだったが、告白を断った理由である美咲桜の事に協力してもらうのは気が引けた。
彼女からの告白を覚えていながら、軽々しく力を借りようとした最低な自分に自己嫌悪して〈ゴメン〉と言って電話を切った。
電話を切ってから丸一日考えても『美咲桜の過去』を知る方法が思いつかず、結局此方から電話をかけた。
昨日一方的に電話を切った理由を話してから謝り、そして美咲桜に対する想い。今の状況。これからの願望の全てを話した。
20分近く話が続いたが、彼女は何も言わずに最後まで聞いてくれた。そして〈私に対して申し訳ないと思う気持ちがあるなら………少しでも早く問題を解決して…付き合って…幸せな2人の姿を見せてほしいな?………それが貴方を好きになった……いえ…今でも好きな私からのお願い。……だから…さ…私に出来る事なら何でもするから、遠慮なく言ってね!〉と言ってくれた。
今でも俺の事を好きだと言ってくれて、それでも俺達の仲を応援してくれた彼女の優しさに泣きそうになった。唇を噛み何とか堪えて、何度も感謝の言葉を述べてから〈美咲桜の入学当時の友人と、同時期に駅前のスクールに通っていた生徒を捜して欲しい〉と頼むと、二つ返事で引き受けてくれた。
〈見つけたら直ぐに連絡するから、期待して待っててね!…それじゃあまた…おやすみ、七瀬君〉と言って電話が切れた後、堪えきれなくなって涙が溢れた。…彼女が変わらず友達で居てくれた事に…自分の気持ちを殺してでも俺を応援してくれた優しい言葉に……声から感じた包み込む様な温もりに……彼女に頼らないと何もできない自分の情けなさに……枕に顔を埋めて、声が枯れるまで泣き続けた。
その2日後、つまり今日の昼休みに携帯が鳴った。隣に美咲桜が座って居たので教室を出て、通話ボタンを押し〈少し待ってて〉と告げてから走って屋上へと向かった。
屋上に着くと周囲に人が居ないのを確認してから、奥のフェンスに背中を預けて携帯を耳に当てた。
【正義】
「待たせてゴメン!…電話してきたって事は、もしかして『見つかったよ!』………早速で悪いけど、詳しく聞いても良いか?…時間があればでいいけど…」
【川上】
『こっちも昼休みだから大丈夫だよ?……入学当時から桐原さんと仲が良かった娘は、結構居るみたい。彼女…人気者だったらしいよ?でも…一ヶ月位経った頃から、少し変わったって皆言ってた…』
入学して直ぐなら、美咲さんが言っていた時期と重なるな。………変わった?
【正義】
「一体、何がどういう風に変わったんだ?」
【川上】
『感情を表に出さない様になった……っていうのが一番多かった意見だね』
感情を表に出さない?…今の美咲桜からは全く想像できないな。アレ?……美咲さんはそんな事、一言も言わなかったよな?…外でだけ感情を抑え込んでるって事か、何が原因なんだろう。
【川上】
『話を続けるよ?…同じスクールでさっきの条件、つまり今の一年生であてはまる娘は2人。1人はピアノを習ってる娘、もう1人の娘はフルートだって。……今日会ったばかりでまだ詳しくは聞いてないから、これ以上は解らないの……役に立つ情報だった?』
ピアノの娘は俺が望む条件に完璧当てはまるな。………期待して良さそうだ。……もう1人の娘はピアノの音と指使いの微妙な変化を感じとれるかどうかだが………難しいだろうな。
【正義】
「本当にありがとう。…とても役立つ情報だったよ、特にピアノの娘は今から逢いたい位…」
【川上】
『……七瀬君、今日は何か予定あるの?……無いなら聞いてみるけど?』
今日はいつも通りにカフェテリアに寄って、帰宅後6時から10時まで弾く予定だったな。……でもこっちの方が重要だし、悩むまでも無いか。
【正義】
「今日は予定無いよ…全然大丈夫だ。…それにあったとしても、川上さん達に合わせるよ。頼んでるのは俺の方だからね」
【川上】
『分かった。…ちょっと待っててね?…ピアノの娘が今、廊下に居たから聞いてみるよ………(5分経過)………ピアノの娘はOKだって!…フルートの娘は予定があるから、今日は無理みたい。…………どうするの?』
都合良しか…フルートの娘は不確定要素があるから無理に会わなくても良いが、でもピアノの娘と2人きりなのは流石に気まずいな……初対面だし。川上さんはどうなんだろう?
