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第5話 上から来るぞ気をつけろっ!

ザインの町の北東、歩いて30分の位置に遺跡はあった。案外近くにあるもんなんだな。


遺跡の入り口には騎士団の見張りが立っており、俺は見張りにタグを見せる。


「新入りか、そんな木の棒だけで遺跡に入るのか?よほど自信があるのか馬鹿なのか……まぁ、遺跡の中は自己責任だ。せいぜい頑張れよ。」


あぁ、うん。武器を買うのを忘れてた。腰にあるのはどうのつるぎ(木製)である。そりゃ傍から見たらそう見えるわな。


俺は見張りの言葉に苦笑いで答えると遺跡の中に入る。とりあえずは今日の宿代を稼がなくては。


遺跡の中はひんやりとしていた。壁は苔と蔦のような植物に覆われ、元の素材は見えない。俺は入り口からまっすぐの通路を警戒しながら進んでゆく。通路は意外と明るく、視界は良好である。


最初に魔物と遭遇したのは入って10分ほどたったころだった。であったのはゴブリン。やはりこん棒を持っているところをみると、こん棒がゴブリンの正式装備なのだろう。


「ゴブッ」


一本道なのですぐに相手もこちらに気がつく。俺はどうのつるぎ(棒)を引き抜き構える。すでに戦ったことのある魔物なので対策はばっちりだ。昨日と同じ6回の攻撃でゴブリンが沈む。


街道で倒した時と違いゴブリンの死体は溶けて遺跡に飲み込まれてゆく。死体のあった場所に「ゴブリンのクズ鉄」と呼ばれる鉱石が残る。窓口で聞いていた通り遺跡内では魔物を倒したあと死体は遺跡に吸収され、遺物がドロップするらしい。


さらにタグが震えレベルアップを知らせる。経験値ブーストのおかげか結構サクサク上がっている。


俺はドロップ品を鞄にしまい奥に進む。さらに10分ほど進むと開けた空間に出た。そこにはゴブリンが2匹おり、長方形の箱を二匹で運んでいる最中のようだ。


まずい、2対1だ。すでに3回の戦闘でゴブリンと1対1で戦うことには慣れているが、2対1は初めてである。


ゴブリンがこん棒を構え向かってくる。俺はあわててどうのつるぎ(棒)を引き抜くと一匹目のこん棒をかわし、もう一匹に一撃入れる。あと6回と5回か……うーむ。


そういえば戦闘に使えそうなスキルがあった。上級剣術のスキルはまだ試してなかった。

俺は上級剣術と念じる。


ホライズンシュナイデン

ホライズンハウ

ディアゴネルシュナイデン

ディアゴネルハウ


さらに選択肢が出てきた。今使えるのはこの4つのみのようだ。習得はしているがレベルは足りないのだろう。だが俺にとってはなじみある単語だった。シュナイデンは斬ることを目的とした剣の振り方で、ハウは打ち払うことを目的とした振り方のことだ。


ホライズンは上下左右、ディアゴネルは袈裟や逆袈裟のような斜めに振ることだ。


俺は残り5回のゴブリンの攻撃に合わせて左から右へのホライズンハウを使う。こん棒とどうのつるぎ(棒)がぶつかり、こん棒をはじき返す。そのまま手首を返し剣先を下げ、今度はディアゴネルシュナイデンを使う。右下から左上への切り上げはゴブリンの胴にもろにヒットした。それだけでは終わらず振り上げた剣を頭上に持ってくるとホライズンシュナイデンと念じる。上から下へ斬撃を受けゴブリンは倒れる。


スキルの補助のおかげでほんの数秒で3連撃をゴブリンに叩き込むことができた。さらに普通に剣をふるうよりもスキルでふるった方が威力が高いらしい。残り5回だったゴブリンは3回の攻撃であっけなく沈んだ。


俺はもう一匹のゴブリンと向き合うと、さっきと同じ要領で3連撃打ち込む。やはりゴブリンは3回で沈んだ。普通に斬る倍近い威力があるようだ。


だがスキルを使った後、俺はスキルの副作用を味わうことになった。ものすごく腹が減るのだ。


目が回るほど空腹になった俺は、今日の探索を切り上げザインの町に帰ることにした。その前にゴブリンの残したドロップ品を確認する。クズ鉄2つに長方形の箱が1つ。


クズ鉄は鞄に入れ、長方形の箱を開ける。


中にはひと振りの剣が入っていた。とはいっても特に特徴のない市場でも多く見かけた鉄製のバスタードソードで、銘も彫られておらず鞘も質素な革製のもので飾り気は無い。


多少使い込まれているところを見ると誰かが使っていたものをゴブリンたちが運んでいたらしい。盗んだのか奪ったのか、それはわからないが遺跡で拾ったものは拾得者に所有権があるらしいのでありがたく頂いておく。


誰かのお下がりとはいえこの世界で初めての愛剣だ。後で命名スキルを使ってふさわしい名前をつけよう。


腰から剣を下げるとぐっと実感が湧いてきた。今俺は憧れる続けたファンタジーの世界にいる。この世界で生きているんだ。


だが想像と違い特に使命は無く、手探りでただ生きている。まだまだこの世界のことも知らない。


それでも俺はこのルインザムが好きになっていた。たった二日しか経っていないが、今まで小説や映画の中の出来事でしかなかったようなことが実際に自分の身に起きているのである。


……これで可愛い女の子とかと知り合えれば完璧なんだけどなぁ。

凛は元気かな?あいつにも体験させてやりたいなぁ。


俺はそんなことを考えながら入口へと引き返す。途中ゴブリン一匹と遭遇しどうのつるぎ(棒)で倒した。5回目の攻撃でついにどうのつるぎ(棒)が折れてしまったので、ついでにバスタードソードの試し切りをした。砥がないと駄目だなこりゃ。

この戦闘で本日2回目のレベルアップもした。これでLv4になったわけだ。


遺跡を出ると入り口の騎士団員が話しかけてきた。

「おう、新入りお疲れさん。なかなか出てこないから死んだと思ったぜ。」


なんだかんだ心配してくれていたようだ。案外お人よしなのかもしれない。

「お疲れ様です。俺だって開拓者のはしくれですからね、簡単にはやられませんよ。」


俺は笑顔で答えておく。入った時は真上にあった太陽がだいぶ傾いていた。町に着くまでに日が暮れてしまいそうだ。急いで町に戻らなくちゃな。


しかし案の定20分ほどで日が落ちてしまった。あたりは暗く薄気味悪い雰囲気を醸し出している。


あと10分くらいで町に着く。俺は気を引き締めて足を速めた。


「……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


悲鳴が聞こえた気がする。びっくりしてちびりそうだった……危ない危ない。


なにかあったんだろうか。もしかして誰かが魔物に襲われているとか?


俺は恐る恐る悲鳴の聞こえた方へ行ってみる。

だが、数メートルで壁にぶつかってしまった。行き止まりのようだ。


「おーい!だいじょうぶかー?」


俺は呼びかけてみる。返事はない。


気のせいだったのだろうか。さっさと町に向かおうと思ったその時何かが向かってくるような音が聞こえた。


俺は剣に手をかける。魔物か?どこから来るんだ……右か左か。

俺は背を壁に預け、耳をすませる。


音が近づいてきた。右じゃない……左でもない……うえっ!?


上から何かが降ってくる。直撃コースだ、避けられない。上から迫りくるなにかと俺の目が合う。


それはぼろぼろのチュニックをまとった綺麗な女の子だった。

ちらっとでてきましたよヒロイン。

これで有言実行ですね(迫真)

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