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お願いだから私に愛を囁くのはやめてくれ。  作者: 皐月乃
第一章~動き出す運命~
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愛兎SIDE_2


アタシのパパママは仕事の関係で去年からアメリカに行っている。つまりアタシは今現在進行形で一人暮らし中。


アメリカに一緒に行こうって言われたけどアタシには縁がいるし即答で拒否した。


毎晩テレビ電話をしてるし、朝食と夕食は有り難いことに出雲家で頂いている。個性豊かな出雲家に入り浸っていれば寂しいと思う暇さえない。


今日も相変わらずの元気過ぎな出雲家で朝食を食べてから学校へと向かえば視線、視線、視線の嵐。


アタシは縁の隣にいても恥ずかしくないよう日々の努力を大切にしている為、自分の容姿にもそれなりに自信がある。


だからある程度の視線の数とかだったら全然気にならない…はず、なのだが。



(あのバズーカみたいなカメラ、この場でへし折っちゃ駄目かな…。)



見渡せば桜の木や花壇の影に隠れてこちらを見詰める尋常ではない数の生徒達の人集りが出来ている。


男子も女子も全員が頬を染めてうっとりと縁を見詰めているのだ。


最早隠し撮りではなく堂々とカメラを持つ生徒まで現れ始めたが、当の本人はまるで気にしていない様子なのが何とも言えない。


この縁の自分の容姿への無自覚さと好意に対する鈍さは末期である。


立ち止まって桜を眺め始めた縁は本当に一枚の絵のように美しいが本格的に危機管理能力について話そうか。ね?


ネクタイを引っ張って身長差をなくす為に顔を近付ける。すると不思議そうに首を傾げながらこちらを見る縁に気持ちが揺らぐ。


…顔が良過ぎって本当に罪。



「~っ、至急危機管理能力を上げて下さい!マジで!!」

「?危機管理能力や察知能力には自信があるが…何かあったのか愛兎。」

「違わーい!縁が立ち止まった瞬間からのこの大量のカメラの連写音が聞こえないのか馬鹿者ー!!」

「聞こえてはいるが殺気は含まれていない。何も問題はないぞ愛兎。」

「、はぁ…そうだった。縁は現代を生きる武士だったね…。」



もう駄目だわこの子。


剣道で毎年全国一位だとか学年首席だとか出雲家跡取りだとか肩書きはエグいがある意味ポンコツっぷりが酷い。


全くもって自分の影響力を理解してないのだ。



(昔っから本当に変わらないな…って、何で今金髪姿の縁を思い浮かべたんだろアタシ?)



ふと一瞬だけ頭に過った縁は何故だが外国人のような金髪姿をしていた。


取り敢えずここから移動しなければと疑問に一旦区切りをつける。


手のかかる幼馴染みに対して軽く息をつき、アタシはそのまま縁のネクタイを引っ張りながら歩き出した。

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