第二話ー恋のデート訓練とアモーレ王国式告白模擬戦!
昼下がりのアモーレ王国王城――
王族用の庭園には、季節外れの花が咲き誇り、ハート型の雲が空を流れていた。
「おかしいだろこの空模様……なんで雲までラブシンボルなんだよ……もはや恋愛主義王国というよりこの世界そのものが恋愛主義だろ」
陸はベンチに座り、うんざりした表情で空を見上げていた。
胃袋へのダメージは徐々に回復したが、精神へのダメージは積み重なる一方だった。
空を見上げていた陸の顔を覗きみるようにアリアナが顔を出し
「ふふっ、陸くん。準備はできてますの?」
「なにが? まさかまた料理とかじゃ――」
「本日午後は、“模擬デート訓練”ですわ♡」
「デートも訓練される時代になったのかよ!? 恋愛が職業訓練扱いされてんじゃん!!」
アリアナはうきうきとステッキのようなものを振ると、庭園が一瞬で“王都デートコースセット”に変化した。
町並みの背景が、魔法によって立体投影されている。
「なにこの空間!? もはや恋愛版テーマパーク!?」
「デートスポット完全再現型訓練魔法ですわ♡」
「もはや誰かこの魔法にツッコんでくれよ! 誰が開発したんだこんなバカ魔法!!」
* * *
第一ステージ:恋人つなぎでショッピングモール散策(魔法映像)
「手を……つなぎますの?
では陸様!」手を差し出すアリアナ
「うっ……え、えーと、その、ですね……」
「陸様?、そんなに汗をかかなくても」
「こちとら異世界で初めて女の子と手繋ぐんですけどォォォ!!」
アリアナの手は白くて、小さくて、ふんわり温かかった。
顔を上げたらちょうど彼女が見上げてきて――
「……っ、目を合わせるの禁止にしよう! 即死するから!!」
そうしてショッピングモールを散策してゲームセンターのような場所に辿り着く。
もちろんゲームセンターも恋一色、2人の距離が近付いてドキドキ!恋のツイスターゲーム!やあなたのハートをキャッチ!恋のユーフォーキャッチャーなど意味の分からないフレーズが書かれた意味の分からないゲームだらけだった。
「頭おかしぃ、ほんと、どうなってだこの世界」
第二ステージ:恋人プリクラ風魔法カメラ撮影
「はい、笑ってください! ぎゅーっと近づいて!」
「近っ!? 顔近い!! 鼻息あたってるって!!」
「もっとぴったりと♪ ほら、ほっぺくっつけて――」
「メンタルが崩壊するゥゥゥ!!」
魔法のカメラがパシャリと音を立てて写真を残す。
見れば、映った陸の顔は完全に事故映像だった。
「目が死んでる!? 俺の目が完全に悟ってる! 仙人みたいな顔してる!!」
「ふふっ、素敵ですわよ♡」
「どこがだ!だれが得すんだよこの写真!!」
そんな下らない恋愛シミュレーションを散々させられデートは終盤に差し掛かる
第三ステージ:デート終わりに“模擬告白”を実施
「では最後に、“告白模擬戦”ですわね♪」
「その命名やめろ!? 戦じゃねえんだよ恋は!!」
「ルールは簡単。どちらかが“告白”をし、もう一方は“OK”か“ごめんなさい”の返事をするだけですわ♪」
「うっわ、脳が小学生に戻るくらい恥ずかしいルールきた……」
「では、私から。咳払い失礼しますわ――」
アリアナは小さく息を吸い、真剣な目で陸を見た。
「――陸くん。私、あなたといると、心がくすぐったくて、でもすごくあったかくて。ずっと、もっと一緒にいたいと思ってますの。……好き、ですわ」
「ちょっ……本気!? 本気で言ってんの!? 模擬じゃなくてガチめなやつじゃない!?」
「さて、陸くん。お返事は?」
「く!しれっとくん付けで呼んでくるのも心にグッとくる!この姫様…もしかしてやり手か!?」
(どうする……逃げたい……けど逃げたらこの世界での“好感度”が下がって魔物に狙われやすくなるって言われたし……)
「……あの……じゃあ、オッケー、ってことで」
「やったぁああああああ!! 初恋成就訓練、大成功ですわ♡」
「訓練の範囲超えてるってば!! 王女様が“やったー”って叫んで走り回るの国の威厳どうなってんの!!」
アリアナはジャンプして回転して、着地の勢いで地面のバラが咲き乱れた。
「え……なにこの国……告白成功しただけで天変地異おこるの……?魔法なの……それ?