【正義】
「できれば逢いたいけど…川上さんは今日何か予定あるの?……久しぶりに逢って話したいしさ」
【川上】
『私は大丈夫だけど……生徒会の仕事で少し遅くなるよ?……大体終わるのは5時位かなぁ…それでも良いなら、5時位に学校まで来て欲しいんだけど……その娘と一緒に校門まで迎えに行くから』
【正義】
「もちろん行くよ!…じゃあ5時少し前にそっちに着く様にする、それじゃまた後で!」
【川上】
『うん。逢えるのを楽しみにしてる、じゃあね七瀬君!』
電話を切ってから液晶に視線を移すと5時限目が始まる直前だった。どうせ次の数学は自習なので(体育祭で勝ち取った)その場に座り込んで空を見上げ、雨が降りそうもないのを確認してから瞼を閉じた。
眼を醒まして携帯で時間を確認すると3時40分になっており、着信ランプが点滅していた。着信履歴を確認すると114件と表示されており、驚きのあまり携帯を落としそうになった。
――着信ランキング――
1ST‐BATTLE
1・美咲桜(51回)
2・航(19回)
3・恋華(17回)
4・英理朱(14回)
5・亜沙美(12回)
6・芽衣さん(1回)
―――――――――――
ちょ!?美咲桜は少しかけすぎだろ!…しかも何で母さんが14回もかけてきてんの?…留守電も入ってないし、どうでもいいか。
とりあえず航にメールを送っとくかな。『俺は今日用事が入ったから、カフェテリアに行けない。…………………という訳で美咲桜をキレさせない様に説明しろよ?………健闘を祈る!!!』っと、こんなモンだろ。送信っ!
【正義】
「今が3時40分だから…」
えぇ〜っと4時55分迄に着くには…此処から大瀬中央駅まで車で25分……大瀬中央‐宮園間は約30分……宮園駅から学校まで徒歩15分…………余ってる時間…5分?
【正義】
「ヤバい!電車の時間次第じゃギリギリじゃねぇか!………とりあえず教室に鞄…クソッ!俺の馬鹿!……走りながらタクシー呼ばないと………間に合ってくれえぇーーーーッ!!!」
あれから教室で鞄を回収して校門まで2分で到着した。
(過去最速)呼んでおいたタクシーに乗り込み、(実は校門前に偶然停まっていた)タイムロスなしで駅前のロータリーに着いた。タクシーを降り改札を潜ってホームを見渡すと、上りのホームに電車が停まっていたので走って乗り込んだ。宮園駅に着き南口から外に出てロータリーの時計を見ると4時40分だった。そこで漸く間に合うのを確信して、ゆっくりとした歩みで宮園女学院を目指した。
【正義】
「なんとか間に合いそうだが、それにしても……此処は城なのか?」
駅から少しゆっくりと歩きながら、宮園女学院の城壁?…を眺めながら校門に向かって歩いていた。
左側の景色は全く変わらず、高さ3メートルはある真っ白な壁が続いていた。
【正義】
「しっかし……防犯カメラの数、多すぎないか?……しかも首を振るタイプのヤツだし…」
視線を上げると城壁?の上に5メートル間隔で防犯カメラが設置されており、次々と此方を向き俺をロックオン………此処は刑務所か?
【正義】
「ん?……他の通行人にはロックオンしてないよな?……何故に?」
前方から歩いて来る明らかに怪しい人(季節外れのロングコートに黒いサングラス)にはカメラは反応しておらず、視線だけ左上に移すとやはりロックオンされたままだった。
溜め息を吐いて視線を正面に戻すと、漸く目的地である校門が見えてきた。
【正義】
「やっと着いた……時間は……57分。セーフだな…」
携帯で時間を確認してから傍にあるガードレールに腰かけ、遥か前方に見える校舎を眺めた。
ここ私立宮園女学院は宮園地区の北側、市街地のほぼ中央に位置する。
広大な敷地内には中等部、高等部の校舎が立ち並び学生を支援する為の施設も充実している。
コンビニや本屋にファミレス、塾や英会話スクールまである。
生徒数は中高合わせて約1500人が通う、国内最大級の女学校だ。
【高等部女子A】
「こんにちは!……その制服…鳴響の方ですよね?……学院に何か御用ですか?」
【高等部女子B】
「こんにちはぁ〜!…ハーフなんですかぁ〜?…綺麗な髪で羨ましいですぅ〜」
校舎から声が聞こえた方に視線を移すと、すぐ傍に宮園高等部の制服を着た娘達が立っていた。
宮園女学院の制服は黒を基調としたセーラー服で、高等部は襟元や袖口に赤いラインが入っている。(中等部は白いライン)
【正義】
「こんにちは。…えぇ鳴響ですよ。…学院に用事は無いですけど、人と待ち合わせをしているんです」
何の躊躇も無く見知らぬ男に挨拶するなんて、流石は宮園だな…皆礼儀正しい。
【高等部女子A】
「待ち合わせですか?…それなら場所を変更したほうがいいと思いますよ?」
【高等部女子B】
「そうですねえぇ〜…制服泥棒とぉ〜…間違われるかも知れないですしぃ〜…ハーフですよねぇ〜?」
制服泥棒?…だからカメラがあんなに設置されてたのかな?。…でも俺にだけ反応してた理由は?……それに川上さん達は大丈夫かなぁ。…何か心配になってきた。
【正義】
「制服泥棒ですか?………すみませんが、詳しく聞いてもいいですか?……此処に通ってる友人が心配なので…」
【高等部女子A】
「えぇ構いませんよ?……今月に入ってから、高等部に通う生徒の制服が盗難にあう事件が起きてるんです。それも結構頻繁に……目撃者の詳言だと犯人は、『長身』で『金髪』の方らしい…で・す・よ?……ね?…移動した方が良いでしょう?」
わざわざ『長身』と『金髪』を強調しなくても……思いっきり疑われてるなぁ。…移動した方がいいかな?
