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いつもの時間に起きて朝飯を食べてスーツに着替えようとしていた。
「ごめんくださぁーい!」
朝からなんなんだ?通販でもしたっけ?
いや、心当たりがない、とくに必要なものはないからな。
かといって近所付き合いもあまりしてこなかった僕の部屋に急に誰か来るはずもない。
教会にいた頃の奴には住所は教えてない、ただ一人を除いては。
でも僕が教えたのは男だ、こんな可愛い声の女の子に教えるわけもないし教えたところで来るはずがない、だとしたら誰なんだ?
「あのぉー!」
「はーい」
とりあえず玄関に向かった、誰だかわからないが女の子を待たせるのはあまり良くない。
玄関の扉を開けると女の子が立っていた、そりゃそうか、女の子の声しかしなかったんだから。
透き通るような純白のショートヘア、身長は160センチの見た目とは違ってかなり明るい子のようだ。
何よりも印象的なのは美しい空色の瞳だ。
「私!柊 夏海っていいます!今日からここで2年間お世話になることになりました!よろしくお願いします!」
「はい?」
「あのぉ、日下部透さんで合ってますよね?」
いやいや、そこはしっかりと確認しとけよ!
「あ、はいそうですけど」
「そっか〜じゃあこれからよろしくね!」
そう言うとキャリーバッグをもって部屋に入っていった。
「いやいやいやいや!おかしいでしょ!?君なんなの!?」
「いやいや、今言ったじゃないですか、柊夏海って」
「俺が言いたいのはそういうことじゃなくてだな!はぁ…、じゃあこの場所誰から聞いたの?」
「ん?神父からだけど?もしかしてこのことって聞いてませんでした?」
「きいてねぇー!」
神父に電話した、だが神父の携帯の電源が入っておらず出なかった。
しかも俺も次の電車を逃したら完全に遅刻してしまう。
「あのぉ〜頭抱えて悩んでるところ申し訳ないんですがそろそろ着替えてくれませんかね?」
俺はランニングとトランクスのままだった、確かスーツに着替えようとしてこうなったんだ。
「あ、うん悪いね、ってなにくつろいでるんだよ!てか仕事行ってくるからその間に教会に帰りなよ!」
とにかく僕は焦って家を出た、だが電車には間に合わず遅刻する羽目になった。