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ハスキー騒動


 光と闇の属性を持つ情報屋でシベリアンハスキー系美人、ハナが俺の事を1週間密着取材することになった。


「先が思いやられる」


 放課後。帰宅する俺の後を早速、ハナがついてきました。


「えーっと、ハナ。すごく嫌な予感がするんだけれども、どこで寝泊りするの?」

「もちろん、お前の家で1週間ほど。柴沼家の長女として住む」


 それって家族にも洗脳視線を使うってことか?


「わーい。お姉ちゃんができた。良かったね、健斗」

「メニ、お前は黙っててくれ」


 ハナと同じ制服姿になったメニは子犬のように軽やかなステップをしながら俺達の周りをはねる。


「不満か? ならば」


 ハナは何かブツブツと唱え、灰色の霧に包まれた。もちろん、辺りに人はいない。


「この姿なら不服はないはずだ」


 そう言ったのは水色の目を持つ一匹のシベリアンハスキー(シルバー&ホワイト)


「ハスキーっ」


 それを見た俺は、もちろん近づいて撫でた。

 頭ではなく首筋をいきなり頭からなでるのは良くないらしい。本物の犬っ子の場合、中腰になって手を下から顔の前に出して匂いを嗅がせてから撫でるのが良いらしいとネットで書いてあった。

 もしゅもしゅとなかなか柔らかい毛をしている。

 さらに撫でようと顔を近づけようとしたら、ハスキー犬ハナは後ずさりして離れた。


「なぜ離れる?」

「当たり前だ。そんなに近づくなバカモン」


 ハスキー犬ハナはなぜか視線をそらしている。


「何を言っている。犬っ子とのコミュニケーションは撫でて撫でて撫でまくるもの。ハスキーになった以上は……」

「断るっ」


 ハスキー犬ハナが逃げ出した。


「こら待てっ、俺のハスキー」


 もちろん、追いかける。大好きな犬っ子とコミュニケーションするために俺は全力疾走で追いかけた。

 ……。犬が好きだからの行動なのだが、俺、間違っていないよな?



 河川敷で走る光景は夕日に向かって走る、一昔前の青春ストーリになりそうだ。


「…………」


 ハスキー犬ハナは、ピタリと走るのをやめた。


「おお、ハナ。やっと犬っ子としてコミュニケーションする気になったか」

「するか、バカモン」


 短時間で『バカモン』呼ばわりするハナの先に不自然な者達がいた。


「敵だな。よし、メニ、敵だ。変身させてくれ」


 腕を伸ばすとスマホが手のひらにあった。画面はもちろん『PUSH 変身』となっていたので、それを押す。光が生まれ俺を包み込んだ。

 黒髪の犬耳と尻尾を持つ魔法少女ココへと変身した。正体を知っているのでハナにっ見せても構わないだろう。


「いつも正義を心に魔法少女ココ、ただいま参上。心の悪、退治します」


 登場セリフがいつもと違う気がする。ようやく仲良くなれるハスキー犬を守るためだから仕方ないと考えよう。

 敵を倒そうという考えがピュアパワーに変換してくれたらしいく、体がいつもよりも軽い、いや、さらなるパワーを感じる。


「うおぉぉぉー」


 いつもより数倍あるジャンプにより敵にたどり着いた。

 体が動く。たどり注いだ反動で最初の1人を叩き降ろしの『ホーリーハンド』でしとめ。

 あとはただ、舞うように体を動かしていた。腕を回せば敵に当たり。体を右に傾ければ、敵の魔法がさっきまでの場所を通り過ぎていた。


「はぁ……はぁ」


 気が付いた時には敵の姿はなく、魔法少女姿も解けて……息切れする高校生が1人河川敷で座り込んでいた。


「見事な戦いっぷりだったな」


 安全になってからハナが現れたが……人間の姿に戻っていた。

「何で戻っているんだ」

「当然だ。お前が危険だとわかった以上は」



 人間の姿に戻ってくれたハナは空を見上げた。


「しかし……ちょっとマズイことになったかもな」

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