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中心地区への道のり

 「ナツ?」

「ん?」

「ちょっといい?」

「え?いいけど・・・」

こちらにきて2週間がたったある日。

ナツが部屋で本を読んでいると、ミカンが入ってきた。

あのこと(・・・・)についてなんだけど・・・」

「!」

来たか、と思い、ナツは崩していた足を戻し、座りなおした。

「明日、この家を出ようと思う。」

「!!!」

あまりに急だったので、ナツは驚いて目を見開いた。

「・・・またなんで急に?」

「昨日一日考えたんだけどさ、やっぱりここにいても始まらないし、(ふみ)を送ったって王が見てくれるわけがないから・・・自分たちから出向くしかないんじゃないかなって。」

「・・・そういえばさ、どうやってこの戦争を終わらせようとしてるの?」

「とりあえずは王を説得する。それでも無理だったら、異火に行って異火の王を説得する。駄目だったら、力ずく。」

「・・・力ずくって?」

「王同士でたいせんしてもらうとか・・・そこは成り行きかな?」

「(意外と野蛮;)・・・じゃあ、中心地区に?」

「うん、行こうとおもうんだけど・・・行動は早いほうが良いし。ちょっと・・・てか、かなり危険だけど、いい?」

「・・・うん。それは、あたしも思ってたし。この家にずっといても、何か変わることなんてないよねって。」

「・・・ありがとう。じゃあ、荷物をまとめておいて。」

「うん。」

夜は、腐りそうなものをたらふく食べた。

その後、ナツは自分の部屋で荷物をまとめていた。

「これはいれて、・・・この本はいいか・・・」

リュックの中には、端末とお金と日持ちの良い食料や水と本と下着と寝袋。

服は、水をはじき汚れもつかないジーパンとTシャツとパーカーを用意した。

あとは、腕時計。

「ほかは・・・いいか。」

と、部屋を見回したとき、アルバムが目に入った。

「重いし無理か・・・。」

アルバムを手に取り、中を見た。

家族写真と、友達との写真・・・

「・・・これくらい・・・」

ナツはそれを取り出し、パーカーの内ポケットに入れた。

「・・・よしっ」

ナツは用意をすませると、早めに眠りについた。


―――そして次の日。

「「ありがとうございました」」

家に挨拶をして、出る。

長年住み着いていた家を離れるのは、心寂しいものがあった。

・・・きっとまた、戻ってこれる。

そう、信じて・・・

「・・・いこう」

「うん。」

2人は歩き出した。

以前歩いた、大通りを歩く。

「・・・ちょっとさ、イヨカンのところよってもいい?」

「・・・いいよ。」

家の間の道に進む。

前来たドアの前に立つと、ミカンは深呼吸をしてからドアをたたいた。

「俺、ミカン」

「・・おう」

扉が開くと同時に、イヨカンが険しい顔ででてきた。

「・・・お前ら」

「行くことにしたよ、中心地区に。」

「!」

「一応親には顔をみせておこうかな、と。」

「お前ら、正気か?」

「正気だ。」

「・・・ナツ、悪いことはいわねぇ。やめといたほうが良いぞ、こいつの無茶につきあうのは。」

「いいんです、決めたことだから。」

「!」

ナツはまっすぐイヨカンを見た。

「あたしだって、止めたい気持ちはある。それに、何もしないよりまだ自分の気が済むと思うから・・・」

「・・・そうか。」

とめても無駄だと思ったのか、イヨカンはため息をついた。

「しゃあねぇなぁ・・・がんばれよ。」

「!あぁ!じゃあ、いってくるな!」

「ちょっとまった!」

「?」

「これ首から提げとけ。」

そういってイヨカンが差し出したのは、2つのペンダント。

先のほうには、透き通った瑠璃色の綺麗な珠がついている。

「お守りってやつだ。効果はしらねぇけどな♪」

「!!・・・さんきゅ!」

イヨカンはこうなることをわかっていたのだ、と、ミカンは思った。

そして改めて、自分の義父に感謝する。

「あ、そうだ・・・お前はもう1つもっとけ。」

イヨカンはもう一つ、自分が下げていたペンダントをとって、ナツにわたした。

「・・・え?」

「これから先、なにがあるかわからねぇ。仲間が増えたらこれをかけてやりな♪」

そういいながらイヨカンは、意味深げな顔でミカンをみた。

