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4.森に花摘み

今度は街から森にやってきましたタナカとエリー。


 夜に輝くと言われる森・クルクルに2人はやってきた。まだ昼、というか朝なので森は輝いてはおらず、至って普通である。エリーは手を上に掲げて、何かをささやいた。タナカがその様子を眺めていると、エリーの手に長いステッキが出現した。しかも、なんとそのステッキは大きなタチバサミだった。丸い柄の棒部分は2つに分かれ握って開くと先についてる刃の部分も開いた。


 そういえば、タナカも車輪のついたステッキなら持っている。今日は家に置いてきたのだが、ふとステッキのイメージを浮かべたら次の瞬間、タナカの右手がなぜかそれを掴んでいた。


「 …あれ? 」

 タナカは手に握った自分のステッキを疑問の顔で見た。


「あら?あなたも良いステッキ、持ってるじゃない

 そのステッキ、あなたが呼んだから来たのよ。

 その様子だと、まだこの世界、この国に慣れていないのね?」


 タナカはその通りだと思った。なぜなら、このステッキは呼べば来るなどという説明を一切受けてはいない。これがこの世界では当たり前なのだろうか。


「わからないことがあれば教えてあげるね」

エリーはとても親切だった。


 しばらく、2人で花を摘んで歩いていると、タナカは変な花につかまった。…そう、つかまったのである。鮮やかな赤・朱色・ピンクのグラデーションがすごい花びらを持つ花の前を通りが買った瞬間、


 ポンッッッ!!!


という音がして、目の前に紙が現れた。思わず手に取ると、何か書いてある。…どうやらテスト用紙のようになっている。


よくわからないので、タナカが紙を下に置いて先に進もうとした時、


「あら、タナカ。それは置いて帰れないわよ。

 もう一度ここに来ないといけないわね(笑)。

 その花にあなたは気に入られたのよ。

 そこの、鮮やかな花は『宿題草』と言って、

 その名の通り気に入った人に宿題を出すのよ。


で、宿題を出された人はその宿題をやって花のところに持ってくると、

花が満足して花の実をくれるのよ。

まぁ、答えの内容によっては、

実が大きかったり、小さかったりするんだけどねぇ。

…やってみれば?」


 エリーがタナカに教えてくれた。タナカは車輪のステッキの柄の部分をひねると宿題層のテスト用紙をクルクル巻いて、ステッキ内にしまった。


「ちなみに、宿題草は気に入った人に宿題を出すと、

 その宿題が戻ってくるまでは次の人に宿題を出すことはないわ。

 10年でも20年でも待ち続けるの。

 待つのに花が飽きれば、そこで初めてまた宿題を別の人に出すらしいけど

 一般的には、そのスパンが長いとか。

 紙の裏に花までの距離とコンパスが表示されるので、

 花がどこにあるかわからなくなることがないのも不思議よね」


「なんで宿題なんか出すんですかね?」

「この花は探求心にあふれていて、知識を得るのが好きだからよ。

 宿題を出して、提出してもらう度に、そこから花が知識を得るの。

 だから、宿題の内容もどんどん深いものになるのよ。面白いでしょう?」

いや、全くもって、変な花である。


「しかも、めちゃくちゃ気に入られると、

 花はその人にだけ宿題をだすようになるわ。

 そうなると宿題の紙にあなたの名前が記されるようになるの。

 そこまでになれば、優しく植木鉢に移して家に連れていくといいわ。

 花が喜んで、プレゼントをくれるわよ」


「なるほど、面白いですね。」

花がくれるプレゼントとは、これ如何に。


 花を通り過ぎ、森を進む。すると、中規模の花畑に着いて、2人で花を摘み始めた。花を夢中で摘んでいるうちに籠の中がいっぱいになった。ひとまず作業はやめにして、店に花を運んだ。


「今日はありがとうございました。

 とてもはかどりました。店まで運んでもらって助かったわ。」

「いえ、そんな。こちらこそありがとうございました。」

タナカは、久々に外で体を動かしたからか、気持ちがスッキリしていた。


「また、いつでも声かけてね。案内します」

そして、にこやかに店頭で手を振るエリーに手を振り返し、店を後にした。


 タナカは肉体労働で疲れたので、お茶をすることにした。



次はカフェで一息です。森もすごく近所でした。

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