5話 入学へ向けて
ラルクさんは〇〇だった!!??
「まぁ、とりあえず学園長に入学試験出来るように掛け合っとくわ。」
「そうですね。後のことは入学してから考えましょう。」
「おい、なら親族の欄どうするんだ?流石にフェンリルとは書けないだろう。」
この国の学園には、書類に必須事項を幾つか書かないといけないのだ。
「学園長と知り合い……ってだけじゃダメですよね……」
「そうだな。国も目を通すから親名義で名前を入れよう。」
学園長が許可を出しても国が受理できないのだ。
「親代わりになれる人を探しますか?」
「はいはい!!俺!俺が親になる!!」
「「「え」」」
「そうでした……ラルクはちっちゃい子供が好きでしたね……」
「要はロリコンって事だな。」
「ロリコンじゃねーし!男の子も可愛いし!」
「そうゆう問題なのか……?」
フェンリルも初めて知ったラルクの秘密。
咄嗟にルーシャを抱きしめて、
「絶対お前なんかに我の可愛い可愛いルーシャはやらんぞ!」
と言い張った。
「いいじゃん、減るもんじゃ無いし。」
「駄目だ!お前の家なんかで暮らさせないぞ!」
「いいだろう!なら勝負で決めようじゃないか。」
「ほう……伝説の魔獣であるこの私に戦いを挑むとは……」
「腐っても英雄だってことを見せつけてやる!」
ラルクが軽く力を解き放つと、周りの木々が揺れ、野生動物たちが離れていった。
それに応えるようにフェンリルも力の一部を解き放つ。
フェンリル級の魔物だとフルパワーで解放してしまうと、魔力に押しつぶされ並みの生物は死んでしまう。
「ちょっと2人とも!ルーシャちゃんが居るでしょう!」
「ルーシャには結界を張っといてくれ。」
フェンリルのこの言葉を受け、何を言っても無駄だと感じ結界を張った。
「俺から行かせてもらうぜ!」
『奥義・剛烈波斬 臨戦ッッッ!!』
ラルクの魔力全てを込めた一撃を、
『風の守人』
フェンリルが他愛もなく受け流す。
その瞬間、状況が飲み込めていなかったルーシャが言い放つ。
「ちょっと!2人何してるのー!!やめなさい!」
伝説の魔獣と、伝説の英雄。だが、小さな子供には頭が上がらない。
「「すみません……」」
「ガッハッハ、久しぶりにフェンリルの戦いを見れて良かったわい。」
「あのまま戦っていたらどうなったことか……」
ラルクが技を放った地面は引き裂かれ、赤熱している。
フェンリルが魔法を放った周辺は木々がなぎ倒され、更地になっていた。
「おう、お前ら。ラルクの家が嫌ならクレアの家はどうだ?」
「うーん。俺の家が良いけどしかたないか。」
ガンテツの提案にラルクが賛同する。
「別に構いませんけど、寮で良くないですか?」
「まぁ……そうだが、まだ人との接し方が……」
「だからこそ寮に入れて学ばせるんですよ!」
「学校!?学校に行けるの!?」
「そうですよ〜。ルーシャちゃんと同い年の子が沢山居ますよ〜。」
「やった!おともだち!!」
「ほら、ルーシャちゃんもこうですし、寮にしましょう。」
「そうか……」
クレアの強い押しに渋々引き下がるフェンリル。
「よし。そうと決まれば連れて行くぞ。」
「暫しの別れだ。ルーシャ。暇があったら遊びに来るんだぞ。」
「うん!またね、おじいちゃん!」
そう言ってラルク達は去っていった。
「うっうう……」
その日の森ではフェンリルの泣き声が聞こえ続けたという……
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