「!(・・・もしかして)」

ドンッ

「「!」」

「さっさといってこい!死ぬんじゃねぇぞ!」

イヨカンは2人の背中を押し、そういった。

「・・・おう!!!」

「いってきます!!!!!」

2人は一度も振り返らずに、その場を去っていった。














しばらく歩くと、焼け野原の地帯にでてきた。

「ここ、さらにひどいね・・・」

「多分一番被害がすごかったんじゃないかな・・・」

道とは言えないような道を歩く。

「人どころか、動物もいないね・・・」

「もしかして、ここが・・・」

と、ミカンが言いかけたとき。

ゴロゴロ

ピシャンッ

「「!!!」」

雷鳴が鳴り響き、雨が降り出した。

「ここなにもないから、雷かなり危険じゃない?!」

「!とりあえず走るぞ!!!」

2人は全力で野原を駆け抜けた。

しばらく走ったが、雷雨はいっこうにやまない。

「!あそこ、洞窟じゃない?!」

山が見えてきて、そこになにやらぽっかりあいた穴をみつけた。

「あそこにいくぞ!」

そして、無事に洞窟へたどり着いた。

「っはぁ・・・」

「とりあえず、危機一髪ってかんじだな・・・」

2人は洞窟の中に入ると、座り込んだ。

中は意外と乾いていて、少し肌寒い気もする。

「ここはどこだ・・・?」

端末のマップをみる。

「お、やっぱり。アジア地区のど真ん中だ。」

「・・・やっぱり?あ、さっき言いかけてた・・・」

ナツは先ほどミカンがもしかして、ここが・・・と言いかけていたことを思い出した。

「あぁ。聞いたことがあってさ。一番最初の、もっともすさまじかった戦闘が、アジア地区の丁度ど真ん中であったって。」

ナツも思い出した。

少しでも、この星について勉強しようと思い買った本の見出しになっていた事件、『The first Competition』。

訳すと、『最初の争奪戦』という意味だ。

争奪戦・・・つまり、あの科学家族の争奪戦だろう。

まだ、戦いの意味があった時代の出来事だ。

「へぇ・・・今までいたところはどこだったの?」

ナツが聞くと、ミカンは紙とペンを取り出して何かを書き出した。

「・・・これは?」

「似地の簡単な地図。」

そういって、地図に家のマークを書いた。

挿絵(By みてみん)

「いままでいたのは、アジア地区の一番東。日地区(にちく)っていって、主に地球で言う日本人が住む場所。」

そして、アジア地区は4つにわけられる。

地球で言う日本が日区、インドが印区(いんく)、中国が中区(なかく)、ロシアがロシア区。

「で、今いるのはここ、中区と日区の間の山。」

「へぇ、ここまできたんだ!」

1日で・・・と、ナツは驚いた。

「って言っても、地球よりはるかに小さいしな。」

「いままでのが何キロくらい?」

「約30キロ。さっきの全力疾走のおかげでな・・・」

2人は顔を見合わせて、ふきだした。

「あはは、すごいね!」

「かなり必死だったもんな♪」

「火事場の底力ってやつ?」

「ははっ、だな!」

そのとき。

グウゥゥ

2人のお腹が、同時になった。

顔を見合わせる。

「夜か・・・飯にすっか?」

「あは、だね♪」

そして2人でご飯を食べて、早めに寝た。


―――ピピピ・・・

「・・・ん」

朝か・・・と、ナツは体を起こした。

隣では、ミカンがまだ寝ている。

「(ミカンって結構格好いいよね・・・)って、何考えてんだあたし!///」

ナツはなんだか恥ずかしくなって、自分の頭をたたいた。

「いてて・・・ん?」

ミカンをもう一度みたとき、ミカンの手に何かがはさまっていることに気づいた。

「・・・写真?」

男の人・男の子・女の子の3人が写る写真。

男の人と男の子は、見覚えがあった。

写真の日付からしても、一致する。

「小さい頃のミカンだ・・・で、こっちはイヨカンさんだよね・・・」

今と変わらぬ、無邪気なミカンの笑顔。

・・・いや、何かが変わった気もする。

この頃の笑顔は、本当に無邪気で、なんの偽りもない感じ。

「・・・ん」

「あ」

「・・・おはよう・・・あ、写真」

「可愛いね、ミカン♪」

「だろ?」

そういって笑うミカン。

・・・今のミカンの笑顔は、よく見ると裏がある気がする。

なんて、深読みしすぎだろうか?

