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親と子

ギリギリ三月中に更新出来ましたー

「まじか」


 驚きの後には驚愕が存在する。


 俺は驚愕していた。


 それは神様が名前を隠していた事ではなく、


 隠していた名前が俺の知ってる神様と同じ名前だったという事にだ。


 アルテミス、神とかに詳しくない俺でさえ知ってる名前。


 ギリシャ神話に登場する月の女神だったはず。


 えっ、何、その神様が俺を異世界転生させたって事?


 そんな事を考えていた俺だったのだが、フェンリルが次に発した言葉によってその考えが全くの検討違いだったと言う事知る。


「あー、何か色々勘違いしているようだが、ルーナが知ってる神とソフィアは多分別の存在だぞ」


「えっ、そうなの」


「何故なら、ソフィアは神としては若い方だからな」


 俺はそれを聞いてまたしても驚愕した。


「神様に若いとかあるの⁈」


「あるぞー、厳密には歳と言う概念は神には無いんだが、それはあくまで歳をとらないというだけで年齢そのものは存在するんだよ」


「ヘェ〜」


「ちなみにソフィアの年齢は五百歳ってところだ」


「五百⁉︎」


 俺はその年齢に驚きの声を上げたが直ぐに冷静になった。


「一瞬驚いたけど、神様が五百歳って随分若いよな」


「その通り、ソフィアは神の世界ではまだ生まれたばかりと言ってもいい存在なのだ」


「神様ともなるとスケールが違うなー」


「だから、お主の知るアルテミスとは別の存在という事になる。お主の世界のアルテミスという存在は五百年よりももっと昔から存在していただろ?」


「確かに、俺はその手の話に詳しく無いがその神話が存在したのが五百年よりも前という事ぐらいはわかる」


 つまり、今の説明が本当ならば俺の知るアルテミスとソフィアは別の存在という事か。


「ただ、妙な偶然なのだがソフィアも月の女神なのだ」


「それはまた何とも言えない偶然だな、それで俺の名前にアルテミスも付けたのか」


「ルーナだけでも良いと思ったのだが、」


「いや、アルテミスって名前もちゃんと貰っておくよ。一応ソフィアに転生させて貰ったって事は、俺はソフィアの子供みたいなものだろ?ならちゃんと親から名前を貰わないとな」


「まぁ、それもそうか」


 俺はこの会話からある事を思いつく。


「フェンリルもソフィアから生まれたんだよな」


「その通りだ、ソフィアが神の座についた時に生み出されて以来ずっとこの世界で暮らしておる」


「そうか、じゃあフェンリルも神の子供って事だよな」


「ふむ、そういう捉え方もできるかも知れないな」


「じゃあ、フェンリルにも名前を付けないとね」


「何を言っているのだ?フェンリルという名前を貰っているぞ」


「そうじゃなくて、フェンリルって種族名何でしょ?」


「確かに種族名だが、私しか存在しないぞ」


「それでも、種族名である事には変わりないよ、ちゃんと固有の名前を持たないと俺の親で神様の子供なんだから」


「なら、フェンリル・アルテミスという事になるのか?」


「だから、フェンリルは種族名でしょ、ちゃんと名前考えるから」


そう言って俺は少し頭を捻り、考えた。

そしてある事を閃き実行する。


「クラーロ、『クラーロ・アルテミス』ってのはどうだ?」


「クラーロ、月光か」


「そう、どうかな?」


「ふむ、悪くない。ならばこの瞬間からフェンリルではなく、クラーロ・アルテミスを名乗るとしよう」


「これからよろしく、クラーロ」


「あぁ、こちらこそよろしく、ルーナ」


クラーロは知らない、俺がどんな思いでその名前を付けたのか。


それを語るのはもう少し先の話。





「しかし、クラーロなんて言葉よく知っていたな」


「いや、知らなかったよ」


クラーロは首を傾げた。


「じゃあ、何故」


「神様から貰った能力で調べたのさ」


「あー、なるほど」


 そう、俺は別にクラーロという言葉を知っていたわけではない。


 神様から貰った能力ソフィアブックにより俺はこの世界の常識や魔法、言語など様々な情報を知ることが出来るのだ。


 その能力を使い月光という意味を持つ言葉を探したというわけである。


 まさか、辞書みたいな使い方まで出来るとは思っていなかったが。


 流石、神様に貰った能力だな。


「さて、お互いに名前も決まった事だし今後の方針を決めないとな」


「とりあえず、神から貰った能力である程度把握は出来るであろうが、一応この世界の説明をしておこうか」


「そうだな、ソフィアから貰った能力は確かに凄いが完璧という訳ではないし、情報の擦り合わせは必要だろう」


 そう、ソフィアから貰った能力は知りたい事を思わないと知ることはできない。


 つまり知らない事は知る事は出来ない。


 フェンリルの事が最初から分かったのは神の最初で最後の配慮だったのだろう。


 確かに目の前の獣が神の使いと知らなかったら、真っ先に怯えて逃げていたと思うしな。


「じゃあ、この世界について説明を始めるぞ」


「頼む」






 こうして、俺は転生してから五年後、

ようやくこの世界の事を知る。

フェンリルにも名前が付きましたー

徐々に物語が動き出します。

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