05 人間性
同時更新の二部目です。
俺達は迷宮を駆けていた。
あの化物がいつ俺達を追ってくるか分からない。
怪我をしたアイーシェを囮に置いてきたがいつまでもつか分からない。
俺達の中でも一番弱いアイーシェではすぐにやられてしまうだろう。
だが、俺達が生き残ればフォアブレイズはまだまだ大丈夫だ。
アイーシェよりも強いメイジも俺たちなら捜し出すことだって簡単なはずだ。
だから、今は迷宮の脱出を優先する。
何度か魔物に襲撃され、ギリギリの戦闘をしていたがなんとか切り抜けた。
そうして俺達はボロボロになりながらも迷宮から脱出する。
俺達の頭の中には一つの事で一杯になっていた。
金。
そう、俺達は一つ有力な情報を得たのだ。
守護者レベルの魔物の情報。それはとても高く売れる。
アイーシェという犠牲を払ったがそんなもの代わりはいくらでもある。
だが、守護者クラスの情報は既存の迷宮では手に入らない。だが新しい迷宮は路の危険がたくさんある。
最小の犠牲で最大の成果を得た俺達は幸運だった。
「おい!大丈夫か!?」
入る時に声をかけてきた衛兵が顔色を変えて走り寄ってくる。
それに俺達は手を上げて無事を知らせる。
衛兵はそれを見て安堵し、そして顔を強張らせる。
「おい!入った時より一人減ってるじゃないか!」
「魔物にやられちまった…!だけど俺達はそいつの死を無駄にしないですんだようだ…」
「何があったんだ…!?」
「こいつはとびっきりの情報だ。ありゃ、迷宮の守護者レベルの魔物だ」
「それは本当か!?」
「ああ…」
衛兵は上の人間を呼んでくると言って走り去った。
俺達はそれを見て笑みが浮かびあがる。
「やったなクレイヴ!」
「ああ、一回でこんなどでかい情報なんて俺達ついてるぜ。ドノヴァンは盾を新調する必要があるだろ?金が手に入ったらとびっきりの買おうぜ」
「ああ…」
ドノヴァンの表情は暗い。迷宮にアイーシェを置いてきた事に対して罪悪感を抱いているようだ。
「おい、ドノヴァン。そんな暗い顔するなって。どうせいつか俺達のチームから脱落するのはわかってたんだ。それがたまたま今日でたまたま魔物にやられたってだけだろ」
「だが…」
「それに今さら引き返したところで死んでるはずだ。だったら俺達のレベルにあった背中を預けられる仲間を探そうぜ。そのための金は手に入るんだから」
「そうだぜ。なんなら新しい仲間を見つけた後にまた迷宮に潜ればいいんだよ。そうすりゃ遺品くらいは見つかるだろ。それを拾ってくればいいんじゃないか?」
ケヴィンが俺の言葉に続く。ケヴィンもアイーシェのことを足手まといだと思っていのだ。
「そう…だな…」
ドノヴァンはそう言った頷いた。
まあ、あの女の事なんてそのうち忘れるだろ。
そりゃあフォアブレイズ結成のときからいた仲間だから少しは悲しい。
だが、今の俺達にあいつはついてこれない。だから死んだ。
探索者なら迷宮で死ぬ覚悟はあるはずだ。
戦闘中に口うるさいが弱い奴が居なくなってよかった。
いままではあいつに気を使って新しいメイジを誘っていなかったけど今のフォアブレイズの名声なら強い奴なんていくらでもみつかるはずなのだから。
だが、そんな気持ちは表に出さない。
俺達は仲間を失った悲劇のチーム、だがそれでも仲間の想いを受け継いで生還した奇跡のチームとして振舞わなくてはならない。
これから入るであろう金を想像して俺は笑みを抑える事が出来ず、にやけてしまう。
お偉いさんと話している時にそれが出ないようにするのが迷宮から逃げるよりも一苦労だった。