「この女の子は?」

「義姉のユズ。」

「へぇ、お姉ちゃんいたんだ。」

「随分前に向こうが家を出て行った以来、あってないけどな。」

「ふぅん・・・あ、ご飯食べる?」

「うん!腹減った!」

2人でご飯を食べて、外の様子を見る。

「晴天だね♪」

「今のうちにここ出るか。また雷雨がきたらこまるしな・・・」

「そうだね。この先に町あるみたいだし。」

端末を見ながら、ナツが言った。

「それは助かる。じゃ、いくか。」

「うん!」

2人は荷物をまとめ、外に出た。











 今度は森の中の獣道をひたすら歩いていた。

険しい坂が多い・・・本格的な登山である。

本当は山を避けようとしたのだが、この山はまっすぐ大陸の端から橋まで架かっている。

「まさか、崖とかでてこないよね・・・?」

「それはやめてほしいな・・・」

しかし、いやな予感は的中。

その会話からわずか10分後、2人の前に大きな崖が立ちはだかっていた。

「・・・ここを避けることは?」

「頂上目指してるわけじゃないんだけどな・・・頂上越えないと向こうにいけないんだよな・・・」

「・・・最悪。」

「・・・ロッククライミングだな♪」

「楽しそうに言われても乗り気にはならないよ・・・やるっきゃないからやるけど・・・。」

ナツは、あたし運動少なくとも得意じゃないんだけどなぁ・・・とぼやきながらも、崖に手をかけた。

幸い崖に凸凹が多く、登りやすいことは登りやすかった。


そして、踏ん張ること約20分。

「「のぼったぁぁ!!!」」

ようやく、頂上にたどり着いた。

幸い、向こう側に崖はなく、普通の山道だった。

「にしても、もう帰れないね・・・」

「だな・・・王朝のほうで船でもだしてくれりゃあ楽なんだけどな・・・」

船は、乗るだけでかなりの金がかかるものだった。

「だね・・・成功すれば英雄になれるかもしれないし、船は出してくれるんじゃない?」

「死ぬか戻るかってわけだ。」

「頑張ろう!!」

「だな♪お、あそこに町がある!」

ミカンの指差した方向・・・山のふもとに、沢山の建物と人が見えた。

「本当だ!」

「夜までにはつくだろ・・・よし、降りるぞ。」

「うん!」

2人はせっせと山を下った。

「あとどれくらいで下つくかな?]

