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お願いだから私に愛を囁くのはやめてくれ。  作者: 皐月乃
第一章~動き出す運命~
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転校生


縁に引っ張られながらも校舎に辿り着き、靴を履き替えていれば背後から気配を感じひらりと避ける。


そうすれば必然的に勢い良く突っ込んできた相手は下駄箱に突撃するわけで。

かなり痛そうな音が聞こえたが大丈夫だろうか。



「俺の愛の抱擁を避けるなんて酷いよぉ縁ちゃん~…。」

「後ろからの気配や物音を感じると癖で避けてしまうんだ。すまんな。」

「それにサッチーってば無駄に背が大きいんだから突撃したら縁が潰れちゃうよ!」

「うぐっ…無駄にって言われたぁ…。」



大きな体を縮ませながら打ち付けた鼻を擦る彼の名前は綾小路(アヤノコウジ) (サチ)、彼とは中学からの友人である。


明るい茶髪と同色の瞳、前髪を毎日違う色のゴムで結んでいる。動く度に結んだ前髪が左右に揺れ動くのが面白い。


そして彼の一番の特徴はどこにいても目立つ195cmある身長だろう。本人曰く、まだまだ成長途中らしい。


愛兎がウサギなら幸は犬である。



「それで?先程からソワソワしている様子だが何か話したいことがあるのでは?」

「わぁ、何で分かったの~?えへへっ、実は二人にビックニュースを持ってきたんだぁ。」

「「ビッグニュース?」」



幸は私達の耳元へ口を寄せ、小さな声で話し出す。


その内容とはーー



「「転校生が来る?しかも今日?」」



愛兎と同時に首を傾げる。この時期に転校生とはかなり珍しい。


今は入学式が終わってやっと落ち着いてきた四月下旬。

今年は桜が長く咲いているがそろそろ葉桜になってくる時期でもある。


加えて幸の情報によると私達のクラスに転校生は来るらしい。



(担任からは今日まで何も説明されていないし…随分と急な話だな。)



三人で教室へと入り、生徒達の会話に耳をすませば聞こえてくるのは殆どが転校生の話題。


いつもより少し興奮気味な生徒達の間を進み、窓際の一番後ろの席へと座れば後ろから幸に覆い被さられる。


特に不便もない為、気にせずそのままの体勢で授業の準備を始めた。



「ん~それにしても今日も縁ちゃんの人気っぷりは凄いねぇ…必ず誰かしら縁ちゃんに見惚れてるしぃ。」

「過激派の親衛隊がいないことだけが救いだよ。…いたら許さん。」

「あは~、絶対に愛ちゃんが怖いからだよそれぇ。」

「んー?何か言った?サッチー?」

「ひぇ…な、何も言ってないよ俺ぇ…。」



私の頭に顎を乗せながら話す幸と前の机に座りながら話す愛兎。


二人の会話を聞きながらも窓の外を見ると、芝生で気持ち良さそうに寝ている一人の男子生徒が目に入ってきた。



(あのネクタイの色は二年か。ふっ…確かに今日は昼寝に最適な日だな。)



太陽の光に照らされた彼の派手なオレンジ色の髪がキラキラと輝いていた。


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