【高等部女子B】
「ちょっとぉ〜!…み〜ちゃ〜ん!…この人はそんな事しないよぉ〜!…それとハーフですよねぇ〜?」
この娘もめげないなぁ〜。別に答えてもいいんだけど、もう会うことも無いだろうしな。
【み〜ちゃん?】
「私はこの人が疑われない様にっ!ハァ〜……忠告はしましたよ?……私達は用事がありますので……ほらっ!…ルミ、行くよっ!」
み〜ちゃん?はルミと呼んだ娘の襟首を掴むと、ズルズルと引き摺って行った。
【ルミ?】
「ハーフなんですかぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っ!!」
ルミ?って娘…あんなタイプの娘が友達に居たら面白いだろうなぁ〜。
遠ざかって行く背中を眺めていると、ズボンのポケットに容れていた携帯が鳴った。
取り出して液晶に視線を向けると『川上さん』と表示されていた。何かあったのかな?…と思いながらも、通話ボタンを押し耳に当てた。
【川上】
『七瀬君、待たせちゃってゴメンなさいっ!…生徒会の仕事が片付かなくて……暇だったんじゃない?』
電話の向こうは凄いんだろうなぁ〜?…足音…叫び声…阿鼻叫喚って言葉がしっくりきそうだ。
【正義】
「そうでも無いよ?…さっきまで面白い娘達と話してたから」
【川上】
『そうなんだ?…本当はあの娘を迎えに行かそうと思ってたんだけど…忙しいから手伝ってもらってて…本当にゴメンなさい』
【正義】
「謝るのは俺の方だ……忙しいのにゴメンな?……俺の事は後でいいから、生徒会の仕事頑張って!」
【川上】
『う〜ん…外で待たせるのも悪いし………そうだ!もう少し待たせると思うから、校内にあるカフェでお茶しながら待ってて!……ゴメン!忙しいからまた後で!それじゃ切るね――』
本当に忙しいみたいだなぁ。今日を選んだのは失敗だったかな。これから会って話してたら帰宅が遅くなるし、例の娘にも迷惑だよな。………今更云っても仕方ないな。
【正義】
「カフェねぇ…とりあえず高等部の校舎に行って、誰かに場所を尋ねよう」
携帯を定位置に仕舞い、遥か前方に見える正面玄関を目指して歩き始めた。
正面玄関に着き中に入って来客用スリッパに履き替え、カフェの場所を尋ねる為に人を捜して歩き始めた。
――――5分後――――
【正義】
「誰も居ない。職員室すら見つからないし…まぁ適当に探せば、いずれ見つかるよな?」
―――更に10分―――
【正義】
「アレ?…さっきも理科室の前を通らなかったか?………気のせいだよな?」
――更に更に10分――
【正義】
「ここはドコですか?」
いい加減歩き疲れたので立ち止まり、何故いつまで経っても目的地へ着かないのか考えた。
大体何でこんなに広いんだ!…階段も無駄に多いし。何処かにループするポイントでもあるんじゃないか?
