表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

追放された日、運命は動き出す

『追放された俺、最果ての地で最強になり、王国を築く』は、陰謀によってすべてを奪われた主人公が、滅びし国で新たな運命を切り拓く物語です。


主人公アルヴィス・レオンハルトは、王国の戦士として戦い続けながらも、理不尽な追放を受けることになります。しかし、その最果ての地は単なる流刑地ではなく、かつて繁栄を誇った魔導帝国の遺跡が眠る場所でした。

王都で渦巻く陰謀、禁忌とされた魔法、異種族との出会い——この地で彼は何を得て、どのように成り上がるのか。


壮大な世界観と圧倒的な力を持つ主人公の成長を描くファンタジー作品として、最後まで楽しんでいただければ幸いです。


それでは、本編をどうぞ。


王国の大広間に響くのは、裁きを下す冷徹な声だった。


「アルヴィス・レオンハルト、お前は国家への反逆を企てた罪により、追放を言い渡す。」


王の言葉に、ざわめきが広がる。貴族たちの冷笑、兵士たちの無表情な視線。すべてがアルヴィスの胸に突き刺さる。


(ふざけるな……俺が、反逆者だと?)


アルヴィスは奥歯を噛み締めながらも、膝をついたまま拳を握りしめた。


この場に集うのは王族や貴族の要人たち。そして、彼の横には第一王子であるアレクシス・ヴェルダインが悠然と立っていた。


「兄弟同然に育った俺を、こんな形で裏切るとはな。」


アルヴィスの声には怒りが(にじ)んでいたが、アレクシスはあざ笑った。


「お前が、俺の影であることを忘れるな。」


その言葉を聞いた瞬間、アルヴィスの脳裏にこれまでの数々の戦いが蘇る。王都の防衛戦、魔物との戦い、そして民のために戦い続けた日々。それらすべてが、まるで無意味であったかのように否定されていく。


「……アレクシス、お前は王になる器じゃない。」


「そういう言葉を口にするお前だから、消えてもらうのさ。」


アレクシスは険しい表情をし、王に向かって一礼すると、まるで出来レースのような口調で言った。


「陛下、この男に生きる価値はありません。最果ての地へ追放し、二度と王都の地を踏ませぬよう命じるのが妥当かと。」


王の妃が静かにうなずいた。まるで、すべてが予定通りだったかのように。


「……よかろう。」


王が重々しく言った瞬間、兵士たちがアルヴィスの両腕を掴み、引きずるように立ち上がらせた。


「クソッ……!」


もがくアルヴィスを無理やり引き立て、兵士たちは王宮の廊下へと連れ出した。背後で響くアレクシスの冷たい笑い声が、アルヴィスの心を切り裂くように残る。


「せいぜい、最果ての地で野垂れ死ぬんだな。」




数日後。


最果ての地——王国の地図にも詳しく載っていない、荒れ果てた流刑の地。


かつてここは、「ザル=ナグラド帝国」と呼ばれた国だった。

強大な魔導帝国であり、魔物や異種族と共存する「禁忌の国」として栄えていた。

だが、ヴェルダイン王国によって滅ぼされ、今はただの廃墟と化している。


「……ここで生きろってか。」


アルヴィスは強く縛られた縄を解かれ、兵士たちによって地面に突き飛ばされた。荒涼とした大地が広がり、見渡す限りの廃墟と枯れ果てた森。


「人間が生き延びるにはキツすぎる場所だな。」


一人の兵士が鼻で笑い、馬に乗ったままアルヴィスを見下ろす。


「お前のような反逆者にはちょうどいいだろう。」


そう言い放つと、彼らはあっさりと馬を走らせ、遠ざかっていった。

アルヴィスはしばらくその背中を見つめ、やがて深く息を吐く。


「くそが……。」


王国に戻る術はない。助けてくれる者もいない。ここは、地獄だ。


だが——


「俺は、絶対にここでくたばるつもりはねぇ。」


アルヴィスは地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がる。その目には、まだ消えていない炎が灯っていた。


(ならば、ここを俺の王国にしてやる。)


最果ての地が、単なる流刑地で終わるとは思えない。

何かがある。何かを掴めば、この状況をひっくり返せるはずだ。


そう信じ、アルヴィスは未知の世界へと歩を進めた。


この瞬間、彼の運命は大きく動き出したのだった。


滅びし国の遺産

風が吹き抜ける荒野を歩くこと、半日。

アルヴィスは支給された一日分の食料と水を確認しながら、周囲を見渡した。


(このまま何も見つけられなければ、本当に詰むな……。)


目の前に広がるのは、岩と砂だけの荒れ果てた大地。

植物はほとんど枯れ、夜になれば獰猛(どうもう)な魔獣が徘徊することは容易に想像できた。


そんな中、彼の視界に巨大な岩のようなものが映り込んだ。


(……何だ、あれは?)


ゆっくりと近づくと、それは岩ではなく、古代の遺跡だった。

土に半ば埋もれ、無数の魔法陣が刻まれた石柱が立ち並んでいる。


(この地には、まだ何か眠っている……。)


遺跡の入り口に手を触れた瞬間——


「……誰だ。」


低く、地を震わせるような声が響いた。


アルヴィスが振り返ると、そこには鋼鉄のような筋骨隆々の腕を持つ男が立っていた。


灰色の髪を三つ編みにまとめ、長い髭は腰まで伸びている。

身にまとうのは漆黒の革の胴着と、膝まで覆う戦士のスカート。

手には巨大な戦斧を持ち、まるで彫像のように揺るがぬ威圧感を放っていた。


(……こいつ、ただ者じゃねぇ。)


アルヴィスは静かに構えた。


「お前、ここの住人か?」


その問いに、男は鋭い目を細める。


「……違うな。貴様、人間の匂いがする。何者だ?」


荒れ果てた大地に取り残された追放者と、遺跡に現れた未知の戦士。


滅びし国、ザル=ナグラド帝国の遺産。

それを巡る物語の幕が、今、静かに上がる——。



最後まで読んでいただきありがとうございました。


第1話では、アルヴィスが追放され、最果ての地へと足を踏み入れるところまでが描かれました。この地がただの荒野ではなく、滅びた魔導帝国の跡地であることが明らかになり、これから彼がどのように生き抜き、王都の陰謀にどんな形で関わっていくのかが、本作の大きな見どころとなります。


また、次回ではアルヴィスが最果ての地で最初の出会いを果たします。彼にとっての仲間となるのか、それとも敵なのか——物語はここからさらに加速していきます。


今後の展開もぜひ楽しみにしていただければと思います。次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