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一章

???「   近 くな。」

「×××には  が   近づ な。」


ーーーーはっ!?


また訳のわからない夢だ。


先月も同じような夢を見た。


知らない声。男か女か大人か子供かも聞き取れない声で訴えてくる。


そのせいか眠れない夜も多く、疲れが取れない日も多い。


『どこに近づかなければいいの、、?』


裏山?岬にある大聖堂?それとも、、、


「エリクー!!!」


お母さんが下で呼んでる。


「今日は大事な日なんでしょー?!!支度しなさーい!」


部屋にある掛け時計を見る。 黒い針は7:50を指していた。


今日は大聖堂で行われる、選別の日。

教祖様のスキルによって15才の子に職業ジョブが定められる。


この世界では1人一つ生まれながらに与えられるスキルと

誰もが学べて使える魔法が存在する。


そのスキル・魔法の熟練度・ポテンシャルを

教祖様の特別なスキルによって読み解き

職業ジョブを決定するのだ。



『お母さん、おはよ。』


正装に着替え、1階に降り、朝食の支度をしている母に声をかける。


「はい、おはよう。準備万端?」


『うん。ちょっと緊張。』


「大丈夫よ!なにも心配することないわ。 」


『うん、、でも、、お母さんが』


「私のこと?」


お母さんは女で一つで育ててくれた唯一の肉親。

お父さんは魔物が町に攻め込んできた際に行方不明になってしまった。


そこからは貧しいながらも

二人協力しながら生活してきた。


『もし、もしさ、冒険者になっちゃったら、』


「だーいじょうぶ!どんな職業ジョブになっても母さん誇らしいわ。

それに牧師様のスキルで決めてくださるんですもん。適職に決まってるわよ」


職業ジョブ

サンクテム(大聖堂員)

ブレイバー(冒険者)

ガーディアン(衛兵)

ノーマル(町民一般職)に分けられそれぞれの役割を務める。


ブレイバーに選定されるとチームメンバーが決まり次第、ギルドクエストや魔物討伐で家に帰ることが難しくなる。


そんなことをずっと悶々と考えながら

パンをひと齧りして、ミルクを飲み干す。


『お母さん、ありがとう。』


「お父さんもきっと見守ってるわ。」


僕とお母さんは首元に手を当てる。


家族3人のお揃いのペンダント

シルバーの縁に女神の紋様が彫刻されている。


「ね?だから心配いらな

ーーーグオォォオオオ!!ーーー


お母さんの言葉を遮るように裏山から

魔物の声が響き渡る。


ビリビリと振動が耳に伝わるほどの怒号が止んだ後

お母さんは家の外に飛び出した。


「エリクは中にいなさい!」


足がすくむ僕を置いてお母さんは飛び出し

集まった人々や外の衛兵と何やら話している。


足を奮い立たせ、怖さ半分興味半分で

お母さんの言いつけを破り家の外へと出る。


家の裏の門の先、裏山へと通じる道に

体長5mほどの禍々しい魔物がこちらの様子を伺がっていた。


"皆さん!下がって!避難してください! "

2名の衛兵が槍を構え魔物を威嚇する。


黒い毛皮に覆われたクマのような魔物の周りを

紫色の禍々しいオーラが包み、眼は赤く光っている。




【リュミエーラ】!!

一瞬 まばゆい閃光とともに魔物に向かって

広範囲の光線が降り注ぐ。


ーーーグオォォオ!!ーーー


魔物は空気を震わすほどの悲鳴を上げ体制を崩す。



"あれは!アンゲロイ様!?"

"すごい魔法だ、、"


町民が上空見上げる方を見ると

白銀のローブにつつまれた赤髪の美しい魔術師が

ゆっくりと降り立った。



「エリク!!」

魔術師に見惚れていると、お母さんに抱き抱えられた。


「家にいなさい!って言ったわよね?!」


『すごい、、、』


お母さんの叱責が耳に入ってこないほど

禍々しい魔物に立ち向かう魔術師の

神聖なるオーラに目を奪われていた。



【リュミエリオン】!!

魔術師から発せられた眩い閃光の槍が魔物を突き刺す。


ガァッ! ヴォォオオ!