【正義】
「そうとしか考えられない。……さっきまではこんな部屋無かったしな?……更衣室か[動くなっ!…そこで何をしているっ!!]……………は?」
声がした方に振り向くと、警官の様な恰好をしたガタイの良い男が立っていた。
【警備員】
「こんな所(更衣室の前)で何をしていたっ!?………ん?…金髪の長身……ちょっと来いっ!!!」
いきなり腕を掴まれて、そのまま引き摺る様に前を歩き始めた。
【正義】
「あの〜?一体何[つべこべ言わずに歩けっ!]……いや、しか[着けば解るっ!]………もしかして最悪のパターン?」
回避不可だと悟った俺は、抵抗もせずに警備員の後を着いて行った。
カチャ――
応接室と書かれたプレートが付いた扉を開け、中に入ると鍵を掛けられた。
【警備員】
「そこのソファーに座ってろ!……俺は紅茶淹れるから、少し待ってろよ?」
そう言って警備員は隣の部屋に入って行った。
言われた通りに高そうなソファーに腰かけると、2分程経ってから戻って来て紅茶をテーブルに置き対面に腰を降ろした。
警備員は足を組んでソファーに深く体を沈め、天井を見上げて此方を観ずに口を開いた。
【警備員】
「最近…高等部に通う生徒の制服が盗まれる事件が起きてる。………どう思う?」
どう思う…ねぇ。俺が犯人だと云いたげな物言いだな。
【正義】
「その話は知ってますよ。…先程、此処の生徒さん達が教えてくれましたから。……歯に布着せた物言いは止めて……ハッキリ言ったらどうです?」
どうせ『身体的特徴が一致している』とか言われるんだろう…本当に疲れるな。…こんな意味の無い事早く終わらせて、川上さんに連絡しないと。
【警備員】
「知ってるなら話が早くて助かる……私も忙しいのでな。なら言わせてもらうが………犯人はお前だろ?」
【正義】
「ハァ〜…残念ですが違いますよ。俺は初めて此処に来たんですから……友人に逢う為に…」
【警備員】
「捕まった奴は皆そう言うんだ。…それにお前は目撃者が観た犯人と同じ『金髪』の『長身』だ。時間帯も人気のない放課後。更には更衣室の前に居た。物的証拠以外は完璧だと思わないか?……………なぁ制服泥棒?」
確かに容疑者としては申し分ない……せめて目撃者が此処に居ればなぁ〜。直ぐに容疑は晴れると思うんだが…そう都合良くいくわけないか。
【正義】
「でも違いますっ!……そもそも俺が彼処に居たのは偶然だっ!…会いに来た友人が『遅くなるから校内のカフェでお茶でも飲んでて』と言ったから…カフェを捜してただけだ!………その結果、場所が解らなくて…」
【警備員】
「更衣室に忍び込んだと?……じゃあ、やっぱりお前―――」
この後10分程『お前だ!』『俺じゃない!』の押し問答が続いた。
―PLAYBACK―――――――――END―
つまり簡単に説明すると……校門前→電話が鳴る→カフェに行く為校舎に入る→人を捜す→放課後なので誰も居ない→適当にカフェを探す→迷子になる→女子更衣室前で思案→制服泥棒の犯人と間違われる→応接室に連行→取り調べ→ステキ丼→弁護士を呼べ!→[お前だ!→俺じゃない!×10分間]→GOAL!!!!!……という訳だ。
【正義】
「遅くなりそうなのでちょっと、電話をかけてもいいですか?…友人が心配するといけないので…」
【警備員】
「好きにしろ……とりあえずステキ丼は頼んでおくから、夕飯の心配はしなくて良いぞ?」
警備員を無視して携帯を取り出し、川上さんに電話をかけた。
【川上】
『ゴメンなさいっ!…ハァ…ハァ…今カフェに着いたからっ!……アレ?…何処に居るの?』
【正義】
「応接室。…カフェ探してたらさぁ…警備員に捕まったんだけ『えぇ〜〜〜〜〜ッ!?』…耳が痛い……『直ぐにそっち行くからっ!―――』……これで助かる…かな?」
【警備員】
「終わったか?……夕飯(ステキ丼)は後10分程で届くからな!」
【正義】
「ふざけんなっ!そんなモン食うわけねぇだろっ!」
【警備員】
「とりあえず『俺が制服を盗りました』と言えば、食わなくても良いぞ?………どうする?」
【正義】
「そうやって無理矢理に証言させて……調書にそのまま記入するんだろ?…それ今まさに社会問題になってるって!……どうせこの部屋に盗聴機かカメラでも仕掛けてんだろ?………言ってたまるか!」
川上さん……お願いだから早く来てよ。……この人と話してると疲れる。
【警備員】
「やれやれ、強情な奴だ……じゃあどうする?…喋らないなら警察に引き渡してもいいんだぞ?」
いい加減しつこい………多分コイツも事件の事で学院に色々言われて、必死なんだろうな。…減給だ!とか…職務怠慢だ!とか……普通に考えれば、目撃者を呼んで確認すれば終わりだ。顔まで見ているかは分からないが、『長身』と言ってるあたり…結構近くで見ている可能性が高い。大体は判別できるだろう。それに……最初に『目撃者』という言葉を使ってから、その事に一度も触れてない。…『コイツは犯人じゃないかも知れない』という自覚はあるんだろう。…………かといって犯人になってやる気は無いが。
【正義】
「そこまで言うなら目撃者を呼んだらどうです?…さっさと[『ガチャ!ガチャ!…ドン!ドン!ドン!』七瀬君っ!中に居るのっ!?]……あぁ!ちょっと待っててくれ!」
突然、扉が乱暴に叩かれ彼女の声が聞こえてきた。警備員に視線を向けると顎で扉を指したので、立ち上がって扉に向かい鍵を開けた。
【川上】
「七瀬君っ!…捕まった理由って…制服泥棒じゃない?」
鍵を開けた途端勢い良く扉が開き、申し訳なさそうな表情をした彼女が入って来た。
【正義】
「説明する前に電話を切ったのに、よく解ったね?」
そう言うと彼女は握り拳で胸を叩き、『当然だよっ!』と言いたげな表情をした。
【川上】
「ハァ〜…やっぱりね。……でも安心して?あの娘を連れて来たから……入って!由衣ちゃん!」
あの娘?…一体誰の事を言ってるんだ?…でも安心してって言ったし……もしかして目撃者?
