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♯1プロローグ【ハジマリノオト】

構想2ヶ月で出来たヘボ小説&初執筆なので見にくい・誤字・脱字等あると思いますが、完結を目標に頑張りますので宜しくお願いします。

アメリカ‐ワシントンのとあるマンションの一室


一人の女性がベッドの淵に腰掛けて慈しむ様にお腹を擦っていた。


「おめでたです」


先ほど産婦人科医に言われた言葉を思い出して、子供を授かった実感が漸く沸いてきて嬉しくなり、自然と口元が緩むのを感じた。


正人まさとさん、ビックリするだろうな。6年目でやっと1人目を宿すなんて。弟・正臣まさおみさんの子供、正己まさき君ももう5歳だしね。奥さんの優姫ゆうきさんも2人目が欲しいなんて言ってるし」


ベッドの脇に置いてある時計を見ると16:30と表示されていたので


「今日の夕飯は豪華にしましょう」


と言って立ち上がり寝室から出て、リビングを抜けキッチンに入った。壁に掛けてある白のヒラヒラが目立つエプロン(胸元に正人さんLOVEと黒糸で刺繍が施してある)を身に付けて、長いウェーブの美しい金髪を銀細工が特徴的な髪留めで一本に纏めシンクの前に立った―――










テーブルに綺麗に盛り付けたサラダ、切り分けて皿に並べたローストビーフに鍋に入っているコーンスープ用のスープ皿、フォークとナイフを並べた。何か足りない様な気がしてテーブルを見渡し、思いついたのかポンっと手を叩き


「そうだ、二十年物のワインも開けよう」

と言って食器棚からワイングラスを2つ取り出して、コースターの上に置いた。正人さんの好きなシーフードピザの入ったオーブンを眺めつつ


「遅いな」


と呟き、壁に掛けてある時計を見ると6:15分を指していた。いつもなら6時前に帰ってくるのに今日は遅いなと思いながらも、お腹を擦りつつ、この子にピアノを聴かせてあげようと思いついて、オーブンを開き焼け具合の確認後にタイマーをセットしてピアノの置いてある防音部屋に向かった―――










最近弾いてなかったのでアルペジオの練習にショパンのエオリアンハープを選び棚から譜面を取り出し、椅子を引いて腰掛け鍵盤の蓋を上げて譜面を立て掛けてから、軽く深呼吸してからゆっくりと思い出す様に弾き始めた―――






Trrrrr―Trrrrr―――



曲の終盤に差し掛かった頃、

備え付けの電話がけたたましい音を発てて鳴った。もうすぐ一曲終えるのに誰が邪魔してるのかな?と思いつつ立ち上がり、小走りで受話器を取った。


「(もしもし)」


英語で問いかけた


『リリス姉さん、落ち着いてね聴いてね』


優姫だったが声が震えていた。受話器を握り締め


「どうしたの?正己君が熱でもだした?」


優しく諭す様にいうと


『正人兄さんが会社から車で帰宅途中にトレーラーとぶつかって……亡くなった』


力が抜けて受話器を落としそうになるが、唇を噛んで何とか飛びそうになる意識を繋ぎ止めた。


『警察が言うにはブレーキ跡が無かったから、よそ見か居眠りじゃないかっていってたわ。』


そこまで聴いていたが力が抜けて膝から崩れ落ち、手から受話器が滑り落ちた。


受話器から何か聴こえたが意識が朦朧として聞き取れず、フラッとバランスを崩しフローリングの床に顔を打ち付けた瞬間意識が途切れた―――



















頭を撫でられる感じがして目を開くとと見慣れた寝室の天井が見えた。


【優姫】

「姉さん…起きても大丈夫なの?」


声が聞こえて顔を向けると優姫がベッドの淵に腰掛け、心配そうな顔で此方を見下ろしていた。


【リリス】

「私…いったい……」尋ねつつ上半身を起こした


【優姫】

「電話の向こうでドンって鈍い音がしたから急いで来てみたら、ピアノのある部屋で倒れてたの…もう1日経ったわ」


そう言って顔を伏せた


倒れる前の記憶を必死に思い出して、泣きそうになるのを堪えて恐る恐る尋ねた。


【リリス】

「正人さんはもう…もうっ……居ないのね」


優姫はビクッと肩を震わせて顔を上げると涙を流しながら、首を縦に振って此方に飛びついてきた。しっかりと胸に抱きしめて頭を撫でてやったら声を上げて泣き出した。


【優姫】

「イヤァーっ…兄さ…なんでっ…どうしてっ…どうして兄さんなの」


優姫はシャツの胸元を強く握り締めてきたので、トントンと背中を叩いてやり。


【リリス】

「たらればで話しても正人さんは帰って来ない。子供が出来たって直ぐに電話してたら、とか考えたけど正人さんならきっとお腹のこの子と幸せになれよって言うと思うしね」


泣きそうになりながらもできるだけ優しい声で諭す様に語りかけると、腕を解かれてゆっくりと泣き腫らした顔を上げ此方を見つめてきた。


【優姫】

「…本当なの?」


【リリス】

「こんな時に冗談が言える様な酷い人に見えるの?」


口を尖らせて、拗ねた様に言って顔を逸らすと


【優姫】

「ちっ違うのアレだけ子供が出来ないって、言ってたから…」


両手をブンブンと振り慌てて否定していた、それが可笑しくて堪えられずに


【リリス】

「フフフ…ごめんなさいね、あまりにも可愛くて。昨日診察していただいたばかりだから、初めて誰かに喋ったのよ。嬉しいでしょ?」


おどけて言うと首を縦にコクコク振って笑顔になり、右手の人差し指を唇にあて当てて首を横に傾けて


【優姫】

「…名前は決めた?」


予想の斜め上を行く質問に驚いたが、何とか返した


【リリス】

「普通第一声はおめでとうじゃないの?それに、性別は確認して無いの。名前は男の子なら正義まさよし、女の子なら梨理華りりかよ。六年も考えてたから、直ぐに決まったわ」


【優姫】

「おめでとう。リリス姉さん。それで何週目なの?」


そう言って笑いかけてきた顔は泣いていたのが嘘の様な笑顔だった。私が泣くのは一人になってからと心に言い聞かせ、もう正人さんの話を聞いても大丈夫かな?と考えつつも返した。


【リリス】

「6週目だって―――――」



















――日本‐天瀬川市立総合病院の産婦人科




一組の夫婦が硝子の向こう側で安らかな寝顔の男の子を見つめ、会話をしていた。


【???】

「アレでよかったのか?正義には全てを知る権利があるのに」


【???】

「まー君と私と貴方で幸せになるのが、一番の手向けじゃない?それにあの事以外は、ある程度大きくなったら話すつもりよ」


【???】

「そうだったな。すまない。強く自分に誠実に…か、正義には実家の護身術でも教えるかな?」


【???】

「あまり、乱暴にしちゃ駄目よ?まー君には私達のピアノも教えるんだから、指を痛めない様にお願いね?」


【???】

「わかったよ、四人分の愛情で、正義を幸せにしないとな……なぁ英理朱エリス


【英理朱】

「えぇ…そうね、明斗あきと。頑張りましょう!」


【明斗】

「おう!」




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