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命、そして異世界へ

最近、小説の事しか考えてない気がします。

「それでは、異世界転生の説明を始めます」


「あぁ、頼む」


 俺は、気持ちを切り替えて神様の話を聞く


「まず、月原さんには私からのお詫びとして、いくつかの特典を用意させて頂きます」


「特典?」


「まずはこれですね」


 そう言って神様は手を前に広げて出した。

すると、何も無かった手の平が光り出し、その光が収まると、一冊の本が神様の手の平に現れた。


「本?」


「この本は、ソフィアブック、知恵の本といいます」


 そう言って神様はソフィアブックを開いただが開いたページは白紙だった。

 神様が次々ページをめくっていくも全て白紙だった。

 そして神様は本を閉じる。


「何も書いてないじゃないか」


「その通り、何もしないとただの白紙の本です。でも、私が今知りたい事を思い浮かべて見ると」


 すると、神様は本を持っているだけで何もしていないのに、本が勝手に最初の一ページ目を開いた。

 そして、白紙だった一ページ目に文字が浮かび上がっていた。

浮かび上がった文字は


[魂裁定の間]

下界で死んだ魂が天国と地獄に向かう前に天国行きか地獄行きかを裁定される場所


と書かれていた。


「と、このように本を持って、わからない事、知りたい事を思い浮かべたら、その詳しい情報を教えてくれる本なのです」


「何でもわかるのか?」


「私が知っている事は全て分かります。

私が生み出した本ですから」


 俺はその言い回しを聞いて理解する。

『私が知ってる事』つまり、神様が知っている事はという事だ。世界を管理しているのだから、何でも分かるのではないか?普通はそう考える、だが、神様は何でも分かるとは言わずに、私の知っている事はと言った。

 つまり、異世界には世界の管理者である神様でさえ知らない事があるという事だ。


「なるほど、それは便利な本だな」


「そう言って貰えると選んだ甲斐があります。ですが、本を手に持って知りたい事を思い浮かべないといけないのが、この本の難点なのです。なので、この本を月原さんが異世界に転生する際に、本ではなく、月原さんが元々持っている能力として差し上げます」


「本を開いて思い浮かべるだけだろ?そんな難点と言えるほどのことでもないと思うが、、、ん?今なんて?」


「本ではなく、月原さんが異世界に転生したら元々持っている能力として差し上げますと」


「what?」


「つまり、月原さんにこの本を神の因子として差し上げますといっているのですよ」


「はぁ?」


 俺は思わず口に出してしまった。

神の因子、そんな物があるのか?

生物全てに因子があるとは言っていたが。


「そんな事が出来るのか?というか神様に因子があるのか」


「いえ、我々神は因子は持っていません。

ですが、仮にも神ですよ?それぐらいの事は出来ますとも」


「あぁ、そうですか」


 驚きよりも、俺は少し呆れてしまった。

何でもあり、とまではいかないかも知れないが、仮にも神様、出来る事の幅が広いなー


「なので、月原さんは頭に知りたい事を思い浮かべるだけで、知りたい事が分かるようになりますよ」


「そうか、本でも相当いい物だったが更に便利なものになったな」


「そう言って貰えると用意した甲斐があります。でも、いくつかの特典とさっき言ったのですが、私が思いついたお詫びはこれだけなんですよねー」


「いや、充分だと思うんですが」


 知識というのは、持っているだけで武器になる。

その知識その物みたいな能力をくれるというのだ、お詫びとしては充分すぎるだろう。


「いえ、これだけでは私の気が済みません」


と神様は頭を人差し指で抑えながら悩んでいた。


「そうだ、月原さんは何か欲しい物はありませんか?大抵な物なら用意できますよ」


「欲しい物?」


 欲しい物か、俺は少し考え思い付いた。

そして、思い付いた欲しい物を神様に言ってみる。


「⋯⋯力、自分とその周りの物を守る力が欲しいかな」


「力ですか?」


「漠然としたものですまない、でも、今、俺が欲しいと思ったものはこれなんだ」


 何で力なんかが欲しいと思ったか、それは神様から異世界の人間について話を聞いたからだ。


 異世界の人間から、全ての生物を守る事なんて出来ない。


 異世界の事情何て、俺は知らないし、どんな生物がいるのかも分からない。


でも、俺は、死んだからこそ。






命を失う辛さを知っている。






命を失う悲しみを知っている。






命を失う怖さを知っている。






命を失う痛さを知っている。






命を失う絶望を知っている。






命を失う、、、恐怖を知った。





 だからこそ、異世界の人間のしていることを聞いて、許せなかった。

同じ人間がしている事が許せなかったんだ。


「力があれば、目の前の命ぐらいは守れるだろ?」


 俺は、正義の味方ではない。人間から異世界の全ての生物を守る何て言うつもりもないしするつもりも無い。


 一人の力なんて限られている。


 それでも、俺は命の尊さを知った。


 だから、せめて目の前の命ぐらいは守りたいと、そう思ったんだ。


 神様は俺の言葉を聞いて、涙を流していた。

そして、小さな声で「ありがとう」と言った。


「分かりました。その願い確かに聞き届けましょう」


「ありがとう」


「これで、異世界転生の準備は整いました」


 そう、神様が言うと俺の周りから光の柱が立ち始めた。


「そうか、色々ありがとうな神様」


「いえ、元は私が招いた事ですので」


 バツが悪そうに神様は言う。


「それもそうだな」


「最後に言い残したことはありませんか?」


 俺はそう神様に言われずっと聞きたかった事を口にする。


「神様は名前なんて言うんだ?」


 神様は目を丸くして驚いていた。そしてすぐに笑顔になった。


「最後に言い残すことがそれですか?」


そう神様が微笑みながら聞いてきた。


「せっかく仲良くなったんだから、仲良くなった奴の名前ぐらい知っておきたいだろ、例えそれが神様であったとしても」


 そう言われた神様は嬉しそうに笑ってくれた。


 そして、名前を教えてくれた。


「ソフィア、それが私の名前です」


 そしてそれと同時に俺の魂が光に包まれた。


「またな」


 俺は最後にソフィアにそう言った。

何故かは分からないけどまた会える、そんな気がしたから。






そして月原春水は新たな世界で目を覚ます。


「この子が神の言っていた」


これで、序章は終わりです。

次はいよいよ異世界の物語が始まります。

次回の投稿は少しストックを溜めて投稿したいので三月の後半かもしくは四月の前半あたりになる予定です。


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