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黒の章  作者: 叢雲ルカ
序章
4/26

それは1つの終わりであり始まり④

 少し小さい身長とそれに合った体重の、見た目10後半位の女の子が歩いていた。

 ピンクの髪に同じ色の瞳、視力が悪く分厚い眼鏡をかけ、たまにその眼鏡を上げていた。

 頬の辺りにそばかすがあり、女の子はかなり気にしていた。

 しかし、今はそのそばかすも吹き飛ぶ嬉しい事があったようで、足取りは軽やかだった。

「今日から私も死神だ」

 怪しく微笑む。名前はニカ。文字通り死神で、それも新米の死神であった。

 死神がどうやって生まれるか、今は定かで無いが、死神になる見習いは、1年間専門の勉強をして、それから、1人前になる。

 ニカはその勉強を修了し、晴れて死神になる事が出来る。今日はそんな日であった。

「おはようございます!!」

「ああ、おはよう」

 ニカは巨漢の教師に挨拶をした。名前はザン。

 ニカはこの男を尊敬していた。

 ザンもとりあえず、挨拶したが浮かない顔をしている。

「ザン先生。どうしたんですか!?」

「お前、テストはちゃんと受けたのか?」

「はい。バッチリです!!」

「その自信は何処から来るのかね」

「どうしたんですか先生?」

「お前の配属先が決まった」

「そうですか、どこになったんですか? 早く教えて下さい。あっ、先に死神ランクを教えて下さい」

 ニカが促す。

 ニカの心は躍っていたが、それとは裏腹にザンは気が重かった。

 死神ランクとは、死神としての適正度、死神の強さを示していた。

 A~Fランクとあり、Aランクの更に上にSランクがあった。

 勿論下に行けば行く程、死神としての能力が低くなった。

 ちなみにザンはBランクで、そこそこ強い死神であった。

「お前の死神ランクはFだ」

「えっ、F。あっ、でもEランクに近いスーザン所長やリー所長の所ですよね?」

 ニカは落ち込む事はせず、更に食い付いた。

 死神ランクは努力次第で上がる事が出来る。所長によってその可能性も上がるのだ。

 ニカが言った死神はFランクの死神の中でのリーダー格に当る。

「バカ。お前はリフィル所長の部下だ。お前どんなテストの受け方をした!」

「どんなって、普通に、六角鉛筆を転がしてやりました」

 筆記テストと実技テストがあったが、筆記テストはどうやら当てずっぽうでやったようだ。

「えっ、間違っていないですよね?」

「マジもマジだ。全く、何処で、育成を間違えたんだか――」

 ザンは落ち込んでいた。

 死神と見習いはマンツーマンで教える。下のランクになるのは、教師の責任でもあった。

 実技も散々の結果で、ザンは落ち込んでいた中、筆記で追い討ちをかけた。

「でもでも、頑張れば上のランクも!!」

「無理だな。あそこは問題児しか揃っていない部署だ。つまり、お前はこの世界で戦力外に立たされたんだ。それだけならまだいいが、あの部署は特別行けない場所も多い。経験も不足になるのは必至だ。つまり、ランクを上げる事が不可能と言う事だ」

 低いランク程、死神は行く場所に制限がかかる。

 Sランクになれば、あらゆる場所に足を運ぶ事が出来た。

「でもでも」

 ニカは何度も食い下がったが、ザン視線を逸らした。

「来たようだぞ」

「お待たせしました」

 にこやかにリフィルが現れた。

 その隣で、ルイが大きく欠伸をした。

(何、このやる気の無い)

 ニカはルイから視線を逸らし、リフィルを見た。

(何て綺麗何だろう)

 ニカはつい顔に手を当て、そばかすを気にした。

「美しい薔薇にだって棘があるように、あの女にも棘がある。教師として最後の忠告だ」

 ザンはニカの背中を軽く押していた。

「初めまして、所長のリフィルよ」

 リフィルは手を出した。

「あっ、ニカです」

 ニカも手を出し握手を交わした。

「ほら、ルイも挨拶しなさい」

「ああ、ルイだ」

 リフィルに言われ、何となく、適当に挨拶した。

「大変だろうけど、この人がニカちゃんのパートナーよ」

「はあ」

 ニカはルイをもう1度見る。

 けっしてブサイクな顔ではない。

 只、やる気が無い。もっと言えば生気を感じる事が出来ないので、だらしなく見えた。

 ニカは本能的に苦手と感じた。

「あのー。よろしくお願いします」

 それでもニカは元気よく挨拶した。

「ああ、よろしく」

 やる気無いオーラが出た。

「さっ、帰って事務所で、歓迎パーティーやりましょう」

 ルイの無気力な空気が漂う前にリフィルが、話した。

「ありがとうございます」

 ニカは喜び、再び気合いが入った。

「よーし、明日からガンガンダメな人間達を懲らしめて行くぞ」

「何、言っているんだお前。この部署は人間の取締りはやらねーぞ」

 ニカのやる気にルイが水を差した。

「へっ?」

 ニカは初めて顔が歪んだ。

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