ドSヴォーカルとM奴隷 番外編ー1
ささやかな出来事
悠
「…俺何してんの?」
ノートパソコンを見ながらデータチェックしつつ時折ヘッドハンティングされてアメリカに渡りそこで結婚した姉とその家族の写真を見る。甥は自分に似ているなどと感じながら。
「俺、そうだ…事務所の社長だっけ」
DeadLinkはもう解散してそれぞれの人生を送っている、江戸ももういない。
仕事が終わって大きな家に入る。真っ暗で誰もいない
「なんでだよ、うげついないなんて…どこ行ったんだ」
家中を探してもうげつはいない、自室に写真があるだけ…暗く沈んだ表情の。
「そうだ、もうずいぶん前にうげつはいなくなった、俺はあいつを幸せにできなかったんだ」
涙が流れたところで目が覚めた。慌てて涙をぬぐって飛び起きて横を見ると座って泣いているうげつがいた。ホッとすると同時に思わず大声で怒ってしまった。
悠
「お前何してんだよ!起きちまったじゃねぇか!」
うげつ(泣き声で)
「ご、ごめんね…悠がどこにもいない夢を見てすごく怖くて…起こしてごめん…でも今側にいる悠も夢で、一人になっちゃうと思ってたら眠れなくて…怖くて寂しくて…」
悠
『夢って伝染するのか?同じような夢見るなんて…』
「バーカ、んなの夢に決まってんだろ、俺がお前を離さねぇって言ったこと忘れたのか」
まだ泣いてるうげつを抱きしめる。
「ちょっと悪い夢見ただけだろ、お前すぐぐずぐず泣くのやめろよな、見ててやるから寝ろ」
珍しくうげつは悠の胸に顔をうずめていた。何回も顔を見て確認していたがそのうち眠ったようだ。
悠
『あれが正夢だったら…未来の俺はボッチってわけか…いや、俺達は離れない…あんな暗い表情はさせない…にしても寝そびれたな…ま、いいか、側にこいつがいればいい』
そのまま悠も眠りに落ちていった。
眠れないので悠とうげつのなんてことない夜話を書いてみました。