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黒の章  作者: 叢雲ルカ
第2章
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大罪の対価⑮

 それはルイとリフィルが始めて出会い、キラがかかわった失踪事件が終わり、リフィルは罪を認めFランクの配属になった頃の話だ。

(今日から、この事務所の所属になるのね)

 仕事に慣れたらすぐ長期の休みを取り、ルイを探し出し、お礼が言いたかった。

 リフィルは色んな思惑を胸に秘め、扉を開けた。

「あのー。今日からここで働く事になったリフィルです」

 元気よく挨拶したが、事務所は閑散としていた。玄関近くの机に一人だけいる。

「よーし、こーすれば、やったぁ、出来たぞ。100分の1スケールの戦闘機。おお、格好いい!!」

 目をギラギラ輝かせて、出来上がった迷彩色の戦闘機を見ていた。

 それは紛れもなくルイである。

「あのー」

 色々拍子抜けしたリフィルだったが、とりあえず、ルイに声をかけた。

「ああ、新しく配属になったんだよな。ここの所長、今、訳あっていないよ」

「訳って、ちゃんと連絡いきましたよね?」

 一応確認する。

「ああ、来たよ。訳と言っても恐らくパチンコやってるな。もう時期帰って来ると思うよ。財布空っぽにして、他にも3人いるが、運動会のお手伝いに行って、帰りは夕方になる」

「奉仕活動って、運動会の手伝いまでするんだ」

 幅広い仕事内容で少し驚いた。

「んで、俺がお留守番って訳、新人が来たのに、事務所空っぽはあまりにも可哀想だからな。ここまでで質問は?」

「有りすぎるけど、一応無い」

「そう? だったら、適当に座ってくれ、茶と菓子出すから、コーヒーでいいな?」

 ルイは舐め回すように戦闘機を見た後、立ち上がり給湯室に足を運んだ。

「ねえ」

 リフィルは言われた通り近くにあったソファに座る。

 目の前のテーブルには、エッチな本やパチンコの本が無造作に置かれていた。

 リフィルは視線を逸らしながら雑誌を纏めて置いた。

「何だ?」

 給湯室から出て来て、リフィルの前にコーヒーとケーキを置く。

「ルイだよね?」

「どっからどう見てもそうだろう。1週間ちょっとで忘れたのか?」

 キラを倒した後から2人は会っていなかった。

「違うわ。そうじゃなく」

「言っただろう? 俺はFランクの死神として活動していると。ここが活動拠点だ。又、会ったな。運が良かったみたいだ」

「誓約書にサインしただけよ」

 リフィルはFランクに配属される前に誓約書が渡され、内容はこんな事が書かれている。

 ~私は永久にFランクで奉仕活動を行います。どんな事項が起きても、再びランクを上げる事はしません~これだけである。

「その前に色んな道があっただろう。その中でたまたま出会った。運がいい事だろう。まあ、食えよ。このケーキ無茶苦茶美味いぜ」

 ルイが食べると後からリフィルも食べた。

「本当だ。美味しい」

「だろう。この事務所自慢のコックだ。ロウつー野郎何だが、体はデカいし、顔は怖いけど、料理の腕は1流何だ。それが、毎日食えるんだぜ。幸せだと思わないか?」

「ええ」

 リフィルは笑った。

「そうだ。笑った方がいいよ。作り笑いじゃなく、本当の笑いが見たかったんだ」

 ルイは安心していた。

「ルイ、本当にありがとう。私は凄く愚かだった。あまり上手くは言えないけど、ルイに会わなければ今頃、どうなっていたか」

「別に、これも任務だからね。キースに頼まれてやっただけだ」

「キースって知り合いなの?」

 リフィルに誓約書を渡したのはキースであった。

「当たり前だろう。同じSランクだ。まあ、違うのは俺が下のランクをキースが上のランクを見るって事かな。やっている所は違うが目的は同じ、死神内部の治安維持だよ。まあ、Sランクは少数精鋭部隊だから、大した事は出来ないが、やらないよりかはマシだと思ってやってる」

「そうなんだ」

「それにあの誓約書は俺が頼んで渡した物だ。サインした瞬間ここに来る事が決まったんだよ」

「そうだったんだ」

「まあ、いい加減女も欲しかったんだ。この事務所、野郎しかいないからむさくって仕方ない」

「ああ、だから……」

 無造作にエロ本が置いてある事に納得した。

(後で片付けよう)

 リフィルは心の中で誓った。

「ねえ、ルイ。話は変わるけど」

「ん? どうした」

 ルイはケーキを食べ尽くし、物足りない顔をしていた。

「私、ルイが好きなの。付き合って、いえ、もう付き合うの決定よ」

「はっ、ちょっと待て、俺の気持ちは?」

「大丈夫よ。その内慣れるわ。私はルイの強さに惚れたの。ルイ」

「待て、たんま」

 リフィルはルイに唇を合わせようとしたが、ルイは素早く逃げた。

「もう、覚悟が足りないんだから、私は強い人が好きなの」

 リフィルはルイを追いかけ、事務所内での追いかけっこが始めた。

「だからって何で俺何だ」

「強いじゃない。それにルイ、私に言ったよね。求めている強さを持っているって、好きになったんだから仕方ないじゃん」

「あれは仕事で言葉のアヤだ!」

「もう、いけず」

「全く、何で、あそこで当たらないんだ。ルイ、戻ったぞ」

 玄関を開け文句を言いながら入ってきた男が、ルイと追いかけっこやっていたリフィルに目をやった。男はこの事務所の所長である。

「すげぇ。美女、これが新しい死神か」

 所長は鼻の下を伸ばした。

「あっ、所長丁度良かった。俺、用事を思い出して今から出ないといけないんだ。後は頼むよ」

 ルイは早口で所長に言うと、窓からルイは出て行った。

「分かった。任せろ」

 所長は乗り気になった。

「ちょっと、ルイ逃げないでよ。もう、照れ屋何だから」

「リフィルさん。これから、お茶でも」

「この雑誌片付けて下さい!」

 リフィルはソファに座り、所長にエロ雑誌を投げた。

 その口調はとても強かった。

 ルイには隠していたが、相当気にしていた。

「あっ、はい!」

 所長は言われた通り、片付け始めた。

 リフィルはこうして、事務所に馴染んだのだ。

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