川上さんが廊下に呼びかけると扉が開き、小柄でいかにも『お嬢様』という印象を受ける娘が入って来た。
【由衣】
「失礼します。……貴方が七瀬さん?…う〜ん………全然違うわね」
此方を向いて問いかけてきた由衣さん?に頷くと、警備員の方を向き口を開いた。
【由衣】
「警備員さん!…犯人はこの方じゃありませんわ!…私が見たのは走り去って行く後ろ姿でしたけど…髪は彼の様に長くありませんでしたわ!」
そう言うと由衣さんは此方を向いて微笑んだ。彼女達に軽く頭を下げて警備員の方に視線を向けると、苦虫を噛み潰した様な表情をしていた。
あの顔を観てるとムカつくな。自分が悪いと微塵も思ってない様な…あの時……俺の髪を切ったアイツの顔も。
【川上】
「七瀬君?……ッ!?…どうしたのっ!!凄く顔色が悪いよ!?」
ハッとして声がした方に顔を向けると、先程まで扉の前に居た彼女が隣に立って心配そうな顔で此方を見ていた。
顔色が悪い?……アイツの顔を思い出したのが原因かな。あの時の事は、もう乗り越えたと思ってた………『身体は嘘をつかない』とは良く言ったものだな。
此処に居ても何も始まらない…俺の無実も証明されたし、とりあえず移動しよう。
【正義】
「大丈夫…ちょっと気分が悪いだけだよ?…………警備員のオッサン!…俺もう行ってもいいんだよな?」
【警備員】
「…………………あぁ」
ソファーに座る警備員は此方を観ておらず、頭を抱えて頭を垂れていた。
あの人も後で学院に色々言われるんだろうな。…まぁ人を制服泥棒扱いした人間に、同情なんてしないがな。
【正義】
「行ってもいいみたいだ……2人共とりあえず移動しない?…さっきから喉が渇いちゃって…良かったら奢るよ?」
まだ心配そうな顔をしている彼女に、できるだけ明るく話しかけた。
【川上】
「……じゃあ、ファミレスに行くから着いてきてね?」
彼女の言葉に頷くと、彼女は由衣さんの手を引いて廊下に出た。
その姿が視界から消えると、警備員にもう一度視線を向けてから部屋を出た。
廊下の突き当たりで俺を待っていた2人と合流して、高等部の校舎を出てファミレスがある施設棟に向かった。
【猫耳ウェイトレス】
「おかえりなさいませ…お嬢様!………三名様ですね?」
【正義】
「(コスプレ喫茶のファミレスVER?)」
お嬢様って……もしかしなくても俺も含まれてない?…女と間違われるなんて……凹むなぁ〜。
【川上】
「えぇ…お願いね?[畏まりました、では此方へどうぞ?]……七瀬君?…ほらっ!行こう?」
猫耳ウェイトレスに驚いて(女と間違われて)固まっていると、彼女に肩を叩かれて我に還りウェイトレスの後を追った。
席に着いて皆適当にメニューを頼むと、さっきから疑問に思っていた事を尋ねることにした。
【正義】
「川上さん?…由衣さんが目撃者なのは解ったけど……例の娘ってのも由衣さんなのか?」
さっきから誰も呼ぶ気配が無いし…応接室に来た時、由衣さんも『この人が』って言ってたしな。
【川上】
「うん。由衣ちゃんがそうだよ!……さっきは本当にゴメンね?…由衣ちゃんから犯人の特徴を聞いてたのに…私が校舎に入れなんて言うから…」
彼女は申し訳なさそうな顔でそう言うと、頭を下げた。
『特徴を知ってて中に入った』って言ったら……川上さん呆れないかなぁ。
【正義】
「実はさぁ……校舎に入る前から犯人の特徴…知ってたんだよねぇ〜[えぇ!?]…ほら、電話で面白い娘達と話してた…って言ったでしょ?…校門前でその娘達が教えてくれたんだ…」
そう言うと彼女は大きな溜め息を吐き、肩を竦めジト目でこっちを見ていた。
うわぁ〜…スッゴい呆れてる。無理もないか…勝手に迷子になって、勝手に捕まったんだからな。
【由衣】
「フフッ…七瀬さんは彌生さんのおっしゃっていたとおり…とっても面白い方ですのね?」
そう言うと、由衣さんは口元をハンカチで押さえクスクスと笑った。
おっしゃっていた?……川上さんは学院で俺の事を話したりしてるのか?
