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君と僕の生きたしるし  作者: 感無量
運命の日
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西暦2138年、昔の人は空飛ぶ車や青いたぬきのひみつ道具など様々な文明的発展を予想していただろう。

しかしそんな奇抜なものは現在であっても実現はしない。

ただ、医療の発展が著しく様々な難病や不治の病を薬一つで治すことができるようになった。

医療機器も精密さや小型化が進む中とある会社が神の領域に踏み込んだ機械を開発した。

それは人の寿命を見ることのできる医療機器、通称『ライフ』

これは人の身体的原因や因果律などの様々な事象、現象などを分析して結果を導くもの。

『ライフ』が示す寿命は絶対に逃れることはできない。

『ライフ』に告げられた時間を1秒以上生きた人間は誰一人も存在しない。

だが『ライフ』でも死因まではわからない。

死ぬ時間だけしかわからない、つまりは事故死だろうと自殺だろうと病気だろうと結局のところ死ぬのには変わりない。


『ライフ』によって人生をめちゃくちゃにされた人間は少なくない。

産まれたばかりの子供の寿命が少ないと知って悲しみに耐え切れず捨てる両親。

少しでも長く生きたいと莫大な金を延命に使って財産を失った大富豪。

他にも多くの人がいるがそれでも希望はあると思う人もいる。

どれだけ酷い事故や怪我をしても定められた死以外に死ぬことはできなくなった。

これは嬉しいのか悲しいのかは人それぞれだが僕は悲しいと思う。


僕はこの世に生まれてすぐに母親の腕に抱かれることはなく『ライフ』のある部屋に連れて行かれる。

これは今ではいたって普通でどの人でも必ずそうするように法律で定められている。

だが僕はみんなとは少し違った。

診断書の寿命の欄に書かれた『unknown』の文字、つまり定められた死が僕にはない。

たぶんこれは短命な人よりも残酷な結果だと思う。

つまりいつ死ぬかもわからず永遠に生き続けなければならないということだ。

それを聞かされたのが生まれてから2年後のことだった。


僕の3歳の誕生日に家族で買い物に行った帰りに両親とはぐれてしまいあちこち彷徨っていたところ路上に出てしまいトラックに轢かれた。

体から絶え間なく溢れ出す血、凄く痛かった。

なんとか一命を取り留めた、普通の人なら絶対に死んでしまう事故だったらしい。

僕はその後とある教会に預けられることになった。

そして『unknown』の意味と僕が両親に捨てられた理由を理解したのが10歳の頃だった。






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