封印、開けちゃいました。
本の整理をしていると、奥から古ぼけたある物が出てきた。
ぼくは硬直した。
背中から、嫌な汗がにじんできた。それを持つ手がプルプルと震えはじめる。
「・・・・・・バカな!これは・・・・・・消えていたはずじゃなかったのかっ!まさか・・・・・・、まだ存在していただなんて・・・・・・っ!?」
「カイジ」なんかだと、ざわ・・・・・・ざわざわ・・・・・・なんて擬音が入るところだ。
さて、ぼくが何を見つけたかというと。
一冊のノートです。
内容は、
中学生の頃に書いたポエム。
うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!
どうやら、実家から持ってきた小説の下書きノートに混じりこんでいたみたいだ。
そう。
何を隠そう中学時代のぼくはロマンチストだった。河村隆一の歌を好んで聞き、純愛に憧れ、夜、窓から見える星空を見上げながら、その想いをポエムにして、ノートにつづっていたのである。
まさか、あの汚物と再会してしまうとは。
ノートの表紙には、きったねえ字でタイトルが書かれていた。
「コーヒー★ドッキドキ」
殺したいと思った。
いますぐタイムスリップして、中学時代のぼくにノーザンライトボムを喰らわせてやりたいと思った。しかしぼくの側には、猫型ロボットはいない。ただただ身悶えるしかない
そうだ。思い出した。確かコーヒーをテーマにして、いろいろ書いてたんだっけ。
怒りに震えながら、ページをめくる。
最初のポエムが目に入る。
コーヒーを飲んでも
眠気は消えない
でも寝たくない
君の寝顔見たいから
「グハァッ!!(吐血)」
ぼくは4のダメージを食らった。
残りのHPは1だ。
ぼくの心のHPは非常に少ない。
フラフラになりながら、ページをめくる。次のポエムを見る。
甘い香りを放つ
苦い味のコーヒー
それは君だね
「何をほざいとんじゃこの童貞はぁぁぁぁぁぁっ!!」
もうダメだ。限界だ。ぼくは、ノートに膝蹴りを食らわせたあと、ゴミ箱の中に叩きつけた。
燃えるゴミに出した。
黒歴史は封印されなければならないのです。
さらば、中学時代の汚点よ。(敬礼)
おしまい