3話 人間の来訪
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あれから時が過ぎ、ルーシャを拾ってから10年経った。
9年前は成長が早い気がする。と言っていたが、今では10歳にして大人の数倍の魔力が備わっている。
身体能力も森にいる魔獣と追いかけっこするくらいだ。
これは確実に銀狼の母乳を与えたからだろうな…...
少しやり過ぎてしまったが、大丈夫だろう。
これじゃあ竜種すら狩れないからな。
ルーシャが10歳になったのでこのまま森で一緒に暮らすのも良いが、さすがにそろそろ人間の文化に触れておいた方がいい気もする。
なので、今日はかつて共に旅をした仲間たちを呼ぼうと思う。
「ルーシャ。今日はおじいちゃんのお友達を呼ぼうと思う。」
「お友達!?誰誰!?」
「ルーシャと同じ人間だよ。」
「そうなの!?」
ルーシャに物心つく頃、フェンリルは自分は魔獣でルーシャは人間だと言うことを伝えていた。
当初は戸惑っていたルーシャも時間が経つに連れて理解したのだ。
「さて...そろそろ来るはずなんだが......」
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人が寄り付かない魔森エンダーハに珍しく人影があった。
「ちっ、相変わらず歩きづれーよ!!」
足元の草木をバッサバッサと切り倒し、男が言う。
「ここは森なんだし、当たり前じゃろ。」
「そうですよ。文句ばっか言わないでください。」
「ふん......」
その時、
ゴゴゴゴゴ...... 『グルルルルオオォォォ!!』
何気ない会話の途中。いきなり地響きと唸り声が聞こえた。
男等の前に10m程もある巨体が現れた。
「おいおい、来客だぜ?」
と明らかにに異常な存在を男が軽く受け流す。
「なんだ、たかがジャイアントオーガじゃないか。」
隣にいる屈強な体格の男も口をそろえる。
「なら私の出る幕は無いですね。ちゃっちゃとやっちゃってください。」
「言われなくとも。」
そう言った瞬間。男があり得ない速さで巨体へと飛びかかった。
男は一瞬で剣を抜き、切りかかった。
『剣技・剛鉄斬ッッ!!』
そう唱えた途端、剣が光り始めあっという間に巨体の首を落とした。
「まぁ、リスクSの魔物だしこんなもんだろ。」
「そうですね、それより早く行きましょう。フェンリルの所へ。」
異常な存在を倒したと言うのに、そんなことは当たり前だ、と言うように振る舞う。
男等は、当初の目的を達成するため足を揃え、歩き始めた。
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