表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の章  作者: 叢雲ルカ
第2章
23/26

大罪の対価⑫

 ルイはゆっくり目を開けた。

「ルイさん。良かった気が付いた」

「ここは……キラ! キラは見なかったか!」

 急に起き上がると激痛が走った。

 まだ、ロウの治癒術が終わっていなく、身体を貫いていた分、回復にも時間がかかった。

「先輩、まだ、無理しないで下さい」

「……見てない」

 レンが淡々と答える。

「あの野郎!!」

 ルイは立ち上がり、瞳孔を開き、怒鳴った。

「許せねー、ぶっ殺す。誰が雑魚だ。誰が!!」

「先輩、体が、無茶しちゃダメ」

「五月蝿い。いくらお前でも殺すぞ」

「でも、先輩が」

「ダメ、今のルイに何を言っても無駄。手を出さない方がいい」

「その方がいいです。ルイさん。完全に頭に血が上っていますから、こうなると、誰も止められません」

「それで死んでもいいんですか?」

 ニカはルイの前に立つ。

「誰が死ぬって、ニカ。退け、退けぇ!!」

 今までに見た事もない形相でニカを睨む。

 ニカはその目に怯え、横にズレた。

「先輩」

 ルイは翼を生やし飛んで行き、3人は見守る事しか出来なかった。



 ルイの怒りが頂点に達した。

 一部屋全てを目茶目茶に破壊した後、事態に気付いたカナミはルイを止めた。

 カナミの力でルイの怒りはやっと納まった。

「ルイは意外と頭に血が上りやすい性格なのじゃな。落ち着くのじゃ」

「だって、キースが、僕の話しを聞いてくれないんだぜ」

「あやつは、いつもそうじゃぞ。そんな事を気にしていたら、これからやってはおれなくなるぞ。ルイ、少しは冷静に物をみるのじゃ、そうでなければ、見える物も見えなくなるぞ。ルイは優しいから、きっと大事な物も出来る。このまま行けば、大事な物まで失うかもしれぬ」

「うーん」

 ルイは考えた。

「まあ、その内で良い。ここにいれば成長は遅いかもしれぬが、理解出来れば成長も出来る」

「分かった。やってみる」

 ルイはカナミの言葉を素直に聞いた。



(ちぃ、昔の事思い出しちまった)

 ルイは舌を打ち、ビルの屋上に降り、フェンスに座るとタバコを吸った。

 目を瞑り、しばらく風に当たると、タバコを消し立ち上がった。

(考えてみたら、タバコもカナミに薦められた物だったな)

『気持ちを落ち着く為にも、タバコを吸ってみるといい』

 それが始まりで、そして、ヘビースモーカーとなった。

「よし、行くか!」

 ルイは微かに笑うと、左耳に付いている赤い石のピアスに手を当て、もう1度飛んだ。

 頭を冷やすと、キラの行方は自然とすぐに分かった。

(さっきは見つからなかったが)

 身近な所にクリスタルの要塞があった。

「あれ、動きが止まってる。まさか、所長。竜神一刀流・攻の太刀竜の閃光」

 ルイは日本刀を出した。

 羽根を消し、降りる勢いを利用し、刃を光に変え、クリスタルを破壊した。


 クリスタルの中でリフィルが必死にキラの攻撃にしていた。

「ルイ」

「遅くなって悪かったな」

 ルイはクリスタルを破壊しながら、リフィルと合流する。

「ルイ。大丈夫?」

 ルイの破れたシャツを見て心配した。

「ああ、大丈夫だ」

「まだ生きていたか、死に損ないが」

「あんたにだけは言われたくないな。所長、さっきの空き地に行け、そこにレン達がいる」

「分かった。ルイ。でも約束守ってよ」

「当たり前だ」

 リフィルはジャンプして、ルイの開けた穴から脱出した。

「さて、ファイナルラウンド始めようか」

 ルイはキラを見る。

(カナミ。あんたは自らの力を恐れている。1人で背負えないから俺に……考え過ぎか。まっ、お陰で野郎に勝つ算段が組めるからな)

 ルイは笑った。

「万策尽きて頭可笑しくなっか? この無限に再生するクリスタルにお前はなすすべも無い」

「いや、その逆だ。寧ろ俺自身の力の在り方を考えさせられる」

「何をバカな事を言ってやがる」

「バカ? そりゃお前だろう? ブラックレイン」

 ルイは金色の懐中時計を取り出した。

 すると、懐中時計は黒く光りゆっくりと宙に浮き、再生を終える前に懐中時計は抜け出し、上空まで上がり止まった。そして、雲が広がり、クリスタルを包むと黒い雨が降り始めた。

 雨は少しずつ大振りになり、雨がクリスタルを溶かしていた。

「何をやったか知らないが、こんな雨大した事無い。又、直せばいい」

「そうか、ならこの雨は永遠に止まないな」

「何だと」

「この雨は破壊の雨、この一帯全ての力の基、つまり夢を破壊する。破壊が終わるまでこの雨は止まないよ」

「何だと、ふざけるな。お前の力何ぞ。踏み潰してやる」

 キラはクリスタルで出来た刃を数本だし、ルイの所まで飛ばした。

 勢いがあったのは始めだけ、徐々にクリスタルは細く小さく、スピードも遅くなり、ルイの所に来た時には殆ど無くなっていた。

「何だと、だったら、近付いて――――何、動かない」

「もう、雨が染み込んでいる。お前の攻撃は俺には届かないし、当たらない」

 雨は本降りとなり、どんどんクリスタルは溶けて、キラは小さくなっていく。

 ルイはその場から動かず、じっと立って溶けるのを見ていた。

「くっ、何だこの力は、たかが一介の死神が持つ力じゃない!」

「ああ、お前には言って無かったな。俺は只の死神じゃない。Sランクの死神だ。それも、帝様に仕えし死神だ」

「バカな」

 キラは動揺を隠せないでいた。

「それと、もう1つ、帝様に仕える死神は特技を2つ持つことが出来る。1つは本来持つ力、そして、もう1つは帝様が与えた力、この雨は帝様のお力だ。ありがたく、受け取れ」

 どんどん小さくなるキラに笑ってみせた。

 キラは余裕の表情が一変して、恐怖の顔になった。

「なあ、止めてくれよ。俺が悪かった。なあ、助けてくれ、いや、手を組もう。それて、この世界を手に入れよう」

 小さく弱っていく己の体に危機感を抱いたキラは、ルイに命乞いを始めた。

「嫌だな」

 ルイは子供が意地悪するかのように言い放つ。

「そこを」

「お前、本当にバカだな。帝様に仕える俺が、帝様を裏切る訳無いだろう」

「じゃあ、命だけでも」

「悪いが俺は、2度も俺に刃を向け、腹に穴を開けた男を、はいそーですか、と、許す程大人でもないし、前にも言っただろう? 女を自分の所有物にする、お前みたいな最低男を許す程、男として我慢出来る性分でも無い。さあ、残りの時間を後悔しながら過ごすんだな」

「止めろ、止めてくれ」

 キラは叫んだが、その叫びがルイには届かなかった。

 ルイはキラを見下し、クリスタルが完全に溶けるまで待ち続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