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もう一つの方法と人間

今回もちょっと長いかもしれないです。

「因子を取り込む方法が、もう一つ、存在するからです」


「もう一つ?でもさっき、方法は二つって言ってなかったか?」


「はい、因子の力を体に影響無く受け継ぐ方法は二つしかありません」


 俺は神様の言葉を聞いてすぐに納得した。

 影響無く受け継ぐ方法は二つしかない。

 という事は影響がある方法が存在するという事だ。


「つまり、体に影響を与えるやり方が存在するという事だな」


「⋯⋯はい、その通りです」


 神様が少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。


「因子というのは、力を使う時に髪の色が変化したり、目の色が変わったりする事はありますが、あくまでもそれは力を使っている時のみです。

 因子を持っていても、力を使っていない時は外見に変化はありません。

 ですが、それはあくまでもさっき説明した二つの方法で因子を取り込んで受け継いだ場合の話です」


「だが、そのもう一つの方法を使って因子を取り込むと、体に影響が出て外見が変化するということか?」


「その通りです」


「その方法は一体どんな方法なんだ?」


「その方法は、魔法です」


「魔法か、」


 俺は意外な答えが返って来たと思った。


「正確には、強制的に生物から因子を取り出し、埋め込む魔法が存在するという事です」


「なるほどな、その魔法を覚えてしまえば因子の力を手にする事が出来るという訳か」


「はい、ですがその魔法は因子だけを抜き取る事は難しく、遺伝子も一緒に抜き取ってしまうのです」


「なるほど、その方法は、因子を強引に取り込み、力を取り込む事が出来るが、その生物の遺伝子も取り込んでしまうということか」


「はい、例えば、人間がその魔法を使い、犬の因子を強引に取り込んだ場合、人間+犬の外見になってしまいます」


「なるほど、その外見の変化は全て同じ変化になるのか?」


「いえ、取り込む因子が同じでも、取り込んだ生物の外見の変化は、取り込んだ生物によって違います」


「例えば?」


「例えば、犬の因子を取り込んだ人間が三人いた場合、一人は犬耳が生え、一人は犬の尻尾が生え、一人は人間の鼻が犬の鼻に変わったりと、三者三様それぞれ変化は違います」


「なるほど」


「ただ、変化する外見が同じ変化の場合も当然あります」


「つまり、変化する外見は同じ因子を取り込んだとしても、多種多様であるという事だな」


「その通りです」


「そして、その魔法を使って因子を持つものが増えていったと」


「⋯⋯はい」


「もう一つ、聞いておきたいんだが、その魔法で強引に因子を取り出された生物はどうなる」


 神様はとても悲しい表情をしながら、絞り出すような声で答えた。


「命を落とします」


「そうか」


 俺は自分でも分からないが、とても悲しい気持ちになった。


 何故悲しい気持ちになったか。


 それは生物の命を力を得る為の道具としか見ていない魔法があるのを知った事。


 それも悲しい気持ちになった原因だろう。


 だが、それだけではない事を俺は自分で分かっていた。


 悲しい気持ちになった原因、その原因は


「その魔法は元々あったものか?」


「⋯⋯いえ、この魔法は最近、ここ百年で生まれたものです」


 俺はその答えに辿り着いていた。


「その魔法を生み出したのは人間か?」


 神様は頭を下げ沈黙した。この場合、沈黙=肯定である。






 そう、悲しい気持ちになった原因、それは俺が人間だからだ。


『人間は楽をする為に努力ができる生き物だ』何処かでそんな言葉を聞いた事がある。


 だが、逆に言えば、楽をする為ならどんな努力でも出来るという意味でもある。


 例え、その楽をする為の努力がどれほど非人道的な行いであったとしても。


 楽をする為ならば人間は努力をするだろう。


 人間は楽をする為に努力する。


 確かに努力する事は良い事だ。


 努力した事は必ず報われると言う。


 だが、報われてはいけない努力もある。


 してはならない努力がある。


 人間は楽をする為に努力をする。


 だが、この件に関して言うなら、人間は努力してはいけなかった。


 俺が悲しい気持ちになったのは、言うまでもなくこの魔法を作った人間と同じ、俺も人間だからだ。


 悲しい気持ちになったのは、この魔法を作ったのが人間だと自分がわかってしまったからだ。


 俺自身は、こんな事をしない自信がある。

 だが、同じ人間という種族はこの行為を行うだろうというのがわかってしまった。


 それがわかってしまったから、俺は悲しい気持ちになってしまったのだろう。


 俺は今、初めて思った。


『人間という生物は、どうしようもなく、愚かな生き物だ』


 そして、同じ人間に生まれた自分が、何よりも悲しいと思った。


 俺は、同じ人間という種族でも決してこんな愚かな生き方はしないと心に誓った。


「人間は異世界でも、元の世界でも同じ人間であると言う事を忘れないでください」


神様は俺に強く訴えかけるように言葉を発した。


俺はその言葉をしっかりと心に刻み込んだ。


「これが、人間が考え、作った。もう一つの因子を取り出す方法です」


神様はそれ以上何も言わなかった。







「とりあえず、これで因子については全てお話しました」


 神様が因子について、ここまで説明してくれたのは。異世界の現状について教える為でもあったのだろう。


「異世界の因子の事情がよくわかりました」


 そして、異世界の人間についても。


「これで、元の世界と異世界の大きな三つの違いについての説明が終わりました」


 そういえば、元の世界との大きな違いは三つとか最初に言ってたな。


「なので、次は異世界転生について説明をしていきたいと思います」


 神様がそんな事を言っていた時に俺は一つ聞きたいことがあった事を思い出す。


「あっ、ちょっと待って、その前に一つ聞きたいことがあるんだけど」


「何でしょう?」


「話の途中だったから聞けなかったんけど、『魔力』って何?」


「あっ、そういえば魔法については話しましたけど魔力については話してませんでしたね」


「魔力と言うのは魔法を使う時に必要な体内にあるエネルギーの事です」


「なるほど、魔力、つまり体内にあるエネルギーを使う事で、魔法を使う事が出来るという訳か」


「はい、その通りです」


「魔力が無いと魔法は使えないのか?」


「はい、魔力が無いと魔法使う事ができません」


「魔力はどの生物も持っているのか?」


「はい、持っている魔力の量はそれぞれ違いますが、魔力自体は全ての生物が持っています」


「なるほど、それは転生する俺も持っていると思って大丈夫なんだよな?」


「勿論です。ちゃんと魔力を持った状態で転生させますよ」


 それを聞いて俺は安心した。


「では、魔力の説明も終わった所で異世界転生に説明をしたいと思います」


 そして、神様が異世界転生についての説明を始める。

次はいよいよ異世界へ

次回更新の日は未定ですが、なるべく早く更新出来るように頑張ります。

次で序章は最後の予定です。

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