表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

8.ハナハナのお仕事相談コーナー

さぁ、あっという間に半年後です。タナカは悩んでおります。


 その後、半年が経ち、だいぶタナカは環境に慣れた。

 しかし、気付けばなぜか、ハナハナがタナカの家に入り浸るようになっていた。


 ハナハナ曰く、

「居心地いいわぁ。この部屋~~~。

 冷蔵庫にはいつも何かが入ってるし綺麗だし。」

「おい」


 ハナハナはタナカと相当な仲良しになった。

 …というより、ハナハナがスーパーマンの能力を駆使してここまでの仲になったという方が正しいかもしれない。それはもう、タナカが必死で防いでも防いでもスーパーマンなので一般人には防ぎきれなかった。負けた。


 もう一人のスーパーマンのニシキもたまにハナハナについてくるので、友達になった。ニシキはスーパーマンの上にスポーツマンなので、タナカの部屋の一角で筋トレをするような男である。そして、寡黙であまり話さない。ニシキはユルフワ系イケメンのハナハナに比べると、鋭い強面イケメンだった。ちなみに、タナカは平凡である。


「なんだこれ、不平等だわー。」



 ある日、ハナハナがいつものようにタナカの部屋にぐだぐだ入り浸ってくつろいでいる時に、こんな話になった。

「ところでタナカー。」

「ん?」

「君は今どんな仕事してるの?」

「相変わらず、リサーチだよ。ずっと現場に出てるかな。

 レポート作成まで全然手が回ってないから、ちょっとしたら内勤増やすかな。」

ハナハナが最近の仕事についてタナカに聞いてきた。

忙しいとか知りたいのかな、と思いながらタナカは答えた。

「うーん。あれから、結構経ったけど、よくわかんない。ハリがないっていうか。

 自分がやってる仕事のフィードバックもあんまないし、これでいいのかなっていつも不安」

タナカは正直な気持ちをハナハナに話していた。


 あれから、半年経った。でも、タナカはどこかつまらなかった。報告書は書いても未だに10回はやり直しになっているし、同僚から仕事ができないレッテルを貼られて、半年もやってるのに成長していないといつも同僚・上司や周りから責められた。タナカは平気な顔して淡々と仕事を続けていたが、仕事に対する不安や恐怖はちょっとずつ増している。

(なんだそれ)

怒られるたびに、出来るようにならないのは仕事がよくわかっていないからではないかと思う反面、自分に対する失望感が日々重なっていく。また、仕事に対するモチベーションも下がる一方である。


 そんな風にちょっと暗い顔になっているタナカを見たハナハナは、

「あのね、多分君はバカな訳でもダメな訳でもないんだよ。

 それは僕が知ってる」

「え」

意外だった。そんな事を言ってくれる人なんていないと思っていた。

「知らないだけなんだよ。

 だから、諦めるのはまだ早い」

「えぇ?」

タナカは突然この世界にやってきたので、安心して生きていくために仕方なくやっている部分が大きく大きくなっていた今日この頃。ハナハナから言われたのは、思いもよらない言葉だった。


「でね、君の仕事の本質は何だと思う?」

「…。」

「たった1つの真実を、いくつもある情報のカケラから導き出すこと。困ってる人を助けること。だから、報告書はそれを達成する為の手段・方法で証明・成果なんだ。報告書を作成するのが目的じゃない。どれだけ真実に近づけるか、それがリサーチなんだ」

ハナハナの言う通りなら、リサーチはとてもカッコイイ仕事に思える。


 でも、とタナカは思う、

「…そっか。知らなかった。いつもリモさんに言われてるんだ。『必ずしも白か黒かはっきりできない。真実なんてわからない。 そんな超人的な何か特別な事をやってる訳でもできる訳でもないって。』あー、そっか。そうなんだ。って自分に言い聞かせてたけど納得はしてなかった。」

苦笑を浮かべて、タナカはしょんぼり話した。


 ハナハナはふむ。と言うと、タナカにどや顔でこう返した。

「それは確かにそうかもしれない。でも、違うんだ。」

「?」

「ある意味、技術や視点、勘を磨いてもっと仕事に誇りを持っていいんだよ。

 職人みたいに」

「リサーチが?」

「うん。リサーチはそういう要素が強いと思うよ。」

「なるほど。じゃあ、もっとこだわって良いんだ」

「忘れちゃいけないことがあって、真実は絶対に一つなんだ。

 それを信じて、必要な事を1つ1つをしていけば、答えが出るよ。」

技術を磨いて力を養うんだ。ハナハナは、タナカの目をじっと見て言った。


いつもチャラいユルフワ系男子なのになんて頼りになる奴なのか。

「わかった」

タナカは正直、ここ最近は調子も気持ちも落ちていた。でも、次どうしたらいいかを示してもらえたから、また歩き出せる。眼に光が戻りキラキラし始めて、顔が明るくなった。

「でも、なんで?」

「えー、不思議?」

「うん」

タナカは最近上手くいってない事をなんでわかったのかハナハナに聞いた。すると、ハナハナはタナカに柔らかく笑って、

「それは僕が情報系スーパーマンだからかな。

 行き詰って困った親友がいたら、助けたくなったんだ」

「スーパーマンってカッコイイな」

「リサーチだって、誰にでもできることじゃないよ。」

2人で笑いあいながら、タナカがいれたカフェラテとティーラテをゆっくり飲んだ。

「お前はよく頑張ってるぞ、タナカ」

すると、タナカの後ろから来たニシキが、タナカの肩にポンと手を置いた。タナカの隣に座ると冷蔵庫から出したタナカお手製のはちみつレモンにぱくついた。どうやら筋トレが終わったらしい。


「大丈夫、学べば必ず道は拓けるよ。」

コップをもって、コーヒーと紅茶をいれ直す為に席を立ったタナカにハナハナがぽそっと言った。

ニシキはその間、ずっともぐもぐしていた。

タナカは笑った。2人の励ましがとても嬉しかった。



 翌日。

「タナカー!友達にリサーチやってる子がいて、ちょっと聞いたらおすすめの参考書を沢山もらったからハイ!!」

ハナハナから山盛りの本の山を手渡されたタナカは、持ち切れず本をばらまいた。

「あ”、あわわ!」

「あーあ。」

「あーあじゃない!持てないから!!!」

結局、本は2人で拾って2人で運んだ。


ちょっと間が空きましたが、なんとか更新です。まだ行間とか見づらい箇所もあるかと思いますが、温かい目で見て頂ければと思います。タナカくんのスーパーマンの友達が2人に増えました。ニシキは『錦』という字をイメージしていましたが、今のところ名前を全部カタカナ表記にしているので、ニシキとしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