「結構おりてきたし・・・今何時?」

「午後3時。」

「う~ん・・・少なくとも5時までには着くと思うぜ?」

「もう一息だね!レッツゴー!!」

「ゴー!!」

このときはまだ、辛さよりも楽しさが上回っていた。

普通に登山をしているみたいで、一瞬この旅の目的を忘れていた。

これから来る戦いの悲惨さなど、知るわけもなく・・・。




ミカンの予想通り、丁度午後5時頃に町が見えてきた。

「ついたぁ!」

人は多くはないが、田舎なのだろうか、ちょこちょこといた。

「さぁ、今日の宿探しだ。ちなみにここは俺らの言葉は通じないからな。」

「!じゃあどうするの?」

「・・・どうにかなるよ。」

ナツはごまかしたミカンを睨み、ため息をついた。

「ジェスチャーしかないのね・・・。誰か通訳いないかなぁ」

「んなもん、そうそういねぇよ。」

「端末で調べることは?」

「出来るけど、いちいち面倒だよな・・・」

さすがに、言葉の通じない人に話しかけるには勇気がいる。

どうしようかと2人で立ち尽くしていた、そのとき。


「あの・・・どうしたんですか?」

「「え?!」」

聞きなれた言葉が聞こえ、2人は勢いよく後ろをふりかえった。

「日区の方ですよね・・・?」

そこにいたのは、長い黒髪を一つに束ねた、なんだか明るい雰囲気の女の子だった。

自分たちより少し年上にみえる。

「そうですけど・・・」

「・・・あぁぁぁ!!!!」

急にミカンが叫んだ。

「ミカン何?!」

「え?ミカン・・・?!」

ミカンと女の子は、目を丸くしてお互いをみた。

「・・・え?え?」

そのなか一人、状況を理解できないでいるナツ。

あの(・・)ミカン・・・?イヨカンの・・・」

女の子がそういった瞬間、ナツの脳裏にミカンの持っていた写真がよぎった。

「!イヨカンって、まさか・・・」

「やっぱり・・・ユズ?」

「!!!ミカン!!!」

2人は目を輝かせ、抱き合った。


「・・・あ、あの」

ナツが申し訳なさそうに口をはさむ。

「!あ、ごめんなさい!」

「ごめんごめん!」

「えっと、ミカンの義姉さんのユズさんでいいんですよね・・・?」

「えぇ。あなたは?」

「ナツ。俺の新しいパートナー。詳しいことは後で話すからさ、なんか寝れるところないか?」

「それなら、あたしの家があるからきな♪」

優しく笑うユズ。

ナツとミカンは、その笑顔に安堵感をもった。

ユズにつれられ裏路地へ入り、ドアの前で立ち止まる。

「ここ♪」

なんだかイヨカンの家に似ていた。

「おじゃましまぁす・・・」

「狭いけど、屋根があるだけいいでしょ?」

「あぁ、助かった!」


「・・・で?まず、ナツちゃんはどこから?」

「地球からです。」

「!!!あ、そういうこと・・・」

それなりの知識はあるのか、ユズは納得したようにナツを見た。

「あと、なぜこんなところに?」

「・・・ユズはさ、俺たちの約束覚えてるか?」

「約束・・・戦争を終わらせるっていう?」

「あぁ。・・・それをさ、実行しようと思って。王に会いにいくところなんだ。」

ミカンがそういうと、ユズはあきれたように笑った。

「やっぱりね、あんたのことだし、そういうことだと思った。」

「・・・ユズ」

「不可能に近いよ、かなり。」

「・・・分かってる。」

「王に会う前に死ぬ可能性だって十二分にある。」

「それも分かってる。死ぬ覚悟くらいできてるさ。」

ミカンが自信満々にそう言った。

「本当に?」

「・・・え?」

「本当に分かってる?」

先ほどまでとは違い、険しい表情で問うユズ。

「・・・どういう」

「死んだらそこでおしまいなんだよ?星を救うっていう夢だって終わる。だから、死ぬ覚悟なんていらない。」

「「!」」

「チャンスは一度きり・・・二度目なんてない。死なずに計画を成功させるためにどうするか、ちゃんと考えた?成り行きとか、そんな適当な考えは通用しないよ?」

「・・・」

ミカンとナツは、返す言葉がなくなった。

「・・・とはいえ、とめようとは思わないけど。」

「「!」」

顔を上げると、意外にもユズはにこやかに笑っていた。

「死ぬ死なない以前に、行動しないとなにも始まらない・・・行動しただけ、あんたらは偉いよ。あたしも参加させて。」

「勿論!!」

「ただ、少なくとも明日1日はここにとどまって、作戦を練ってからいきましょう。」

「!!はい!」

ナツは、自分の表情が自然と明るくなっていっているのが分かった。

それは、ミカンも同じであった。

・・・不安だったのだ。

きっとできる、と根拠のない自信を頼りに進んでいくのが、不安だったのだ。


「ナツちゃん、敬語はいいからね♪」

「え?!でも・・・」

