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クラス一の美少女は主人公が嫌いで、ハーレムラブコメ被害者の俺と友達になりたがっている  作者: リーズン


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2話 友達になってください!

 キーンコーンカーンコーン。


 やっと終わった。


 憂鬱な学校生活の終わりを告げる鐘が鳴り響く。


 今日から楽しい週末、そう考えれば日々の疲れも多少は楽になる。


 今日はあのゲームの発売日だから、帰りに買って帰って夕飯はピザでも頼むかな。


 予定を決めた俺は素早く荷物をまとめ始める。すると俺の耳にとある会話が聞こえて来た。


 それは小鳥遊達の声。


 週末は全員で買い物に出掛ける。と言った内容だが、興味もないので聞き流す。


 だが、それでも聞こえてしまうほど声量が大きく、騒がしいのがまたイラッと来るポイントだ。


「なあ真白。お前達も週末一緒に行かないか?」


「……行かない」


 ハーレム主人公の小鳥遊と言えど蒼月さんの態度は崩れない。


「じゃ、じゃあ、これから何処かに───」


「行かない。用事がある」


「真白。もしかして?」


「遂に?」


「うん。頑張ってみる」


 小鳥遊の誘いをバッサリと切り捨てた蒼月さんだが、続く言葉に幼馴染で親友の二人が反応する。


 そしてそれに答える蒼月さんは、普段の見せないような決意を込めた返事を返す。


「真白、何するんだ? なにか用事があるなら俺も手伝うぞ。なんたって俺達は幼馴染なん───」


「いらない」


「ふっ、全く真白は本当に頑固だな。じゃあなにか困った事があったら言うんだぞ。俺が何時でも助けてやるからな」


 そう言いながら蒼月さんの頭を撫でようと手を伸ばす小鳥遊だが、蒼月さんはそれをするりと避ける。


 それでもやれやれと少し困った顔をして蒼月さんを見つめる小鳥遊。


 あれだけバッサリと切り捨てられても、まだ同じ言葉を吐き続けあんな態度を出来るのは大したものだ。


 とはいえ俺にはやはり関係ない。


「───ッ!?」


 荷物を詰め終わり立ち上がる瞬間、チラリと視線を向けると一瞬、蒼月さんと目が合った気がして息を飲む。


 しかし向こうは何事もなかったかのようにすぐに目を逸らした。


 まっ、気のせいだよな。


 言うなれば主人公サイドのメインヒロインがモブの俺を見ている訳がないし。


 一瞬、トパーズのような瞳が俺の方を向いていたと思ったがやはり気のせいだったようだ。


 そんな訳があるわけないのに───そう思いながら教室を足早に出た。


 足早に教室を出ると迷いなくゲーム屋に直行する。


「おっ、あった」


 やはり話題のゲームだからだろう、店に入るとやたらと目立つポップで装飾された専用コーナーが出来上がっている。


 手に取って裏面のパッケージを見る。


 これを見るのが意外と好きだったりする。


 内容は知ってるが裏面に書かれた煽り文を見るとワクワクしてしまうのはしょうがない。


「それってどういうゲームなの?」


「ああ、これは二チームに別れて、色んな武器で相手の陣地に色を塗ってくゲームだよ。最終的に自分のチームの色が多い方が勝ちっていう、陣取りゲームみたいなものだよ」


 いきなり質問され反射的に答える。


「へー、面白そう。初心者にはどんな武器がオススメかな?」


「そうだな……初心者なら射撃武器はエイムが苦手な人も多いだろうし、ローラーとかハンマーかな? ローラーで引き潰すと面白いよ」


「引き潰すとかひどいなぁ」


「まあね」


 あはははは、と互いに笑ってそこでふと気がついた。


 いやいや、俺、今誰と会話してるの?


 錆びたブリキの人形のようにギギギギギと首を後ろに向ける。


 するとそこには輝くような笑顔を向ける蒼月真白がそこに居た。


「蒼月……さん? なんでここに」


「もう、酷いな天城くん。私ずっと後ろに居たのに全然気が付いてくれないんだもん」


 そう言って頬をぷくりと膨らませる蒼月さんは、そんな姿もやはり絵になる。端的に言えばすごく可愛い。


 いやいや、なんで? ずっと後ろに居たってつけられてたって事? って、待て待てそんな訳がない。


 一瞬、ストーカーという言葉が浮かんだが、その瞬間少し冷静さを取り戻した。


 そんな気は毛頭ないが、俺が彼女をというならまだしも、彼女が俺をというのは絶対ないだろう。


 これなにかしらアクションしたら、物陰から小鳥遊が出てくる的な感じじゃないだろうな?


 ……いや、それもないなぁ。どれだけ頑張ってもイメージ出来ないし。


 どことなく違和感を感じながらも、何故かすごくフレンドリーに話し掛けてくる蒼月さんに、頭の中の混乱は更に加速する。


 しかしそこで一つの可能性に気がついた。


 あまりイメージはないが、彼女の用事というのがこのゲーム屋でゲームを買うことだという可能性。


 そう考えれば先に出た俺と行き先が同じだったのだから後ろに居た。という言葉も納得出来る。


 そして彼女は同じ行き先だった俺に一応声をかけてみたってところだろう。


 いや、そもそもコレが一番最初に出てきてもいいはずなのに、なかなか思い付かなかった辺り、俺も相当混乱していたらしい。


 まあ、この辺が妥当な所かな。むしろほかが思い浮かばないし。


「あっ、その、ごめん?」


「あはは、冗談だから謝らなくていいよ。いきなりでごめんね」


「いや、それは良いけど……えっと、聞こえてたんだけど、用があるって言ってたのはなんかゲームを買う予定だったとか?」


「ううん。違うよ」


 あれ、違った!?


 自分の中で一番確信が持てた答えが一瞬で否定されて少し焦る。


 じゃあ、何が目的なんだ?


「確かに私もゲームは好きなんだけど……今日の私の用事はここに来る事でも、ゲームを買う事でもなく」


 スっと腕を上げ蒼月さんがこちらを指さす。


 思わず後ろを向いて確認するが、そこにあるのはゲームが置いてあるラックだけだ。当たり前である。


「……えっと」


 どう反応すれば良いのか分からなくて曖昧な言葉が出る。


 しかし蒼月さんはそのまま一歩前に出て、トパーズのような瞳で真っ直ぐ俺に視線を向けニコリと笑う。


 その笑顔に不覚にもドキドキと心臓が高鳴り、急に店内の喧騒が消えた気さえする。


「私の用事は君。天城理人くんにだよ」


 一瞬、その言葉が理解出来ずフリーズしてしまう。


「俺……に?」


「うん。その……ね。天城くんからしたら突然でびっくりするかもなんだけど……」


 なにかを決意するよう一瞬、息を飲み込み再び俺を見詰める。


「あの、私と……友達になってください!」


 校内一の美少女。


 いや、きっとどこを探しても彼女以上に綺麗な人を探すのは難しい。そんな美少女から、高校入学してからずっとぼっちを貫き続けてる俺がそんなお願いをされた。


 そして俺はその段階になってようやく、蒼月さんが学校にいる時と違いコロコロと表情が変わっているのだと気がついた。


「アレが居ない今日がチャンスだから……」


 そう呟いた彼女の声は俺の耳に届かなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

この話は「告白」ではありません。

でも、確実に何かが始まった回です。

蒼月真白が、

自分で選び、

自分で動き、

自分で踏み出した瞬間。

そして天城理人は、

まだその意味を、

きちんとは理解していません。


※あとがきは、執筆支援ツールも参考にしつつ書いています。

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