どっからバラ湧いて来た!」
「では勇者様、本日の訓練の総評をどうぞ!」
「えー……“羞恥心と理不尽のマリアージュ”。これでいかがでしょうか」
「採点……100点満点ですわ♡」
アリアナの笑顔は、今日も全力で突き抜けていた。
そして陸は思った――
(この王女、たぶん俺の精神鍛えるために存在してる)昼下がりのアモーレ王国王城――
王族用の庭園には、季節外れの花が咲き誇り、ハート型の雲が空を流れていた。
「おかしいだろこの空模様……なんで雲までラブシンボルなんだよ……もはや恋愛主義王国というよりこの世界そのものが恋愛主義だろ」
陸はベンチに座り、うんざりした表情で空を見上げていた。
胃袋へのダメージは徐々に回復したが、精神へのダメージは積み重なる一方だった。
空を見上げていた陸の顔を覗きみるようにアリアナが顔を出し
「ふふっ、陸くん。準備はできてますの?」
「なにが? まさかまた料理とかじゃ――」
「本日午後は、“模擬デート訓練”ですわ♡」
「デートも訓練される時代になったのかよ!? 恋愛が職業訓練扱いされてんじゃん!!」
アリアナはうきうきとステッキのようなものを振ると、庭園が一瞬で“王都デートコースセット”に変化した。
町並みの背景が、魔法によって立体投影されている。
「なにこの空間!? もはや恋愛版テーマパーク!?」
「デートスポット完全再現型訓練魔法ですわ♡」
「もはや誰かこの魔法にツッコんでくれよ! 誰が開発したんだこんなバカ魔法!!」
* * *
第一ステージ:恋人つなぎでショッピングモール散策(魔法映像)
「手を……つなぎますの?
では陸様!」手を差し出すアリアナ
「うっ……え、えーと、その、ですね……」
「陸様?、そんなに汗をかかなくても」
「こちとら異世界で初めて女の子と手繋ぐんですけどォォォ!!」
アリアナの手は白くて、小さくて、ふんわり温かかった。
顔を上げたらちょうど彼女が見上げてきて――
「……っ、目を合わせるの禁止にしよう! 即死するから!!」
そうしてショッピングモールを散策してゲームセンターのような場所に辿り着く。
もちろんゲームセンターも恋一色、2人の距離が近付いてドキドキ!恋のツイスターゲーム!やあなたのハートをキャッチ!恋のユーフォーキャッチャーなど意味の分からないフレーズが書かれた意味の分からないゲームだらけだった。
「頭おかしぃ、ほんと、どうなってだこの世界」
第二ステージ:恋人プリクラ風魔法カメラ撮影
「はい、笑ってください! ぎゅーっと近づいて!」
「近っ!? 顔近い!! 鼻息あたってるって!!」
「もっとぴったりと♪ ほら、ほっぺくっつけて――」
「メンタルが崩壊するゥゥゥ!!」
魔法のカメラがパシャリと音を立てて写真を残す。
見れば、映った陸の顔は完全に事故映像だった。
「目が死んでる!? 俺の目が完全に悟ってる! 仙人みたいな顔してる!!」
「ふふっ、素敵ですわよ♡」
「どこがだ!だれが得すんだよこの写真!!」
そんな下らない恋愛シミュレーションを散々させられデートは終盤に差し掛かる
第三ステージ:デート終わりに“模擬告白”を実施
「では最後に、“告白模擬戦”ですわね♪」
「その命名やめろ!? 戦じゃねえんだよ恋は!!」
「ルールは簡単。どちらかが“告白”をし、もう一方は“OK”か“ごめんなさい”の返事をするだけですわ♪」
「うっわ、脳が小学生に戻るくらい恥ずかしいルールきた……」
「では、私から。咳払い失礼しますわ――」
アリアナは小さく息を吸い、真剣な目で陸を見た。
「――陸くん。私、あなたといると、心がくすぐったくて、でもすごくあったかくて。ずっと、もっと一緒にいたいと思ってますの。……好き、ですわ」
「ちょっ……本気!? 本気で言ってんの!? 模擬じゃなくてガチめなやつじゃない!?」
「さて、陸くん。お返事は?」
「く!しれっとくん付けで呼んでくるのも心にグッとくる!この姫様…もしかしてやり手か!?」
(どうする……逃げたい……けど逃げたらこの世界での“好感度”が下がって魔物に狙われやすくなるって言われたし……)
「……あの……じゃあ、オッケー、ってことで」
「やったぁああああああ!! 初恋成就訓練、大成功ですわ♡」
「訓練の範囲超えてるってば!! 王女様が“やったー”って叫んで走り回るの国の威厳どうなってんの!!」
アリアナはジャンプして回転して、着地の勢いで地面のバラが咲き乱れた。
「え……なにこの国……告白成功しただけで天変地異おこるの……?魔法なの……それ?
どっからバラ湧いて来た!」
「では勇者様、本日の訓練の総評をどうぞ!」
「えー……“羞恥心と理不尽のマリアージュ”。これでいかがでしょうか」
「採点……100点満点ですわ♡」
アリアナの笑顔は、今日も全力で突き抜けていた。
そして陸は思った――
(この王女、たぶん俺の精神鍛えるために存在してる)