対決
誰かに頬を叩かれた気がして僕は目を覚ました。
「大丈夫かー?」仰向けの僕を少年が覗き込んでいた。
僕は彼の問いかけには答えず、状態を起こした。両腕がズキズキと痛む。見てみると傷だらけで、赤く染まっていた。
唸る僕をただじっと見ていた少年は目を輝かせて言った。
「なぁお前、超人類だよな?」
「お前は何なんだよ」腕の痛みに苛つきながら聞き返す。
「何だよw質問に質問で返すなよwwまあいいか、さっきお前をボッコボコにした巨人だよカマキリくん。お前の構え、まじでカマキリみたいで笑ってまうわw」
巨人。そうだった、僕はあの巨人と戦っていたんだ。このヒョロヒョロ少年があの巨人とはな。
「お前の言う通り、僕は超人類だ。この様子じゃ僕はやられたみたいだな」
「やっぱりな。いやーようやく変身に成功したと思ったら、邪魔して来やがるからよーちょっとカチーンきちゃって、許してちょ」少年は憎たらしい表情。
「お前自分が何したのか分かって言ってんのかよ。人殺しをしたんだぞ?お前は」
「え、そうだけど?何がいけないの?」
「は?」
「俺もお前も、もう人間じゃ無いんだよ?人間に適用されて来た法律とかモラルなんて、俺たちには必要ないと向こうから言って来たんだよ。だったらの流しかないじゃん。このビッグウェーブに」今更何を言っているのやらという風に首を傾げる。
「確かに超人類には人間の作った法律や人権も無い。でも、お前のやってる事は間違いなく悪だ」僕は目の前の少年を睨む。
「怖い怖い、そんな怖い目で見ないでくれよー。“お前たち“だって超人類達の世界を作ろうとしてんだろ。僕は手伝って上げてる様なものじゃない」
こいつ、何故俺たちの目的を知っているんだ。
「こいつ、何故俺たちの目的を知っているんだ?見たいな表情だねぇ。聞こえてたよ。君らの通話。俺っち結構耳良いんだー」
「俺っちも仲間に入れてくれや、邪魔な人間達を消す掃除係でいいからさぁ」
「残念だけどね、今日で俺たちは解散したよ」
「そいつは残念だな」
「わかったら失せろよ、お前に時間を割いている理由がない」僕は踵を返して歩き出す。
後ろで風を切る音がしてた。何かがとてつもないスピードで空気を切っている。
「!!!!」とっさに振り返って胴体辺りをガードした。硬いものが両腕にぶち当たる。それはビルの鉄骨だった。あのクソ餓鬼が投げてきたのだ。何とか払い除ける。
「何してんだ」僕はきつく奴を睨む。
「いやねーこのまま何事もなく立ち去れるとでも思ってんの?初めて会った超人類なんだぜ?無抵抗の人間には飽きちまった。お前なら楽しませてくれるよな?」少年の体からオーラのようなものが放出される。完全にやるきのようだ。
「この戦闘狂が」
「行くよー」ゾッとする笑顔で奴が迫ってくる。気持ち悪い顔しやがって。しかし、自分も笑っている事に気が付いた。