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『チノ』
アラスカの真っ白い平原にチノは住んで居ました。
なぜ一頭だけでくらしているの。
チノはいいました。
「争いごとがだいきらいなのさ。」
真っ白いプリザードが
とても冷たくて、
きもちがいいのさ。
夜になれば、
アラスカの空は、
ビロードの、
レースのようなオーロラ
がかがやいて、
夢のよう。
チノのともだちは、
オーロラだってね。
それはもう、きれいだけれどね。
お話しても、
お返事はありません。
「ウオ~オ~ン」
チノは、やっぱり
さびしいって、
「あ…。」
氷のお山の向こうに
白くまの
女の子がいました。
「ウオ~オ~ン」
あ、
おともだちだ。
その時、
空の上を
一台の、そりが、
通りすぎました。
「あ、サンタさんだ。」
あれはサンタさんから
おともだちのプレゼントだったんだね。