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刀の試練

「やるしかないか」


僕は鎖鎌を構えた。重りになっている方を回し勢いをつけ甲冑の頭目掛けて投げた。しかし、甲冑は刀を振るとスッと音もなく鎖を切断した。


「うっそお、当たった感じ全くしなかったけど!?」


『どうした?そんなナマクラでは我等には届かんぞ!』


僕は役立たずになった鎖を鎌から外し、鎌を曲射弾道を描く様に放り投げる。


『武器を捨てるとは、血迷ったか!』


「はっ!考えも無しに投げるかよ!」


僕は鎌が甲冑に当たるのに合わせて移動をする。


『ぬう、小癪な!』


予想通り刀を使い降ってきた鎌を弾いた。


「かかった!“歩行術 縮地”!“歩行術 瞬歩”!」


僕は甲冑に肉迫し瞬歩による加速を加え腰に差した刀を抜刀し空いた脇腹を斬りつけた。鎧の隙間を縫う様に斬ったはずだが浅く傷を付けただけだった。切り結ぶのは得策ではないのでそのまま走り抜ける。


「うっわぁ、まーた硬いのかい」


『・・・・この鎧に傷を付けるとは、どうやら今までの奴等とは違うようだな』


「傷付けるだけで褒められるとか、そんなに凄い鎧だったのか」


(切り合うとこっちの刀が斬られるだろうから一撃離脱戦法しかないか。問題はどうやって斬り込むかだな)


僕が斬り込めずにいると向こうが先に動いた。


『来ないのならこっちから行くぞ!』


瞬間、甲冑が霞む様にして掻き消えた。刹那眼前に刃が迫っていた。


「なっ!」


咄嗟に体を捻り急所に当たるのは避けたが避けきれずに右腕を切り飛ばされた。


「ああぁぁぁぁあ!?」


『ぬ!?』


確かに右腕を切断されたが血は飛び散らなかった。そこには不可視の何かが存在し、その何かに血は循環していた。まるでそこにあるのが腕だといわんばかりに。


「これは、どういう・・・」


『成る程、貴様は人間ではなかったのだな。しかし、物の化という訳でも無い、半々といった所か』


(動きは・・・・・問題ない。感覚も・・・・・十分だ。これならいけるかもしれない)


僕は刀を鞘に戻し、腰を沈め拳を引き絞り右拳に霊力を集める。床を踏み抜かんばかりに力を込め相手の懐に飛び込む。


「“柳刃流戦闘術 六の型 霊撃掌”!」


僕は相手の左肩に掌打を叩き込み束ねた霊力を打ち出す。グシャアァ!と鎧が潰れる音と共に手にはまるで空の物を殴った様な感触が伝わってきた。


「っ!中は伽藍堂かよ!」


『まさか破壊されるなどあるわけが!』


ある程度予想はしていた事だがやはり中は空だった。だが意味はあった様で引きちぎった左腕は直る気配がまるで無かった。


「大方あんたを戦闘不能にすればいいのかな?」


『そうだが、汝にこれ以上の傷を我等に負わせることができるのか?』


「やってやるさ!」


そうは言ったものの先程の一撃で右腕の感覚が殆んど麻痺していた。右腕はもう使い物にならないだろう。


『もう少し隠したらどうだ?右腕が使えないのがまるわかりだ』


「見ただけで分かるのかよ」


『このまま押し通させてもらうぞ!』


そう言い残った右腕を振りかぶり斬り込んでくる。その一撃を相手の手に掌打を打ち込み止める。が、背中を斬り裂かれた。


「ああぁぁぁあ!?何で攻撃が後ろから!?」


『フッ、判らぬか判らんだろうなぁ!」


何故か甲冑の手にした剣から血が滴っていた。背中を斬ったのはあの剣と見てまず間違いないだろう。


(くそっ!奴に剣を振りかぶらせたらだめだ。接近しないと!)


僕は間合いを詰め乱打を叩き込むが、攻撃が通った手応えがなかった。もう一発あれを左手で打ち込めれば奴を倒せるだろうがそうした場合左腕は砕け二度と使えなくなるだろう。


(どうにか動きを封じないと腕を破壊出来ない。一か八か組伏せてみるか)


僕は甲冑の肩に手を置き、跳び上がり手を軸に回転し肩に乗り相手の首に足を絡め固定し思い切り体を捻りながら後ろに倒れる。


「“柳刃流戦闘術 七の型 落浪”!」


首を捻り折り引き倒す。素早く起き上がり、刀で右腕を床に縫い付け、足を振り上げる。


「“柳刃流戦闘術 三の型 劉断”!」


肩口を狙い足を降り下ろすが、やはり一撃では破壊には至らなかった。僕はもう一度足を振り上げた。


「これで終わりだ!“三の型 劉断”!」


鎧は砕けたが腕はまだ繋がっていた。刀を引き抜き足で右腕を押さえつけ寸分違わぬ所を何度も斬りつけるとようやく切断することが出来た。


「妖刀さんや、これで合格か?」


『ここまで徹底的にやられては認めぬ訳にはいくまいて、何を我等が主と認めよう』


「はぁ~、やっと終わった~」


『本来なら三刻ほど耐え抜けばよかったのだがな』


「そういう事は先に言ってよ~」


『話も聞かずに攻撃してきたのはそっちであろう』


「で、鞘は何処にあるの?」


『・・・・・・・・蔵の何処かにあるはずだ』


「それも探さないとだめなの?」


『鞘が無ければ我等を持ち運ぶのは不可能だぞ』


「はぁ~、鞘探すのは明日にしようもう動けないや」


『して主よ切断した右腕はよいのか?』


「右腕?・・・ああ!そうだ右腕斬られたんだった!」


程無くして無事右腕を発見したのだが


「どうしようこれ」


『くっつけてみるがいい、恐らく問題なくくっつくはずだ』


「ほんとだ!くっついちゃった。何で?」


『余りに切れ味の良い刃物で負った傷はくっつけると大概治るからな』


「そんな簡単なもんなのかなぁ」


『そもそも主に人間の常識は通用せんよ』


「でも違和感が全く無いのはおかしいと思うけど・・・・・」


『主よ考え過ぎるでない思考の渦から抜けられんくなるぞ』


「それもそうか」


僕は蔵から出ようとして扉を押したが開かなかった。


「あれっ、開かない?もしかしてまだ試練終わってないの?」


『三刻過ぎるまで開かないようになっておるのだ』


「あとどれくらいなの?」


『あと一刻ほどだな』


「そんなにあるの~」


僕は疲れと気の緩みから来た睡魔に任せて意識を手放した。

技名とサブタイトルを考えるのが辛い。・゜゜(ノД`)

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