【川上】
「もぉ〜…心配して損したよ!…話が脱線してるし……この娘は高倉由衣。話し方で分かると思うけど、正真正銘のお嬢様。ちょっとお堅いけど、面白い娘だよっ!」
彼女はそう言うと、隣に座る由衣さんの肩をバシバシと叩いた。
【由衣】
「痛い!痛い!…これだから彌生さんは……ハァ〜……初めまして、高倉由衣と申します。…私の事は由衣とお呼びくださいませ」
由衣は丁寧な言葉遣いでそう言うと立ち上がり、綺麗な動作でお辞儀をした。
頭を上げて腰を降ろし、此方に握手を求めてきたのでそれに応じた。
完璧にお嬢様だな……美咲桜も俺と居ない時は、こんな感じなのかなぁ?…………そうだと思いたい。
【正義】
「初めまして。七瀬正義です。俺の事も好きに呼んでくれて構いません。……じゃあ早速で悪いんだけど、由衣を呼んだ理由は分かってるよね?」
そう言うと由衣は大きく頷き、真剣な顔つきになった。俺はそれを確認してから口を開いた。
【正義】
「桐原さん…つまり美咲桜の事なんだけど…ピアノを辞めた理由が知りたいんだ。だから……ピアノに関する事で、どんな些細な事でもいいから教えて欲しい」
俺はそう言ってテーブルに手を突き、深く頭を下げた。暫くして顔を上げると、由衣は云うのを躊躇っている様な顔をしていた。
やっぱり何かあったんだ。大好きだったピアノを辞める位だし……こっちも覚悟して聞かないとな。
【由衣】
「桐原さんがピアノをお辞めになった訳……ハッキリとは申せませんが、恐らく……ピアノが楽しくなくなったんじゃないかと私は思います。4月の半ば位だったでしょうか。その日いつもの様に、一緒にスクールでレッスンを受けていたんですが…いつもは嬉しそうに弾く彼女が……ピアノに触るまで明るかった彼女が……触れた途端、無表情になって……でもその時はまだ………けど一時間くらい経った頃突然、彼女の音が走らなくなったんです………全く…」
そこまで言うと由衣は顔を伏せて黙り込んでしまった。
俺が最後にコンクールに出た頃だ……音が走らないって事は、技術的な事じゃないな。精神的な問題……一体何が美咲桜に起こったというんだ?全く…っていう事は、鍵盤を譜面どおりに叩くだけ…それじゃあ素人と同じだ。
それに…ピアノに触ってから無表情になった…か。という事は…自分の意思じゃないという事なのか?…だから楽しくない…『楽しい』が無いピアノに残るモノ…『苦痛』『意地』…空っぽだ。
そんなピアノに自分の音が乗りはしない。
もしピアノが原因で楽しくないのなら『怖い』『嫌い』『挫折』…位か、『怖い』か『嫌い』なら何か間接的な原因がある筈だ。『挫折』は殆どが自分自身による問題だし、美咲桜の性格から考えても…あり得ないと断言できる。……今の時点では判断できないな。続きを待とう…あのツラそうな表情を見る限り、そうなった理由を知ってそうだしな。
思考を中断して目の前に座る彼女に意識を集中した。考えてる間に3分位経った筈だが、彼女は顔を伏せたまま微動だにしない。埒があかないので軽く深呼吸して気を静め、意を決して口を開いた。
【正義】
「由衣はもしかして……美咲桜がそうなった理由を知ってるんじゃないか?……もし言いたくないなら…知らないなら…ゴメン。謝るよ。………知らないなら…ピアノ以外の事でもいい、その頃の美咲桜を教えて欲しい。……俺も3年間逢って無かったから、少しでもアイツの事を解ってやりたいんだ!…悩んでる時…苦しんでる時…悲しくて泣いてる時……ツラい時に何もしてやれなかった分…俺は…俺だけは……知っててやりたいんだ……いや、違うな………知らないと…背負わないといけないんだっ!!………これから先、アイツの隣に立って支えていく為にっ!!!」
俺の決意を告げてから再度頭を下げた。暫くそのままで待っていると、頭上から声が聞こえてきた。
【由衣】
