転生
俺の名前は鈴木 亮。
俺は普通の学校に通っている普通の生徒で成績も普通、運動神経も普通といういわゆる【凡人】だった。
だから、死に方も普通に家族に看取られながら病院でゆっくりと……って思っていた。
が、そんな俺の死に方は『異世界転生物語』とかいうタイトルの物語でよく出てくる死に方だった。
トラック、別名【殺人兵器】のせいだった。
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俺は特別なにかが得意なわけではない。
家族は親と俺の三人だけ。
友達は多くはなくグループの後ろについていってるだけのいわゆるモブってやつだ。
受験も普通に成功し、大学生として普通の暮らしをしていた。俺は普通に授業を受けて、普通に楽しんでいた。
普通だった俺を魅了していたのは【異世界転生物語】だった。異世界に転生し、敵をバタバタ倒す!普通じゃない物語に俺は魅了された。
購入したラノベの数は200を軽く超えていた。
次はどんなお話を読もうかな。
そんなことを考えていると後ろから走ってきたサラリーマンが俺にぶつかった。
サラリーマンは見向きもしない。
俺は道路に押し出された。
トラックが迫る、避けられない!
ぶつかった。
周りでは声が聞こえる。
救急車を呼べ!だの、大変だ!って騒いでいるだけの野次馬の声とか。一番大きく聞こえたのは耳元で叫ぶトラック運転手の謝罪だ。
謝罪しても無駄ってわかるだろ。
これ、死ぬ。
ぶつかった後少し上に浮いて落ちたから。
血が大量に出てるから。
もう『オワタ\(^o^)/』ってやつですよ。
生きるのを諦めかけた瞬間、声が聞こえた。
「ふーん、随分フツーな死に方をするんだねぇ…悔しくないの?」
隣に立ってるオヤジが言ってるのか?ぶっ飛ばすぞ、おい。
まぁ…できないんだけどね……。
「君を生かしてあげよう」
何言ってるんだこいつ?
「言葉通りの意味さ」
何だそれ。この状況から見ても確実に俺は死ぬぞ?
「君は生きることができるんだ、もっと喜んだらどうだい?」
はぁ…俺は死ぬんだな。いくら生きたいからって幻聴まで聞こえるのか…。
そうして俺は……死んだ。
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んん……目の前が白い。ここが天国か、綺麗だな。
「ちょっとー!せっかく生き返らせてあげようと思ってるのに勝手に死んだとか思わないでほしいなー」
ん?誰の声だ?
「起きてる?起きてるよね?ほら、僕が話しかけてるんだから返事とかくらいしなよー」
「はぁ…うるさいな、天国にいるときくらい静かにしてくれよ」
そう言いながら俺が目を覚ますと、そこには白い服を着た金髪の青年がいた。
「誰?」
「あはははははは!僕に向かって『誰?』って言った人は君だけだよ!なんていったって僕は『神』だからねぇ」
ふーん、神ねぇ…?
腹抱えて笑ってるこいつが神なら、うちの隣に住んでる全く笑わない杉山さんは全能神だな。
「さっきからうるさく『生かしてあげる』とかいってたのはあなたですか?」
「うん、そうだよ?君があまりにもかわいそうな死に方をしたからね」
なんだ、こいつ。人の死に方に口だしやがって。
「だって、めっちゃダサかったじゃん?横断歩道に飛び出てそのまま轢かれて死ぬとかありきたりすぎるじゃん?あ、もうダメ…堪えられないぃw」
なんだ、こいつ。本当に神か?
「はぁ…よし本題に入ろう。まぁ、とりあえずここは天国じゃないよ?」
「え、マジ?じゃあ地獄ですか?」
天国じゃないのかよ!地獄に行くのは嫌だったのに……。
「んー、それも違うなぁ。ここはね、神域だよ」
「し…神域⁉︎」
「うん、ここは僕の住んでるところだから普段は僕しかいないんだけどね〜。今回は君を転生させるから君をここに呼んだんだ」
え、転生?今そういったよね……。
「俺は転生できるんですか?」
「うん!そのために呼んだんだし!」
やった!これはワクワクする!
「僕が今から君を送る世界は、君が想像しているファンタジーの設定とほぼ同じだから気にいるはずだよ。それと君の体。元の体はもう焼かれちゃってるから使えないんだ。だから、君の魂だけを転生させて一番相性のいい体に憑依するようにしておくから」
「それは、もともと中にいた人格はどうなるんですか?」
「あ〜、それは問題ないよ。君が憑依しても元々あった人格は消えないで奥の方で眠ってるだけだから」
よかった…俺のせいで一人の命が消えるのは嫌だったからな。
「じゃ、早速始めるね」
え、チート能力の説明は?
「能力はあっちの世界でわかるから、楽しみにしててね〜!」
え、ちょ、待って!
「じゃあ、頑張ってね〜!」
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どこだよ、ここ。
知らない景色……本当に俺は転生したのか………。
能力はこっちの世界でわかるっていってたよな…。俺の能力って何なんだろう?
俺TUEEEEEEEEEEE!系のやつだろ?ね?
《あなたの能力は[ステータス]と念じることで表示できます》
え、ええぇぇぇぇぇぇぇええ‼︎ガイド来た!
これマジのやつだ!
それでは早速……
「(ステータス)」
名前 鈴木 亮
種族 人間
称号 転生者 魔法創作者 学者
スキル 魔法創作 自己学習
耐性 衝撃耐性
総合MP 600
使用可能魔法 鑑識〔Lv10〕 収納〔Lv.10〕
常時MP回復 〔Lv.10〕
質問.1
わからないから、説明プリーズ!
《名前の項目は自身の名前を表示します。種族は自身の種族を表示します。称号は自身の称号を表示します。スキルは自身の使えるスキルを表示します。称号とスキルは対になっており、関連した称号とスキルを所持することでスキルを使用できます。耐性は…》
ちょっと待ってストップ!
質問.2
自己学習スキルって何ができるの?
《同族だけではなく、多種族のスキルなどを見ることでそのスキルを獲得することができます。デメリットとして1.すぐには習得できない 2.習得までの時間がスキルによって違う ということが挙げられます。このスキルは魔法創作との併用で機能します。》
まさにチートスキルだね。一応デメリットもあるみたいだけど……。
《続きを。耐性は自身の耐性を表示します。総合MPは魔法発動に必要であるMPの保有量を表示します。そして、この世界には魔法が存在します。Lv上限は20です。現在使えるのは鑑識魔法と収納魔法のみですが、自己学習スキルで魔法関連のスキルを入手すると他の魔法も使えるようになります》
じゃあ、俺の魔法はLv10だから平均ってところかなぁ。使えるのは鑑識と収納だけですか。まぁ便利だとは思うけど。
《常時MP回復はこの世界の全ての生物が持っているスキルなので別枠です。こちらもLv上限は20です。Lvが上がると回復効率が上がります。ちなみに現在の変換効率は、1秒あたり2MP回復します》
なるほどね、つまり俺のMPは5分で全回復するのか。
《現在必要な説明を終了しました。》
ふーん、なるほどな。もっと情報をくれるのかと思ってたよ。
《必要な情報は自分でお探しください。》
え?
そう思ったときにこの世界についての知識と情報が頭の中に入って来た。
こんな便利な機能あるなら最初から使ってくれよぉ……。
時間を無駄にした気しかしないよ……。
どうもお久しぶりです。今回は1話目でちょっと長めに書きました、どうでしたでしょうか?