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黒の章  作者: 叢雲ルカ
第1章
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ファーストステージ⑤

 それから1週間後の夕方――――

 事務所にて。

 ルイとニカはいつも通りボランティア活動を終え、事務所に戻ってきた所だった。

「ザン先生」

 事務所に戻るとそこにニカの先生、ザンがいた。

「ニカか」

 ザンとリフィルは深刻な顔をしている。

「ニカ。今日は何をやっていた?」

「それは……」

 ニカは言えなかった。

 何だかんだで、今日2人は公園でゴミ拾いをした後、ルイに連れられ街に繰り出し、遊んで帰って来たからだ。

 ザンは真面目な男で、遊ぶ事等、許されていなかった。

「お前が、ニカのパートナーだな」

「そうだよ」

 ルイとザンが向き合い、険悪なムードが漂っていた。

「お前、ニカを堕落させるな」

「悪いが、んな事したつもりは無い。俺は俺のやり方で、この世界の在り方を教えているだけだ。それはあんたも同じだろう? 俺はあんたのやり方をとやかく言うつもりは無い。だから、あんたも俺の教育方針にケチつけないで欲しいな。あんたが先生でいる時間は終わったんだ」

 バシッ

 ザンの拳がルイの頬に当たり、ルイは壁まで飛ばされ、倒れかかったが寸前の所で止まった。

「下位ランクが上位ランクに逆らうな!!」

「ルイ」

 リフィルはすぐルイの所に向かい、体を支えた。

 ルイの唇から血が流れていた。反動で切ったようだが、気にせず、ザンをじっと見ていた。

「先輩!」

 ニカはルイの元に向かおうとしたが、ザンはニカの腕を握った。

「行くぞ。お前を再教育する」

「えっ、先生」

「お前はFランクの未熟者だ。だから、再教育をお願いした。今度はこんな下位ランクにならないようにしっかり、勉強も教えるいいな」

「ちょっと、それはあまりにも乱暴過ぎよ」

「もう、執行機関には頼んでいる。まあ、どうしてもと言うなら、俺と決闘をして勝って奪えばいい。そうだろう?」

 新人死神の成績が悪い場合、再教育を行う事が出来る。

 執行機関とは死神社会で取り締まりや罪を犯した死神の裁判を行う取締委員や、政治を行う理事会等がある大事な機関である。執行機関のメンバーはAランクの中でも選りすぐりの死神で構成された集団で、死神の社会は上下関係が厳しく、Fランクは肩身がとても狭かった。

「それは」

 リフィルは反論出来ない。

「最も、その男に出来たらの話だがな。俺はこれから、仕事があり急いでいる。覚悟があるなら、付いて来い。ほれ、ニカ行くぞ。これから、仕事で人間の制圧に向かう。お前はそれの見学をしろ。いいな」

「……はい」

 ニカはザンに命令され逆らえず、ゆっくりと頷き、ザンとニカは風のように消え、事務所を後にした。

「ああ、行っちゃった。ルイ。どうする?」

「所長はどうして欲しいんだ?」

「そりゃ、ニカちゃんを連れ戻して欲しいわ。あれはあまりにも酷すぎるもの。ニカちゃんの意思も尊重したいけど」

「そう、か。なら、連れ戻すしか無いな。アイツの意思はその後聞けばいい」

 ルイは殴られた時に切れ、血の出た唇を手の甲で拭い、その血をゆっくりと舐めた。


 ルイは黒い翼を広げ上空を飛び、リフィル、レン、ロウは屋上を猛スピードで走っていた。

「それで場所は?」

『第7地区にある公園よ。それより、大変なのよ。ルイちゃん』

 ルイは携帯電話を使い、スミレと話していた。

「何がだ?」

『どうやら、今回の任務は人間を退治するみたいなの』

 ルイはニカの居場所をスミレに聞いていた。

「それの何処が大変何だ? 退治は日常だろう?」

 退治とは人間を強制的に、この世界から排除する事を指す。

 間違っても、人間を死に追いやってはいけない。

 パラダイス・ワールドでの『死』はリアル・ワールドの『死』に繋がっているからだ。

 この世界には、誰が望んだか普通の夢と違い痛みが存在する。

 恐らく、生まれながらのドMがいたのだろう。

 しかし、それが返って良かった。死神も痛みを感じ、危険を知る事が出来るからだ。

 だから、間違っても殺してはいけない。リアル・ワールドに罪が無いからだ。

『それだけならいいのよ。問題はその数』

「数?」

『そう数。今、ちょっと調べたら、人間達が集まり喧嘩が行われるのは只の餌に過ぎなかったの。喧嘩を止める為に死神が向かったけど、本当はその死神を一掃する事が目的だったの』

 スミレはパソコンでもって調べ、ルイに報告していた。

「なる程、マンマと騙された訳か」

『そう。しかもまだ人間を集めているみたいだから、増えるわよ』

「そのサイト閉鎖出来るか?」

『勿論よ。あたしを誰だと思っているの?』

「ああ、そうだったな。お前、本当に医者?」

『リアルな話はしないでよ。ともかく、急いだ方がいいわね』

「ああ、そうだな。分かった。ありがとう。今度飲みに行くよ」

 ルイは電話を切り、3人の所に向かい、事を話した。

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