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クラス一の美少女は主人公が嫌いで、ハーレムラブコメ被害者の俺と友達になりたがっている  作者: リーズン


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3/3

3話 自己紹介カードは??のフラグ

「えっと、ど、どうぞ」


「その、お邪魔します」


 やばい。めちゃくちゃドキドキする。


「私と……友達になってください!」


 美少女にそんなお願いをされた俺。


 人気がなくともこんな美少女が居れば目で追ってしまう人は居る訳で、彼女自身も緊張していたのか思いのほか声が大きかった。


 そしてそんな美少女が少し大きな声を出せば、当然内容は聞こえなくても注目を浴びることになる。


 その結果、二人してテンパった俺達はゲームを買うだけ買って足早に店を立ち去った。


 そしてどこかで腰を落ち着けて話をしようとなってここで失敗した。


「それなら家に来る?」


「えっ……」


 俺の言葉に小さく驚く彼女を見て失敗に気が付く。


 友達になってくれと言ってくれた女の子相手にすぐ、家に来ないか? など、事案も事案、通報案件である。


 いや、正直まだテンパっていたのだ。


 友達=どこかで遊ぶ。


 しかし外では誰かに見られる。


 なら友達だし家に呼べばいい。


 と、コミュニケーション能力皆無の頭が絞り出した答えは小学生のような単純思考。しかもそれを口に出してから後悔するとか遅すぎる。


 今から土下座すれば事案にはされないで済むだろうか?


 出来れば通報とかは勘弁して欲しいと切に願う。


「えっと、じゃあ、お邪魔してもいい?」


「えっ!?」


 マジっすか?


 即座に土下座をするために膝を軽く折り曲げた瞬間、俺の行動を止めたのは彼女の肯定の言葉だった。


 本来ならやっぱりなしとでも言うべきだろう。


 しかし、意を決したように少し赤い顔でそんな風に言われて、誰がそんな事を言えるというのか。


 もしもそんな事を言えば彼女に赤っ恥をかかせるようなものだ。


 その結果。


「えーと、適当に座っててくれる? 今飲み物用意するから」


「ありがとう。えへへ、男の子のお家とか初めてだからなんか緊張しちゃうな」


 うん。可愛い。


 そして純粋な子を騙したような罪悪感が凄い。


 いや、そんな意図はないけど、実際こんなにすぐに家に連れ込んでるからなぁ。


 100対0で言い訳すら許されないだろう。


「蒼月さんはなに飲む? とりあえずコーヒー、お茶、紅茶、麦茶に炭酸水とかもあるけど」


「色々あるね。じゃあ、麦茶貰っていい……かな?」


「了解」


 まあ、あれだ。


 全体的にどうしてこうなった。とかじゃなく、ただ単に自業自得感が凄い。


「おまたせ。後、はい。クッション」

 

「ありがとう」


 麦茶を用意して戻ると、蒼月さんはリビングのソファーとテーブルの間にちょこんと座っている。


 一瞬、ソファーに座ればいいのにとも思ったが、一人暮らし故、ソファーは一台しかなく、本人も家主を前にそれは座りにくいだろう。


 それに……話をする都合上、俺も正面に座るから、ソファーに座られると目のやり場に困る。


「えっと、それで、なんでいきなり俺に友達になって欲しいなんて言ったの? その、俺達別に接点とかない……よね?」


 うん。ないはずだ。


 自信がないのは若干不安があるから。


 こんな美少女なら忘れないと思うが、もし仮に接点があったら失礼過ぎる。


「うん。今まで話したりした事はなかったね」


 よかった。勘違いとかじゃなかったようだ。


「嫌とかって訳じゃないけど、じゃあ、なんで俺?」


「え、えっと……こ、これ見てくれる?」


 そう言って蒼月さんが少し躊躇いながら差し出してきた手のひら大のカード、そこには何やら色々と書いてある。


 あっ、これってニュースで見たな。確か、自己紹介カードって奴だ。


 一昔前、携帯機器がない時代、学生とかに流行っていたものが、最近また女子中高生を中心に流行り始めたとかって言ってたな。


 まさかそれを貰う日が来ようとは、そんなことを思いつつ差し出されたそれを手に取る。


「……これ、マジ?」


「えへへ、うん」


 俺の言葉に恥ずかしそうな顔で頷く蒼月さん。


 それもそうだろう。


 自己紹介

 名前     蒼月真白

 誕生日    10月7日

 血液型    A型

 性格     内弁慶、友達にはガンガン絡む

 特技     スポーツ全般

 好きな食べ物 お肉!

