大罪の対価③
そんな話が繰り広げた、5日後――――
病院の外にて。
「ザン先生大丈夫ですか?」
ザンは傷の手当てをして、検査で入院して、今日が退院の日であった。
死神は傷の治りが早い、それに加え、回復術がある為、2、3日で退院出来るのだ。
「ああ、あの男が必要以上に手加減したからな。ニカお前はこれから、ルイの所で働くんだな」
「はい」
「なら、気を付けろよ。あの男、何か隠しているだろうからな」
「うん」
ニカは頷いた。
「いや、あの事務所事態がそうなのかも知れないな」
「そう言えば、先生は所長には気を付けろと言っていましたけど、知っているんですか?」
「直接は知らないが、あの女は死神殺しの大罪を犯したんだ」
「そんな」
「本来なら処刑されても可笑しく無いのだが、あそこにいる。何だかの力が働いているとしか考えられない訳だが、それがあの女の力かもしくはもっと上の権力か。どちらにしても、注意した事に越した事は無い。恐らくあの事務所にいる他の死神も、何だかの大罪を犯しているだろうからな」
「分かりました」
「ニカ。何かあれば、すぐに帰って来い」
「はい!」
ニカは元気に返事をした。
「ニカちゃん」
リフィルがニカを呼ぶ。
「あれ? 先輩は?」
「ルイは死神の会議に行ったわ」
1週間に1度程、ランク毎の会議があり、主に情報交換が行われる。
ルイはそれに参加したのだ。
本当は所長であるリフィルが行くべき物だが、1ヶ月に1度はルイが行く事になっていた。
今日はその方が何かと都合がいいのだ。
「今日はルイの方がいいから。ほら、あれで1番長くこの事務所にいるからね」
「ああ、そー言えば」
ニカは思い出していた。
一緒に奉仕活動をしている時、ニカがどうでもいい話しを切り出して来る。
ただ、黙々とゴミを拾うのが、ニカには苦痛なのだ。
ルイは分かっているのか、何だかんだ文句を言ってもちゃんと答えてくれた。
その中でルイは自分の年齢を明かした。
80年位は死神をやっているらしいが、正確な所は覚えていないとか。
死神は戦場に出て人間と戦わなければ、ずっとこの世界にいられる不老不死の生き物だ。
その為、ルイ達は年を取らず、長く生きていれば、年齢に頓着を無くす死神も少なく無い。
ルイもどうやら、そんな死神の1人のようだ。
ニカはザンと別れるとリフィルと話した。
「でも、何で先輩は所長やらないんですか?」
「ニカちゃん。よく、考えてよ。ルイが所長になったら、仕事が疎かになるわよ。あの人根は不真面目と言うより、子供だから、何だかんだ言い訳して、仕事から逃げると思うの。しかも、大事な連絡事項もすっ飛ばしかねないし」
「ああ、やりそう」
「死神の性格は死神として生まれた時に、ある程度決まりそのまま、変わる事が殆ど無いから、生まれた時からあのままだと思うの。だから、言っても聞かないのよねー」
「じゃあ、レンさんや、ロウさんはどうですか?」
「確かに、私があの事務所に来た時には、レン君もロウもいたわ。前の所長も健在で、私は最初所長じゃ無かったし、でも前の所長が消滅した時、レン君やロウも考えたけど、ロウがなったら、家事が疎かになるでしょう。それは困るじゃん」
「まあ、確かに」
ロウの料理の腕前は格別である。
どうやら、1人1人の味覚を把握しているようだ。
「レン君だと、いい意味でも悪い意味でも無口だから、連絡事項を省略する可能性があるのよ」
「それもあり得る」
「となると、残りは私でしょう」
「そうなりますね。でも、今日はどうして先輩何です? いくら長生きだからって、所長代理はマズいんじゃ……」
「私が行きたく無いの。今日は、Aランクの死神がいるから」
月に1度、上のランクとの交流も会議と一緒にやる。リフィルはそれに参加したくなかのだ。
リフィルは悲しい顔をして、遠くを見ていた。
「すみません。何か悪い事聞いたみたいで」
「いいのよ。後ろめたい事をしたのは事実だし、他の死神に後ろ指指されても当然なのよ」
「所長」
ザンの言っていた事を思い出した。リフィルが大罪を犯したのは、間違い無いだろう。
「ルイは子供だけど、無駄に優しいから、私の代わりに行くって言ったのよ」
どうやら、自ら進んでルイはリフィルの代わりに行ったようだ。
「もう、ルイたら、本当は私に気があるのよ」
リフィルはその優しさに惚れていた。
(そこまでするなら、先輩も腹くくって付き合えばいいのに)
ニカはルイのだらしなさにタダ呆れた。