「私が知っている限り…彼女はスクールの先生方と仲違いしていたみたいです。…彼女はいつも『貴方達が教えてくれる音楽は楽しくない!』『そんな弾き方じゃヒロ君の好きな私の音が死んじゃう!』『私が先生だと思ってるのはエリス先生だけ!』『契約通り自由に弾かせて下さい!』と言って先生方とよく口論になっていましたから……それに、もしかすると手を挙げられていたのかも知れません。個人レッスンの後、時々……腕に痣ができてたり…お腹を押さえてツラそうな表情をしてましたから……私が『どうしたの』って聞いても、『何でもないから』の一点張りで…」
彼女はそこで一旦言葉を切って、手元にある紅茶を口に含んだ。
手を…嘘だろ!?…何でそんな事!…何があったとしても、教え子に手を挙げるなんて許される事じゃない!それに…卵が先か鶏が先か分からないが、普段大人しい美咲桜がそこまで言うなんて信じられない。…………俺の好きな音…か。アイツも色々なモノを守ろうとしてたんだな。もし、それが原因でぶつかったとしたら……やりきれないな。結果的にアイツは…ピアノそのものを失ってしまったんだから。
【由衣】
「スクールではそんな感じで…それでとうとう、4月の終わりには来なくなってしまったんです。…学院も同時期に…」
【正義】
「感情を表に出さなくなった……か?」
口を閉ざし顔を伏せた彼女にそう言うと、小さく頷いた。
そういえば、学院で感情を表に出さなくなった理由って何なんだろうな?…スクールでの事が原因なのか?…時期は同じだけど……それだけでは何とも言えないな。他に要因があるかも知れないし、こっちはまだ断定できる段階じゃないな。……でも駅前のスクールは、近いうちに行かないといけないのは確かだな。……真相を知らないと前に進めない。
【由衣】
「それからの彼女は…人を寄せ付けなくなってしまって……話しかけても相手にしてもらえなくて……でも二年生になって、クラス替えをしてから凄く明るくなったんです。2人のクラスメイトと話す様になってから、以前の様に……今の彼女を知りませんから……その後は…比べようがありませんけどね?」
2人のクラスメイト…亜沙美や恋華の事だろうな。…本当に今あの2人と繋がっている事に、感謝しないとな。2人共ありがとう……二年もの間、美咲桜を支えてくれて。
眼を閉じてからこの場に居ない2人に、心の中で深く頭を下げた。
【由衣】
「私が桐原さんについてご存知なのは、こんなところでしょうか。……お役に立てましたか?」
そう言うと彼女は綺麗な笑顔を作って首を傾けた。
得られた情報は…駅前の音楽スクールで暴力を振るわれていたかも知れない事。先生と教え方についてぶつかっていた事の2つ位か。でも間接的な原因が解ったし充分だ…一歩前進ってところだな。まだ先は見えないけど……頑張ろう!
【正義】
「ありがとう由衣。充分に役立つ情報だったよ。……こっちもツラい事を思い出させてゴメンな?」
心を傷めながらも語ってくれた彼女に、席を立ち上がって深く頭を下げた。
【由衣】
「お役に立てて何よりですわ。七瀬さん…紅茶と桐原さんに対する熱い想い、ごちそうさまでした。……それでは私は門限がありますので、これで失礼させて戴きますね。…彌生さん、後はお2人でごゆっくり………頑張ってくださいましね?…それでは」
彼女はそう言うと席を立ち、此方に小さく手を振ってから出口に向かって歩いて行った。
本当にお嬢様なんだなぁ〜。歩き方にも気品を感じる。ハァ〜…恋華にも見習わせたい位だ。……美咲桜に対する熱い想いって…『これから先、隣に立って支えていく』って言った事だろうな。…まぁ本心だから恥ずかしくはないけどな。
【川上】
「ハァ〜…全くあの娘は…何を言ってるんだか」
川上さんは何故か頬を赤く染めて、体をくねらせていた。………………川上さん?
