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『ゼロ』

其れは雪の吹雪く寒い夜でした。

北国アイスランド島に

ゼロと云う一匹の狼が居ました。

吹雪に閉ざされた日は雪の洞くつで、

嵐の過ぎるのを一匹だけでじっと待つのです。

寂しくなった時、雪穴から這い出し、

「オ~~~~。ゥオ~~~~オ~~~~。」

と叫ぶのでした。

此の北の大地で狼達は、

こうして仲間と連絡するのでした。

或日もゼロは暖かい洞くつで、

うたた寝をして居ると、

仲間からの定期便が聞こえました。

「オ~~~~。ゥオ~~~~。」

其れは其れは悲しそうな声でした。

「あっ、お母さんが哭いている。

お腹が空いて居るんだ。」

ゼロは決心しました。

雪穴の奥にしまっておいた大きな生肉を、

がぶりとくわえると、

暗く寒い嵐の中へ這い出しました。

外はものすごい嵐。

でもゼロは怯みません。

「お母さんが呼んで居るんだ。」

寒い寒い吹雪。大あらしの中へふみ出したゼロは、

風に吹かれて転げ回り、

口にくわえて居た生肉を思わず、

ぽとりと落としてしまいました。

「あっ、いけない。」

ふたたびゼロは生肉をくわえると、

歩き出しました。

お母さんの居る所は遠く道は暗いです。

だんだんゼロはお腹が空いて来ました。

口にくわえた生肉は、

とても良い匂いがします。

でもゼロはじっと我慢をして歩きます。

長く歩いて居る内に、

ゼロのだ液は寒さで凍り、

生肉が口にへばり付きます。

「ああ、冷たい。」

ゼロはようやくお母さんの待つ雪穴を見つけ、

お母さんの暖かい巣へたどり着きました。

「ゼロや。ありがとう。」


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