「今日からあたしたちも姉妹よ!あたしのことはユズって呼んで♪」

ナツは一瞬考え込むと、顔を上げた。

「・・・分かった!よろしくね、ユズ姉!」

「!あはは、よろしくね、ナツ♪」

「ユズ姉っていいな♪」

「でしょ?」

薄暗い部屋の中、3人の笑い声だけが響いていた。





 朝。

ナツは、パンの焼ける音とともに目をさました。

「おはよう、ナツ♪」

「!おはよう、ユズ姉!早起きなんだね?」

「まぁね♪ほら、朝ごはん!」

「ありがと!いただきます!!」

「おはよ~」

ナツが目玉焼きを頬張っていると、ミカンも起きた。

「おはよ!さ、みんなそろったところで、これからのことでも話しますか!」

「だね♪」

「・・・で、これから中心地区に行って王にあうわけでしょ?」

「うん。」

「王にあうには怪しまれないように王宮にはいらないといけないよね・・・」

「そこで選択肢は2つ。科学者のふりをするとかなんとかで正門から堂々と入るか、裏からそそくさと入るか。」

「・・・裏から入るのは危険だよね?」

「あぁ。かなりの確立で見つかるし、見つかったじてんで即死刑か一生牢獄か・・・ただではすまねぇな。」

「かといって、正門から入ってごまかせるかは・・・」

どちらも微妙である。

ナツは端末を見て、科学者の王朝の出入りを見た。

「・・・あさってに、王宮入りする科学者は多いみたい。」

「!じゃあ、そこにまぎれて・・・」

しかし、決して簡単なことではない。

そのとき、ナツの脳裏にある考えがうかんだ。

「・・・あたしは使えないかな?」

「「・・・え?」」

「王は地球に興味があるみたいで、よく王宮に地球人をよんで話を聞いたりしてるんだって。」

似地人のミカンやユズが文をおくっても興味を示すことはないだろうが、地球人であるナツが送れば、興味を示して読んでくれるのではないか、というのがナツの考えだった。

「それは使えるわね・・・」

「そうと決まれば、送ってみよう!」

ユズは紙とペンを出し、ナツに渡した。

「よろしくね!」

「まかせて、これでも作文は大得意だったから♪」

ナツはそういって笑うと、真顔になってペンを握った。


文は割とすぐに書き終わり、昼に郵便局に出した。

そして、それから5時間後。

「さすがは王宮、返事は早いわね。」

「お、きたんだ!!!」

封を開け、中を見るユズ。

「・・・!明日の夜までに王宮にこい、だって!!あたしとミカンの同行もいいそうよ!」

「「!やったぁ!!!」」

「そうときまれば、荷物をまとめて!明日の夜までだから・・・6時間後にはここをでましょう!」

「そうだな。」

「じゃあ、もう寝るか♪」

3人は荷物をまとめ、眠りに着いた。


―――次の日。

3人は早朝に家をでて、皆がおきだす頃には、中区の中心地へ来ていた。

「また、人がへってきた・・・」

人の気配がほとんどない。

「かつての都市は全部襲われたからね・・・」

「ユズ姉は何で日区から中区にきたの?」

「あの山あるじゃない?あの山の向こうに行ってみたかったの。で、山を越えたわけだけど戻れそうにもなかったから、そのままふもとの町に住み始めたわけ。」

「それで戻ってこなかったのか・・・」

ミカンが納得したように頷いた。

「戻りたい気持ちもあったんだけどね・・・ごめんね。」

そしてしばらく歩くと、人も増えてきて、潮の香りがしてきた。

「港町ね。中心地区も近いわ。」

「あ、海だ!!!」

建物を抜けると、綺麗なエメラルドグリーンの海が見えた。

そして、その向こうになにやら金色の島が見える。

「あれが中心地区。で、あの線から向こうが印区ね。」

よく見ると、道路の少し先に赤い線が見えた。

「じゃあ、本当にここは中区のはじなんだ・・・」

「向こうに橋があるぜ?」

「あの橋を渡るみたいね。」

橋に近づくと、兵士が2人いた。

「あの、中心地区にいきたいのですが・・・」

「チケットをみせろ。」

封に入っていたチケットを見せる。

「・・・いいぞ。」

チケットを見せたら、簡単に通してくれた。

「ナツのおかげだな♪」

「いえいえ♪王が地球に興味あってくれて本当によかった・・・」

挿絵(By みてみん)


長い橋を渡りきると、大きな門があった。

「すご・・・」

「・・・立派だね・・・」

あっけにとられていると、巫女の装いをした人が声をかけてきた。

「お名前は?」

「ナツです。」

「チケットを拝見させてください。」

「はい。」

「・・・では、ついてきてください。」

一般の人はほとんど入れないこの中心地区。

門をまたぐとそこは、外側とは別世界だった・・・。

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