表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

友人と襲撃者


 闇の副将軍チワンティーヌが俺を襲撃する。



 確かにインスタントラーメンみたく簡単に変身した魔法少女(しかも人間)に片腕となる部下(武器)と精鋭暗殺部隊を倒されては闇の面目丸潰れだ。

 だからといって、倒されるつもりはない。つもりはないが相手は副将軍、力の差は歴然としている。


「健斗、今日はどこに案内してくれるんだ?」


 しかも、倒しにくる本人が横にいた。腕に手を回して、胸、当たっているんですけど……

 闇の副将軍チワンティーヌは、クリスマスのゴタゴタに巻き込まれて友達になった。

 友達であるチワンティーヌは放課後の生活を堪能したいと言い出し毎日、カラオケやらゲーセンやら連れていかさせる。友達だからであり人間界を知らないからであるが、何よりもチワ、ハナ、メニ全員人間界のお金を持っていないからでもある……。

 お陰で財布は冬眠したいくらいだ。



しかしチワンティーヌは友達であり襲撃者でもある。



「……」


 俺は財布から最後の一枚、千円札をハナに渡した。


「ハナ、チワ。お前ら、久しぶりに再会したんだから、2人だけで話たらどうだ? ファーストフードなら安いし、一昨日行ったから買い方も分かるだろう?」

「ファーストフード……パンと肉が挟まっているやつだな。大丈夫だ」

「いいか、1000円分だからな1円でも越えたらアウトだからな」


 俺は重要事項を言い、2人を見送った。


チワと再会したばかりは、襲撃という単語に実感がわかず、チワの人懐っこい性格により、ズルズルと巻き込まれてしまった。

 しかし、日一日と過ぎてゆくうちに、チワから距離をおきたくなった。襲撃をかける奴が近くにいるというのは、いつもの笑顔ができない。友達であってもチワは闇の重鎮たる副将軍。面目を保つため俺を仕留める。消されるかもしれない。『かもしれない』と言うのは、俺と友達だからで何か手加減ないし。何か軽い処置にしてくれるかもしれないという考えであった。


「…………」


 とはいえ、親友のハナと約束した事が不安をよぎる。2人は襲撃されても助けないという約束をしているのだ。




「健斗らしくないね」


 河川敷でぼーっとしていたらメニがポケットから現れた。(スマホなので普段はポケットにいる)


「メニはどう思う? チワンティーヌの事」

「チワたんは友達だよ」


 メニは犬っ子のように真っ直ぐな笑みを向けた。


「襲撃者なのにか」

「うん」


 メニの笑みはさっきと変わらなかった。


「メニはチワたんを信じるよ。それよりも大切なのは健斗の相方だって事」


 メニの笑顔は変わらなかった。


「……」


  メニの笑顔に俺もつられて笑みになっていた。


「メニって、犬っ子の『えへっ』と笑う笑顔みたいだな」


 俺は立ち上がった。


「ホームセンターのペットコーナーに行くかな」

「うん」



 来るべき時は来る。その時まで悩んでいても、変わらない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