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サウンドストライク  作者: 独楽トビ
1/1

僕らの方向性

あかん・・・・・・もうおわりや

口火をきったのはトンプソンだった



1997年8月 太陽が少しずつ地球に近づいてきて

この小さな空間にいる僕らの体の水分を奪い去り

やがて建物に火を付け

今にも部屋の扉の隙間からスーっと煙が忍び込み

知らない間に窒息するんじゃないかと

思うぐらい頭がクラクラし僕の体はいい脱力感に陥ってた




目の前にあるドラムから湯気がでていた

僕らは音楽スタジオにいた



アキラ

お前は主語がいつもないんだよ・・・・・・

会話ができない


トンプソン

そうかなー自分も大概やで




二人は小学校からの親友だ

僕は二人の何気ない会話がいつも意味不明で困惑していたが不愉快になるほど嫌ではなかった

いや、寧ろ楽しんでいたしそれがこのバンドの持ち味でもあると知っていた



トンプソン

暑いって言葉今から禁止なー

休憩しよー


じゃあ休憩ってゆう言葉も禁止にして

それからあったかいコーヒーのも ニップレス床に転がしながら


アキラ

えっ・・・・それ

ニップレス転がすタイミングむずかしくない?

来月のライブで出番きたとたんに全員の右肩外れるぐらい難しいはずだ



僕とトンプソンは視線をゆっくりと自分の右肩に落とした




相変わらずアキラは意味不明だったが少し気になる事がある

いつものアキラだったら

間髪いれずに、俺はブラックがいい。と、言ってくるはずだった

なにか悩んでることがあるんだろうか?

よく考えてみるとアキラはいつもよりハキハキした言葉でしゃべってるし

服のセンスというか趣旨がいつもとまったく違っていたんだ


いつもは、 歯になにか挟まっているような感じで

プシュッという擬音を言葉の節々に入れてきそうな

しゃべりかただったし

なんかTシャツとジーパンだった


トンプソン

一旦タバコ吸いに行こ




トンプソンはルールをかたくなに守っていた



スタジオをでた三人はそれぞれ自前のペットボトルに口をつけ

水分補給に精を出した



トンプソンは空中を仰ぐような手振りをして

二人の注目を浴びてからあたかも今までそこにあるはずもなかったみたいに

人差し指と中指の隙間からライターをニョキっと出した

でもそれは初めからチラチラとライターが見えている

できそこないの手品だ


僕は、トンプソンが一流の手品師なれるようにと心から強く思っていた



トンプソンが煙草に火をつけ煙をくゆらせながら言った


それでさー俺たちの方向性についてなんやけど・・・・・


アキラ

方向性はこのまえ決めただろ


トンプソン

俺らが作った曲も大分、カラー出てきたしエモでカッコイイけどな

プロフィールでチョケルのやめへん?コミックバンドちゃうで?


アキラ

漫画みたいな顔してなに言ってんだよ

てめーなにかー?

俺がおしゃれなカフェのお店をはじめる本を読んでたらいけねーのかよ


僕は携帯のゲームアプリをダウンロードしたところで

アキラが最近標準語を使うようにしてるということを思い出した


トンプソン

ええけどプロフィールに書くなっ

あと漫画みたいな顔してって言ったん謝って








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