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とあるメイドの数奇な運命  作者: 相馬 景
2/2

ミア・ソルレイジュという人

イザベラ

16歳/1月生まれ

身長165㎝(でかめ)

黒髪/目は茶


ミア・ソルレイジュ

17歳/9月生まれ

身長158㎝

ミルクティーっぽい髪/緑


こんな設定です!



私がお嬢様と出会ったのは、私が5歳の時だった。ソルレイジュ家の領地にある、教会に付属された孤児院。その小さな図書室の片隅で一人うずくまる私に、お嬢様は手を差し出した。

貴族訪問の日に隠れることが習慣になっていた私は、初めてこの場所まで足を踏み入れた人がいることに驚き、固まっていた。


「私はミア。ミア・ソルレイジュといいます。7歳になったばかりよ。あなたが1番歳が近そうに見えたんだけど…あなたのお名前を聞いてもいいかしら?」


差し出された右手を包む上等な白いシャツを見つめたまま、私は何も言えなかった。


「隣、座らせてもらうわね」


「えっ?!」


私は咄嗟に驚いた声を出した。

だって、そこはお世辞にも綺麗とは言えない場所だったから。

たまにネズミが歩いているのも知ってるし、小さい子がお漏らししても、人手不足で暫く放置されたりしているような環境だったから。


「服が汚れちゃう!座ってはダメです!」


「大丈夫よ。だって、あなたは座ってるじゃない」


ミアお嬢様はふんわりと笑って、当たり前のように腰を降ろした。



貴族の令嬢がこの孤児院を訪れたことは、今までに何度もあった。その度に突き刺さる憐れみ、蔑み、まるで珍しい物を見るかのような好奇な視線。隠しきれない嫌悪感を振り撒く人達もいた。

その度に私達の「日常」が人としての尊厳を奪われたかのような、惨めなものだったように思えた。

質素でも散らかっていても、優しい神父様と仲間がいるこの場所が大好きで、私にとってここが全てだったから。


ミアお嬢様が横に座ると、胸の辺りが温かくなっていくのがわかった。

単純に、嬉しかった。

たったそれだけの行為で、私の全てを認めて貰えたかのように思えた。


それから私達は、お互いの好きなものや、ソルレイジュ家のおっちょこちょいな庭師の話、洗濯したシーツが教会の屋根のてっぺんまで飛んでいった話、それを涙目の神父様がいかに回収したかなんかを、お腹を押さえながら語り合った。


そして別れの時。


「とても楽しい時間を過ごせました。ありがとう。…もし良ければ、私と一緒に来てくれない?

えぇと…嫌だわ、私、あなたの名前まだ聞いてなかったわね。ごめんなさい」


(私が名のらなかっただけなのに、この人は謝るんだ)


「イザベラです。ミアお嬢様のお側に、いたいです」


今度こそ私は、差し出されたその手を掴んだ。







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