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黒の章  作者: 叢雲ルカ
第2章
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大罪の対価⑪

 ルイが死神になって半年が経った頃だった。

「お主、この世界は好きか?」

 始めの言葉はこんな感じだった。

 目の前にいたのは死神を生み出した創造主。帝と呼ばれる人であった。

 帝の名前はカナミ。その幼き姿に反し、何百年と生きている。

「はい。大好きです! 見る物全てが新鮮で、特に水族館のイルカショーはサイコーでした」

「ふうん、そうか」

 ルイが語るとカナミが微笑んだ。

「こら、態度がデカいぞ」

 あまりにも熱く語るので、キースに怒られた。

「すみません」

「まあ、よい。それより、主には生前の記憶があると聞いたが本当か?」

「うーん。僕、死んだ自覚無いんだけど、気が付いたらここにいて、今日から死神だ。何て言われた。んでも、死ぬ前に患ってた病気に苦しむ事無いから、やっぱり、死んだんだな」

 ルイは急に暗い顔をした。

「うぬ。死神は死んだ者しかなれぬし、この世界に病は無い。病気と言っていたが、そんなに重かったのか?」

「ああ、生まれ付き病弱だった。殆ど外の世界を見た事無い位に。まあ、他にも理由が無い事も無いが、だから、解放されて、僕嬉しいんだ」

「そうか、良かったのう。この世界は人間の創造で出来ておる、退屈しないぞ」

「はい」

 ルイは笑った。

「して、主、名前は?」

 カナミは急にルイに近付き、興味深く、ルイの顔をジロジロ見ていた。

「ルイです」

 ルイは緊張の面もちで、カナミを見ている。

「主、いい目をしておるのう。気に入った。わらわはカナミ。帝とは呼ばず、カナミと呼び捨てで呼んでくれ」

「しかし、それじゃ、立場が」

 キースを見る。あの死神が怖い事をルイは分かっていて、顔色を伺っていた。

 実際キースは睨んでいる。

「ルイ。わらわの命令聞けぬのか?」

「分かりました。カナミ」

「そうじゃ、それでよい。それよりルイに力が欲しく無いか?」

「力? うーん。特技あるしな。うーん」

 ルイは困った顔をした。

「ルイ。少しは欲を持て」

「欲しいです」

 周りに威圧され、渋々言った。

「それで良い」

 カナミはルイの手を優しく握り、強く祈った。

「えっ」

 すると、ルイの体が熱くなり、力が湧いて来て、最後にカナミからキスをした。

「はい。終わり」

「なっ」

 ルイは驚き、顔を赤くした。

「主、意外と初じゃのう」

「ううっ」

 照れて視線を逸らすルイに対して、カナミは笑った。

「それよりカナミ様。どんな剣あるいは盾ですか?」

 恐らく興味は無いが、形式上聞いていた。

「ルイにはどんな攻撃を凌ぐ盾も、どんな守りを貫くキースの剣も渡しておらぬ」

「では何を?」

「二人の力には遥かに劣るが、素晴らしい力。創造の力じゃ」

「創造? ですか?」

 ルイは数回まばたきをした。

「そうじゃ、どんな力も使える。強さは本来の力より劣るが、主の気持ち次第でいくらでも上がる。だが、忘れて欲しく無い事が3つつある。1つは、使える力は1つまで、主の特技と合わせると2つまでじゃ、2つ目どんなに強い力を持ってしても、キースと差しで勝負しても絶対勝てぬ。そして、最後は主が望むなら、この世界を終わらせられる。この意味分かるか?」

「カナミ様。何て力を」

 キースが柄にも無く驚いた。

「言ったじゃろう。ルイには夢の力を与えたと、この世界は夢で出来ておる。夢の破壊者は人間では無い。この世界を創ったのが人間じゃからな。破壊者は死神じゃ。しかし、いち死神にそんな力は無い。まだ、無くなって貰いたく無いから。じゃが、その力を持った者がおっても不思議じゃないだろう。その力をルイにやったんじゃ。じゃがルイ。その力はルイも滅ぼす。生半可な覚悟で使ってはならぬぞ。己の身も破滅するから」

「分かりました。ありがとうございます」

 ルイは深々と一礼した。これがルイの力の原点である。

 それは、ニカに会う80年位前の話だ。

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