【正義】
「そこで体をくねらせている川上さんに、一つ聞きたい事があるんだけど……いいかな?」
そう言うと彼女の動きがピタッと止まり、両手を頬に当てて頭を横にブンブンと振った。
【川上】
「うんうんうん、何を聞いてもいいよ!…3サイズ?…上から8[ゲホッ!ゴホッ!!]…どうしたの?…突然コーヒーなんて噴いちゃって?」
一体さっき何を考えてたら、いきなり3サイズが出てくんだよ!……彼女、着痩せするタイプなんだな。…そんなにあるようには見えないんだけどなぁ…やっぱり女性は不思議だ。
噴き出したコーヒーを台拭きで素早く拭き取り、先程聞き損なった事を尋ねることにした。
【正義】
「此処(宮園)の校舎内に他校の生徒が入って良かったのか?……文化祭も相当、一般入場者の制限が厳しいのに…」
宮園女学院の文化祭はとにかく凄いらしい。(航調べ)生徒1人に割り当てられる招待チケットの数は3枚。そのうち2枚は親族限定で、入場する際には身分証明書を提示しなければならない。つまり一般招待客は、生徒数と同じ人数しか入場できない。宮園女学院に通う生徒は相当レベルが高い為、(何のレベル?)毎年飢えた狼達によるチケット争奪戦が繰り広げられる。因みにオークションでの最高落札額は一枚72000円(航が購入)………というくらい凄いらしい。
【川上】
「授業中は駄目なんだけど、放課後はコンビニとかファミレスを一般解放してるから…入っても大丈夫なんだよ。部室棟周辺は入れないけどね」
そう言って少し離れた席を指差したので、視線を向けると男性客が座っている席が目についた。
へぇ〜…この猫耳ウェイトレスも一般解放してるんだ。…まさか航とか居たりしないよな?
しっかし……男性客もそこそこ居るな。でも女子校なのに防犯意識が低すぎやしないか?…敷地内にこうもアッサリ男が入れるってのも……考えモノだよな?
【正義】
「解放するのは良いが……セキュリティが甘すぎだろ?…だから制服盗難事件なんてのが起こるんじゃないか?……俺も簡単に校舎に入れたし…」
正面玄関以外でカメラは観てないよな?…あの広い校舎でカメラ無しは無防備すぎだろ。…そもそも、俺がすんなり中に入れた時点で色々と終わってるし……父さんなら『生徒達が危険だから直ぐにでもプロに頼むべきだ!』って言うだろうな。
【川上】
「多分、七瀬君は女の子と間違われたんじゃないかな?……玄関に居る守衛さんに用件聞かれたりとか、ボディチェック受けたりしなかった?」
守衛なんて玄関には居なかった筈だ。この学院の管理体制は大丈夫なのか?
【正義】
「守衛すら見てないよ。……そのおかげで不審者扱いされて、巡回警備に捕まった訳。挙げ句の果てに……ハァ〜…俺は被害者だと思うんだが…」
【川上】
「ハハハッ!…確かにね!…警備については生徒会で議題―――」
彼女とはあれから一時間ほど警備について熱く語ったり(彼女は熱心にメモをとっていた)、お互いの近状報告等をしてから別れた。
1時間程かけ漸く帰宅して夕飯を摂ると、疲れた体を引き摺って自室に戻りベッドに倒れ込んだ。
【正義】
「色々ありすぎて疲れたけど……収穫の多い一日だったな」
川上さんも元気そうだったし、美咲桜の事も……まさか暴力を振るわれていたなんて考えもしなかった。でも、本当にそれが原因でピアノを辞めてしまったのか?……直ぐにスクールを辞めて別の所に通えれば良いだけだよな?……それに余程の事が無いと怒ったりしない美咲桜が、本当にあそこまでキツい事を言ったりしたのか?……これだけは、やっぱり信じられないな。
【正義】
「一因ではあるんだろうが……もし先に手を挙げられていたとしたら、少しの間スクールに通い続けた理由が解らない。美咲桜の性格から考えても逆の可能性は低いし、確かにアイツは負けず嫌いだが……クソッ!…さっぱり解らないっ!」
美咲桜…お前は一体何を抱えてるんだ。何がお前からピアノを奪ったんだ。何がお前を変えてしまったんだ。
【正義】
「まだ先は見えてこないけど……今できる事をやるしかない!……先ずは問題のスクールに行ってみないとな!」
俺のトラウマも何とかしないといけないけど……あんな事を聞かされた後じゃ、美咲桜の事しか考えられない。…………来週からテストだけど。
【正義】
「全てはテストが終わってから……………良し!眠いから寝る!」
布団を被ると同時に眠気が襲ってきたので、来週からの予定を考えながら眠りについた。
♯12は作風が変わったしまった為、本編が一区切りしたら大幅に修正する予定です。お粗末なモノで申し訳ありませんが、走り書きだと思ってください。…前話で無理な書き方をしたのが原因だと思ってますが、今回は更に変わってしまって違和感バリバリだと思います。まだまだ先は長いので本編を進めるという判断から、不自然な形でもとりあえず投稿しました。出来損ないを読ませた事をお許しください。長くなりましたが、それではまた次回♯13でお会いしましょう。