 嫌いな食べ物 特になし


 お肉に!マークは多少驚いたが、ここまではまあ普通だろう。


 だが問題はこの後の趣味の欄。


 そこにはアニメ、ゲーム、B級映画好きと書かれ、枠に収まりきらない、というよりも収める気が全くないほど、大量にアニメなどのタイトルが羅列されている。


 しかもそこに書かれているのは、どれもこれも一般にも流行った物だけでなく、コアなファンしか付いていないような、五分アニメやWebアニメから、ニチアサの女児向けアニメまでもが並んでいる。実に幅広い。


 ゲームやB級映画にしても同じくコアなものが陳列してる。


 そして最後の一言の欄には、同じ趣味の優しい人が見つかって興奮してます! と、書かれている。


「理由としてはそんな感じ。えへへ」


 確かにクラスで行われた自己紹介では同じような内容を話した。


 人と関わる気もあまりなく、面倒だったこともあり、バカ正直に話した結果、見事にオタク認定された出来事だ。


 俺の自己紹介が最初だったこともあり、その失敗以降は無難な自己紹介が多かったのも印象的だった。


 まさかこの邂逅の取っ掛りがそんな所だったとは……。


「そ、それに!」


「それに?」


「えっと、卍解とか少しやってみた事もあるし、詠唱も全部言えたりします……」


 ……うん。本物だ。


 恥ずかしそうに俯きながら言うその姿に、多少の訝しみは吹き飛んだ。


「そうだね。あれは誰しもやってみたくなるし、覚えるよね」


「そ、そうだよね」


 お互い真っ赤になりながらの告白する。


 うん。字面だと全く違う風に聴こえる不思議。


 それを告白する事がどれほど恥ずかしい事か。少なくとも俺は過去の黒い歴史の恥部を自分から晒す事など絶対したくない。


 とはいえ、勇気を出したその告白には自分も応えるべきだろう。そんな訳の分からない気持ちに押されて俺も過去の恥部を晒す。


 だが、だからこそ分からない事もある。


「でも、それだったら俺じゃなくても良かったんじゃ?」


 そう。それが素直な気持ちだ。


 実際、教室で静かにアニメについて語っているオタクグループもいるし、この辺のものなら多かれ少なかれ話は誰とでも出来るだろう。


 まあ、多少誰とでもと言うには内容が濃いのが多いけど、それでも学校一の美少女と仲良くなれるなら、歓迎されるだろう。


 少なくとも、こんな形で友人関係になるよりはよほど普通の行為だ。


「例えば小鳥遊と───」


「あの人は嫌」


 ピシャリと言い放つその姿が、今までのコロコロと変わる表情の蒼月さんと違い驚く。


 表情は固く、まるで感情が抜け落ちたような無表情。


 それは俺がよく知る学校での姿。


 無口で、一人が好きで、他人になんて興味がない、孤高の存在、しかし親友二人とだけは楽しげに話す子。


 しかしそこで俺の中のイメージは、ある意味で作られたものだと気が付いた。


 あれは自己紹介の時、小鳥遊は自分の番が終わると同時に、何故か蒼月さんの紹介を始めたのだ。


「彼女は俺の大切な幼なじみの一人で蒼月真白、基本的には無口で、さっき自己紹介した俺の幼馴染の紫音と琥珀以外には興味がないけど、本当は優しい良い子だから、皆もどうか仲良くしてやってくれ。なっ、真白」


「……どうでもいい」


 そうやって否定する事なく、ただ一言「よろしく」と言った蒼月さん。その出来事でクラス全員が小鳥遊と彼女が深い関係だと思ったに違いない。


 普段は素っ気ない態度をしているが、それは昔馴染みの関係性から来るもので、きっと学校以外では甘えるのだろう。


 実際、そんな感じの話をしている人は沢山居た。


 そしてそれは俺も同じだった。


 しかしそれが小鳥遊の一方的なものだとしたら?


 その想像にゾクリとしたものを感じた。


「私はね……」


 蒼月さんの声に想像から引き戻されると、彼女は少し恥ずかしそうにしながら俺の顔を見る。


「天城くんが良かったの」


 そんな事をさっきの無表情とは違う、訴えかけるような真っ直ぐな目で言われて不覚にもドキッとしてしまう。


 いや、友達だよね?


 しかし、友だち関係だもしてもこれはしょうがない、不可抗力と言うものだ。


「えっと……少し変なこと言うけど聞いてくれる?」


 その問いにコクリと頷くと蒼月さんは深く息を吐き話し始める。


「あのね。私、少し変わった特技みたいなものがあるの」


 意を決した彼女はそう俺に告白した。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

ついに蒼井さんが「なぜ主人公なのか」を語り始めました。

友達スタートなのに距離感がおかしい理由、次話で少しずつ明かされます。

「この子、可愛いな」とか

「小鳥遊ちょっと怪しくない?」とか

どんな感想でも大歓迎です。

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