魔物に対してかなり効いているらしく

悲痛な雄叫びを上げながら錯乱している。



痛みに苦しむ魔物は魔術師に憎しみの目を向け、

【パマルド テネブル】

激昂している魔物から十数の深い黒い魔弾が浮かび上がり魔術師や村全体に放たれる。



「なっ!?防ぎきれないッ..?!」

魔術師は咄嗟に防御呪文を詠唱するが

間に合わず、、、


"うぁぁあ!! 逃げろ!"

魔弾が当たった建物は黒く蝕み腐り枯れ、

地面には大きなクレーターが空いた。



!?!

『お母さん!』

町民が阿鼻叫喚に逃げ惑う中、

無慈悲にも魔弾が一球、エリク達のもとへ流れてきた。


エ、【エメルジエ バルド】!!

エリク達の前に絢爛輝く楕円型の盾が出現し、

魔弾を受け止める。



『くっ...!』光の盾は闇の魔弾を消滅させた後

ヴンッという音と共に輝きながら消えた。


「エリク、ありがとう。

やっぱりあなたの魔法は優しくて綺麗ね。」


『お母さん、怪我はない?うまくいってよかったぁ...』


咄嗟に唱えたエリクの魔法。

エリクが得意とする防御呪文でなんとか魔弾を防いだのだった。


魔術師は光の魔法で魔弾を打ち消しながら

こちらの様子を一瞥し、安堵の表情を見せた。


「今度は確実にしとめる...!

【デゼス リュミエ ... ??

魔術師の杖の先から神々しい光が放たれようとした時、魔物は踵を返し裏山へと引き返していった。


「みなさま!ご無事でしたか?!」

魔物の姿が見えなくなったと入れ替わりで

長い金髪に白い聖堂服を見に纏った

大聖堂司教 イグリスが駆けつけた。



"おぉ、、イグリス様まで"

"アンゲロイ様もイグリス様もなんて美しい"


イグリスは魔物を追い払った赤髪の魔術師アンゲロイの元に駆け寄り状況を把握した。


「アンゲロイ、皆を救ってくださったのですね。

私からお礼申し上げます。」


「イグリス様、申し訳ありません。

怪我人はありませんが、油断してしまい建物に被害が...」


「怪我人が1人も出なかったのあなたのおかげよ。壊れた塀や民家は教会にて修繕するわ。

あなたは付近の見回りをもう一度だけお願い。」


「わかりました。また後ほど聖堂に伺います。」


アンゲロイは杖にまたがると ゆっくりと浮上した。

浮上したあと母に家に戻るよう言われているエリクを見つめ 空へと旅立った。





「イグリス!!」 「メル」

エリクの母 メルは、司教 イグリスとはこの町で育った幼馴染であり、親友であった。


「メル、大変だったわね。魔物の声があなたの家の方から聞こえた時、私心配で心配で...」


「私もエリクだけは守らなきゃと思って、でも逆にエリクに助けてもらっちゃった。」

涙ながらに話すメルをイグリスは頭を撫でながら落ち着かせる。


「ペールさんとの子だものね。今日が選抜の日よね。」


エリクの父 ペールもこの町で育ち、

2人の憧れの先輩であった。メルの熱烈なアプローチで

めでたく結婚しイグリスの聖堂で式をあげた。


「そう、防御呪文が得意でね! さっきの魔物の攻撃からも守ってくれたのよ。」


「! 闇の魔弾を防げたのですか?

あのアンゲロイでさえ防ぐのは至難の業なのに...」


「え?そうなの...?」


「まったくあなたは、魔術の事になると疎いのね。

エリク君は似ないといいんだけど」


「あ〜また意地悪なこと言う!もう!

でも、確かに私とは正反対で引っ込み思案なエリクがもう

職業ジョブ決めかぁ〜


どんどん成長してっちゃうなぁ。

ちょっと寂しいかも。」


無理に笑いながら目を合わさずメルは続ける。

「私にもわかってるの。

あの子の防御魔法は、、

他に類を見ないほど繊細で強い。

冒険者に選ばれる可能性が高いって。 」


「メル...」


「あの子の可能性を潰すようなことはしたくない。

あなたのスキルで選ばれた職業ジョブを信じるわ。

良きお導きをー。」


「メル。強くなったわね。」


会話を終えたあと、

イグリスは教徒に町の修繕を指示し、メルが家へと戻るのを見送った。


「ねぇ、メル。あなたは気づいてる、、?

 この町で起きてる異変に、、、。」


外の窓から見えた、抱き合う母と子をみながら

イグリスは小さく呟いた。




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