No.1 夕美市立夕美中学校
ノートに書いてあるものを打ちなおしてます。
ノートではすでにNo.52まで書き終わっているので、
そこまではスムーズに更新できると思います。
わたしは、教室にいた。
赤く染まった教室にいた。
わたしは、教室をつつんでいく炎の中にいた。
なのに どうして―――――――――
優理ちゃんは休みだって、今朝、先生が言っていた。
だから、いつもは3人の教室移動も、今日は紗夜ちゃんと2人だった。
2時間目の理科の授業が終わって理科室から教室へ戻ると、もう次の授業の先生がいて、黒板になにか書いていた。
「起立」 級長が号令をかけた。
3時間目の授業は社会。
最後の授業が 始まった。
わたし、水乃 梨暗は、夕美市立夕美中学校の中学3年生である。
ゆるく波打つ、肩まである特徴的な黒い髪を左右でゆるくむすんでいるが、
このゆるく波打つ黒髪は、祖母ゆずりらしい。
祖母はもういないが、不思議な人だった。
わたしがいつもかけている伊達メガネも、祖母がくれた物だ。
『梨暗は昔のわたしに似てるから、これをいつもかけているように』と、
そう言って、わたしにかけてくれた。
その日から、わたしは家の外ではいつもこのメガネをかけている。
首につけているペンダントも、祖母がくれた物だ。
縦長のひし形で、中央には黒く十字架のような刻みがあり、その上に何本もの線がからまるように刻んである不思議なデザイン。
祖母が、他界する寸前にわたしにつけてくれた物だが、その日からはずれなくなってしまった。
先生に何度も注意されたが、何度はずそうとしてもはずれず、切ろうとしたこともあったが、かたいのか、切りにくい素材なのか、全く切れなかった。
結局、小学4年生だったその日から今までに、はずれたことは一回もない。
そう、祖母はそんな不思議な人だった。
だが、わたしがそれを気にすることはなかった。
わたしにとっては、それが祖母の当たり前だったから。
だから、わたしは知るはずもなかった。
祖母という人、その全てが、今のわたしにとって、重要な意味をもたらしていた、ということを。
社会の授業中。
わたしは、配られたプリントの問題を解いていた。
黒板には、『先生は研究授業で隣の教室へ行くので、配ったプリントをやっておくこと』と、白いチョークで書いてある。
2年生までの復習プリントで、表が地理で裏が歴史になっている。
わたしはなんとなく、裏の歴史の問題からやっていた。
後半では、日清戦争、日露戦争など、戦争についての問題が多くなっていた。
戦争―――― 多くの死者を出した戦争。
でもわたしは、いつもこう思ってしまう。
―――人って、こんな簡単に死ぬものなんだろうか―――
戦争に関する資料を読んでも、写真や映像を見ても、自分が、銃で撃たれたり、爆発にまきこまれたりするだけで死んでしまうなんて、とても思えなかった。
わたしが、こんな簡単に死ぬはずない。
そんな自信さえあった。
何故そう思うのかはわからない。でも、本当にそう思っていた。
わたしは、そんな簡単には―――――――――・・・
「!!!!!????」
突然の爆発音。
こんなことを考えていた最中だったので、一瞬、爆弾でもふってきたのかと思った。が、どうやら違うらしい。
「みなさん、落ち着きなさい。」
隣の教室から戻ってきた先生がそう言い、生徒たちは一瞬我に返る。
たが、次の瞬間、
「っ!!」
再びの爆発音。と同時に、
『ボォ・・・』
という、なにかに火がつく音が聞こえ、生徒たちはまた騒ぎはじめた。
「キャアアアアア!!」
女子生徒のだれかが、悲鳴をあげた。
見ると、窓の外、向かいの校舎が燃えていた。
先生が、慌てて教室のドアを引こうとしたが、
「・・・あかない・・・・・?」
さっきまであいていたはずのドア、窓は何故か全部閉まっていた。鍵はかかっていないのに、何故か、あかない。
「先生、窓を割りましょう!!」
誰かが叫んだ。
生徒たちが、次々にイスを思いっきり窓ガラスにぶつける。
「・・・・・!!」
渡り廊下を通じて、炎はこちらまでおしよせていた。
窓ガラスは割れない。
炎のスピードは速く、教室まで入り込んでくる。
「・・・・・っ!間に合わないっ・・・!!」
――――――――――――――。
わたしは、教室にいた。
赤く染まった教室にいた。
わたしは、教室をつつんでいく炎の中にいた。
あたりを見渡してみた。
みんな、床の上に転がっていた。
そんななかで、わたしは一人、炎の中に立っていた。
床の上のクラスメイトたちの中に、親友の姿を見つけた。
「紗夜ちゃん!!」
大声で声をかけるが返事はない。
わたしは、急いで親友のもとへとかけよる。
「――――――――・・・・・っ・・!!」
わたしは思わず目をそらした。
彼女が、あまりにもひどい姿だったからである。
よく見ると、他の生徒たちもみんなそうだった。
全身に火傷をおい、言葉にできないほど、無残な姿のクラスメイトたちがいた。
「い・・・いやっ・・・!」
そんな悲惨な光景から目をそらし、思わず自分の体を見る。
自分も、みんなのようになっていたって、おかしくないのに。
「・・・どうして・・・・・?」
火傷どころか、傷ひとつなかった。
そういえば、さっきからわたしは炎の中にいるといのに、『暑い』と感じるだけで、全く『熱さ』や『痛さ』を感じない。
さっきまで、社会のプリントを解きながら考えていたことを思い出して、わたしは少し、自分自身をこわく感じた。
「だれか、わたしの声聞こえてる人いますか!?いたら返事してください!!・・・手をあげてください!!」
床の上のクラスメイトたちに大声で問いかける。
だが、反応はない。
「・・・・・ドア・・・あかないかな。」
とにかく、もうこの教室にはいたくなかった。
わたしは、引き戸に手をかけた。
――――――――普通に、あいた。
「なんで・・・・・?」
さっきは誰があけようとしてもあかなかったはずなのに。
でも、これでやっと、教室の外に出られる。
わたしは廊下へ出ると、階段へ向かって走り出した。
走っている途中で何度も火の中を通ったが、服も体も、焦げ目ひとつつかなかった。
とにかく校舎から出ようと思い、3年生の教室のある4階から、1階までかけおりようとした。が、
「・・・・・?」
わたしは、3階におりたところで足をとめた。
3階の、1年生の教室がある廊下の奥に、一瞬、人影のようなものが見えたからである。
「だれか・・・いるの・・・?」
わたしはの廊下を歩き始めた。
しかし、もう人影は見えない。
「教室に入っちゃった・・・とか・・・?」
わたしは近くの教室の引き戸に手をかけた。その時、
「―――――――――・・・っ!?」
強い気配を感じて、ふりかえった。
そこにいたのは、高校生くらいの2人の男の子。
「永斗、さっきから動いてた人の気配って・・・」
「ああ。やっぱり十字か・・・。」
その瞬間、ひとつだけわかったのは、
その2人が
わたしとは正反対のモノだってこと。
話が進むごとに一話分が長くなっていきますが、
最後まで読んでいただけると嬉しいです。