表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が魔法少女になったら  作者: 楠木あいら
新たなる仲間
25/28

3人目の魔法少女

「これじゃあ、埒が明かないわ」


 魔法少ココになった俺は女の子口調で今の現状を口にした。

 小さな公園に現れた数匹のカエルモンスター。カエルにしては大きいが膝下サイズでそんなに強くない。肉球グローブを降り下ろす『ホーリーハンド』で簡単に片付けられるのだが……1匹倒すごとに、どこぞのゲームで見られる。仲間を延々に呼んでくるのだ。


「じゃあ、援護要請メールをかりんちゃんに送るね」


 首辺りからから声がした。普段はスマホだが、変身時は首輪っぽいチョーカーのチャーム (ネックレスや腕輪につける小さな装飾品)になる便利な魔法少女の相棒メニだ。 チャームにいる時でも通信は使えるらしい。


「かりん、ちゃん……」


 この前、仲良くなった魔法少女かりんは中学生で戦闘能力は低い。俺がオトリになってかりんに一撃必殺をかけてもらう方法があるが……


「いや、メニ。もう1人に送信して。アドレスとか知ってる?」


 魔法少女は俺を含めて3人いる。3人目はまだ会った事はない。賭けてみようと思ったし、まだ見ぬ3人目に興味があった。


「この前、バージョンアップした時に教えて貰ったたから大丈夫」


 その前に来てくれるのかが問題だったが。いや、魔法少女をやる上で正義心というものはあるだろうが、その前に、生活面での事情がある。食事中だったり風呂とか。

 その考えは必要なかった。数分とたたず3人目は姿を現した。

 現れた3人目は……金色の髪をポニーテールにした背の高い少女。


「初めてまして、私はココ。さっそくで悪いんだけれども敵が多くて困っているの。一緒に戦ってくれる?」

「……」


 中高生ぐらいの顔立ちをした3人目は俺の目をじっと見つめた。その顔に笑みはないが、怒ったりあきれ顔でもなく、普通の表情をしていた。


「……」


 水色の魔法少女服が揺れる。3人目の魔法少女は敵に向かって駆け出した。


「速い」


 疾走。その言葉がピタリと当てはまる。まるで4本足で走る犬っ子のように名なの知らない者はモンスターに近づいた。

 その手には、ナックルが握られている。金色のシンプルなデザイン。それが彼女の武器だろう。

 敵に近づいた時、彼女の武器が鋭く伸ばされていた。あっという間に1匹のカエルが消えてゆき、敵が仲間呼び出しの口を開くよりも早く2匹目は、名の知らない魔法少女の餌食になっていた。

 乱舞するような戦闘。

 俺が調子の良い時に『踊るように敵を倒す』と表現した事があるが、彼女の乱舞はさらに鋭いものがあった。同じ乱舞でも盆踊りと、ブレイクダンス程のリズム差がある。それほど彼女の戦闘はすごかった。


「……」


 カエルは仲間を呼び出すことなく、風のように一掃され。後は、2人の魔法少女だけになった。


「……」


 戦闘を終えた3人目の魔法少女は俺を見つめ、そして消えていった。彼女の表情は怒りも笑いもなく、普通の顔をしたまま。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