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物語の始まり

第一章の始まりです。


 神様と別れて七年が経った、

あれから俺は異世界への転生に成功した。

 だが、この事を思い出したのは二年前の事だ。

 何故それまで覚えていなかったのか、

それは、時を少し遡らなければならない。


〜七年前〜


 そこは、広大な森の中、そこに日差しが指す不自然に開けた場所があった。

 そこに産まれたばかりの赤ん坊が寝ていた。


「この子が神の言っていた子供か」


 しかし、神は何をやっておるのか、事の顛末を聞いた時は呆れてものも言えなかった。


「神の使いとは言え、私が子育てをする事になるとはな」


 神の使いと名乗る者は、子供を連れて自分の領域へと運ぶ。


「そういえば、この子は記憶を保持したままこっちの世界に来たとか言っていたな」


 という事は赤ん坊でも意思疎通ぐらいは出来るのか?


 神の使いはそう思ったが、すぐにそれは無理だと理解する。


 何故なら、その子は眠りから覚め神の使いと目を合わせた瞬間、大声で泣き始めたのだ。


「ぎゃあぁぁぁぁーー」


「そんな声で泣くやつがあるか」


 そう言いつつ、神の使いは慰めようと体を譲っていた。


「しかし、記憶が残っているのなら私の顔を見たくらいで泣き出す事はないと思うのだがな」


 そして、神の使いは考える。

確かに神は記憶を保持したまま転生させるとは言っていた。

ただ、最初から保持しているとは言っていなかったと


「何かキッカケが必要なのかもしれないな」


 とりあえず、神の使いはその子を普通に育てる事を決めた。

 喋れるようになって、意思疎通ができるようになってから、記憶を思い出す方法を見つけようと。


〜五年後〜


「お母さん、これは何?」


 子供は神の使いから出ているオーラのようなものを感じてそれが何かを聞いていた。


 異世界から転生してきた子供は会話ができる程成長していたが、記憶はまだ取り戻していなかった。


「それは、魔力と呼ばれるものだよ」


「魔力?」


「魔法を使う為に必要なエネルギー見たいたものだね」


「それ、僕にもある?」


「勿論、そろそろ教えてあげてもいいかもね」


 すると、神の使いは子供の手に触れた。

その瞬間、子供から神の使いと同じようなオーラが出てきた。


「何これ?、何か変な感じがするよ?」


「どんな感じか具体的に言えるかい?」


「ぐたいてき?」


「あぁ、詳しくって意味だよ」


「何か、体の周りから水が出たり入ったりするみたいな感じがする」


「それはまた面白い表現だね」


 すると、オーラが光を放ち始めた。


「何⁈」


 神の使いが驚きの声を上げる。

そう、光が子供を包み始めたのだ。


「大丈夫かい⁉︎」


 神の使いはそう子供に呼びかけた。

だがその言葉に子供からの返事は無く、

やがて光は子供の中に入るようにして消えていった。


 そして、


「なるほどね」と


 子供がいつもと違う口調で口を開いた。


「大丈夫なのかい?」


 神の使いが心配しながらたずねる。


「大丈夫、戻っただけだから」


「戻った?」


 神の使いはその言葉を聞いて全てを察した。


「初めまして、でいいのかな?神の使いさん」


 少年が外見に見合わない口調で口を開く。


「今まで育ててきたから変な気分だけど、それでいいと思うよ、初めまして異世界の転生者よ」


 神の使いはそう答えた。


 これが、異世界からやってきた転生者と神の使いと呼ばれる者の本当の意味でのファーストコンタクトだった。


「転生というぐらいだから、赤ん坊になる覚悟はあったんだがなー」


 そう言いながら、俺は頭をかく。


「まさか、記憶を失って転生するとは思わなかったな」


「全く、神にも困ったものだ。出会った時に大泣きされて焦ったものだよ」


 そう言いながら、神の使いは頷いていた。


「ところで、神の使いさんは一応、今の俺の親って事でいいんだよな?」


「まぁそうだね」


「記憶が戻る前の俺はお母さんと呼んでいたから母って事でいいのか?」


「私に性別という概念は存在しないよ。母と呼んでいたのは、まぁ子供の本能じゃないか」


「なるほど、じゃあこれからなんて呼んだらいい?神の使いさんっていうのもなんかあれだし」


「ふむ、なら私の種族名を呼ぶがいい、と言っても私一匹しかいないがな」


 そう、神の使いは人間では無いのだ。

神の使いと言われているから当たり前かも知れないが。


「そうか、じゃあそうする」


 俺は記憶が戻ったと同時に神様から貰った能力で目の前にいる神の使いが何なのかすぐに分かった。


「これから、よろしくなフェンリル」


 そう目の前にいるのは、この世界で最も気高く美しいとされる神の使い、神獣フェンリルだった。






 そして、この出会いが


 いや、この出会いこそが


 この異世界での


 月原春水の原点。






 異世界の物語の始まり


 新たな人生の幕開け


 神の不手際で死んだ青年の新たな世界の


 物語の第一歩が踏み出された瞬間だ。


序章より文章が短いかも知れませんが、これからは大体これぐらいの長さで更新していきたいと思います。

次の更新は四月の頭になる予定です。


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