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異世界転生魔眼持ち  作者: 山山
第二の人生
6/21

結局、父の魔法を再現することはできなかった。

ならば、闇魔法を、と言った父の頭はもう一度土にめり込んだ。

簡単な魔法から教えてもらうつもりだったのだが、父の提案する

案はどれもこれも難易度が高すぎるらしく、母は突っ込み疲れて

呆れていた。

結果として、魔法は使えないが知識はある母に教えてもらうこととなった。


父は屋敷へと返され、メイドは遠くで防護結界という母が作った

外界からの魔法を遮断するという結界に入っている。

何が起きるか分からないからだという。

魔法とはそれだけ恐ろしいものなのだろう。


魔法というものは2種類あり、一般的に魔法と言われるものは

自分に眠る魔力とでも言うべきものを変換し、働きかける魔法。

もう一つは空気中にある魔力に対して自分の魔力を

干渉させて発動させる自然魔法、あるいは精霊魔法と呼ばれるものである。

それぞれの特徴としては、魔法は自然魔法と比べてとても簡単で、

かなり融通が利くらしい。ただし、これは体内の魔力の性質にも依存し、

相性の悪いものは使えない、使えたとしてもかなり効率が悪いらしい。

対して自然魔法は己の魔力の性質にはあまり左右されず、少しの魔力で

大規模なことができるらしい。父の使った炎の魔力がそれにあたる。

欠点としては周囲の魔力が少なくなると効率が悪くなっていき、

使えなくなることと細かい変化を付けたりといったことができないこと。


例えば、火の玉を作るとする。魔法だと魔力の量によって大きさも

炎の強さも変えられるが、自然魔法だと規模を変えるのがとても

難しく、どれだけ小さくしようとしても周囲の魔力に影響され

大きくなっていき、火力もどんどん上がっていくという。


このようにそれぞれの特徴はあるが、魔法がただ魔法と呼ばれることで分かるように

自然魔法を使うものはおろか知るものすらごく少数という。

そのような魔法をいきなり使わせた父はなんだと思いもしたが、

個人の力が全てと言いつつこのでかい屋敷に住むということは

それなりの才能の持ち主であっても当然かもしれない。

自分の中で父、天才疑惑が浮上した。


そんなわけで、やっと想像していたような火の玉を出す魔法を

出す練習をしてみたが、どうにも上手くいかない。

魔法のコツは詠唱と呼ばれるキーワードを声で発することで

自分の魔力を変化させていき最後の始動キーを言うことで発動する

というものらしい。

一方、無詠唱と呼ばれる技術もあり、それは魔力をキーワードなしに

自由自在に動かせる者がキーワード無しで始動キーのみで発動するもの。

これは相当な才能の持ち主が努力して至ることのできる領域。

そして、始動キー無しで発動までする完全無詠唱があり、これの

難しさは通常の無詠唱とは段違いで、その詳しいやり方は伝わっていないという。

歴史で見て、稀にその使い手がいたとされているが、それも今となっては怪しい

というものだ。


まあ、これらはいずれ分かるようになるだろう。

今肝心なのは詠唱というものだ。

基本の魔法である「ファイアーボール」の詠唱を

教えてもらう。とはいっても詠唱をただ覚えれば使えるわけでもない。

詠唱とは魔力を呼び起こすものらしい。

一度、試してみることになった


「火球よ 進め ファイアーボール」


うんともすんともいわない。


「そうですね、魔力は感じましたか?」


母は少し首を傾げてこちらを見る。


「全く…」


そう、全く魔力とかいうものを感じないのだ。

そもそも別の世界で暮らしていた俺にはそんなものはないのか。

落ち込みかけたが、この世界に来てから何度も感じている力がある。

それは魔眼だ。もしや魔眼に魔力が奪われて魔力が上手く働かないのではないか。

そう思えば行動は早い。

素早く目に流れ続ける力の流れを止めると全身へとすごい勢いで流れていく。

そのまま先ほどと同じ詠唱をする。


「火球よ 進め ファイアーボール」


自分の中の力が熱を持ち外へと出てくるような錯覚が起きる。

自分の周りを見渡すが変わった様子は特にない。

火の球も現れていない。


「成功ですね」


「え?」


成功とはどういうことだ。確かに何かをつかんだような気はしたが

実際には何の変化も見られない。


「魔力の変換が感じとれました。後は形にするだけです。

あなたなら数回やればそれもできるでしょう」


なんだかよく分からないが成功らしい。

結局魔眼が邪魔していただけのようだ。


その後何度かやっていると流れ出る力の形をある程度

コントロールできるようになった。

といっても少し楕円だったのがちょっと丸めになった程度だが。

才能はかなりあるみたいだ。

これだけのことでもこの短時間ではなかなかできないという。


そして自分の魔力の適性だが、これはまだよく分からない。

どうやら子の魔力適正は基本的に親に依存するらしい。

そういうものを計る道具があるらしいのでまた使ってみることになった。

母の魔力は光と少しの闇、そして強力な炎らしい。

魔法は使えないが、何か天使特有の術ができるらしい。

父の魔力は、火、土、風、水、闇らしい。

要するに光以外すべてだ。

これは期待できる。


「今日はこのぐらいにしましょうか」


母はメイドに向かって手を翳した。

それによってメイドを包んでいた優しい光が消える。

終わったことを察したのかメイドはこちらに向かって歩いてくる。


自分が魔法が使えることに興奮する気持ちとほっとする気持ちが

渦巻いているがそれを心地よく思い、この世界に来てからそんなに

見せたことがない笑顔を見せた。

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