ファーストステージ③
それから30分後。
「ルイ。ニカちゃん」
リフィル、レン、そして、弁当箱をいくつも持ったロウがやって来た。
「やっと来た。おーい」
ルイは手を振った。
傍らには沢山のゴミ袋があり、ルイはベンチで寛いでいた。
そして、ルイの横でランスが素振りをしているニカの姿もあった。
「何で当たらないのよ」
ニカが小言を言っていた。
「ルイ。又、やったの?」
リフィルがため息混じりに聞く。
「ああ、ニカがどうしても俺と相手したいから、新人歓迎を兼ねてな。なかなか面白い道化だったよ」
ルイはウィンクをする。
ニカは完全にルイの術にかかっていた。
そして、ニカが道化をやっている間に、ルイはちゃっかり、仕事を終わらせていたのだ。
5人は公園の芝生にシートをかけ、ロウの作ったお弁当を食べていた。
レンとリフィルも別の場所でゴミを拾っていて、合流してお昼を食べる事にしたのだ。
ロウはその間、事務所の掃除やお弁当を作っていた。
この事務所の家事は全てロウがやっている。本当に家事が好きなのだ。
「もう、幻術使う何て卑怯です!!」
ニカが怒っていた。
「武器は使わないとは言ったが、力を使わないとは1言も言って無いぞ」
ルイはオニギリを口に入れた。
「それに幻術を見分けられないような奴が、上のランクに行ける訳無いだろう?」
次に鶏の唐揚げを頬張った。
「でも、ズルいです。正々堂々やって下さい!!」
「嫌だ」
ルイはあっかんべーをした。
「むきー!」
ニカはルイの挑発にしっかり乗ってしまった。
「ほら、二人共喧嘩しない」
リフィルが止める。
「だって、先輩が」
「俺は喧嘩しているつもりは無いぞ。こんなバカ。喧嘩の対象にもならん」
「むきー。絶対、ボコボコにしてやる!」
「……無理」
レンが急に呟いた。
「何が無理よ」
「ニカは絶対勝てない……」
「やる前から何で分かるのよ!」
レンに対して口を尖らせる。
「分かる。ルイは強いから……」
「いやー褒められると、嬉しいね」
素直に喜んでいた。
「……無駄に」
しかし、レンは付け加えて言った。
「無駄は余計だ!」
「ほら、レン君も喧嘩に加わらないの」
「……事実を言っただけ」
「まあ、そうだけど」
リフィルは困り果てた。
「ルイ先輩って、無駄に強いんですか?」
「だから、無駄は余計だ!」
「ええ、でも必要無いのに無駄にある力よ。この事務所1番よ」
「所長まで言うか」
「まあまあ、ルイさん。事実何ですから」
今まで黙っていたロウが話しかけた。
「ロウもそう思っていたのか?」
「ええ、正直な所……」
「お前らなー」
ルイはふてくされた。
「まあいい。勝負は勝負何だ。ニカ、1週間俺のパシリな」
「えー、所長」
「うーん。こればっかりはー、ルイと約束したんでしょう?」
「はい……」
「大丈夫よ。恒例行事だから、無理な注文はしないはず……多分」
「多分って何ですか!」
「ルイだからね」
「ああ、そうですか……」
ニカは不安で一杯になった。
「所長、何、いらん知恵を入れているんだ? それじゃなくったって、頭の容量が極端に少ないのに、減らすのはマズいだろう」
ルイは食べ終わり、片付けると立ち上がった。
「先輩、それどう言う意味ですか!」
ニカが反論した。
「所長、午後は俺非番だったよな」
「ええ」
「話しを聞いて下さい!」
「ニカ、とっとと食え。街に出るぞ」
「先輩。何で自分勝手に物を進めるんですか!」
「俺の後輩で、パシリだからだ。ほら、早く用意しろ」
「急かすな!!」
ニカは急いで、おかずを食べた。