魔法を使う①
とうとう日本は春がなくなったのか。
五月の気温とは思えないぜ、暑すぎる。
俺は森を走っていた。
それはもう人間では考えられない速度で走っていた。
何故走っているか、それは、
「わっはっは、どうしたー、もっと早く逃げんと追いついてしまうぞー」
「お前が早すぎるだよー!」
そう、全力でクラーロから逃げていた。
かれこれ二時間程。
「そんなことはないぞ、これでも全力の三分の一ほどしか出しておらぬし、身体強化の魔法も使っておらぬしな」
「それでも、早すぎだろ化け物か⁈こっちは身体強化の魔法使って全力なんだぞ!」
俺はそんな愚痴を大声で叫んだ。
「わしはお主がその全力を出して息を切らさない方がよっぽど化け物じゃと思うがの」
クラーロは呆れたかのようにルーナに聞こえない声で呟いた。
そして、鬼ごっこを始めて三時間が経過した。
「よし、そこまでじゃ、休憩にするぞー」
「終わった〜、流石に疲れた」
俺は手と足を大の字に広げ、その場に仰向けで倒れる。
「身体強化の魔法、三時間は持続するようになったの」
そう言いながら、クラーロは水を差し出す。
「サンキュー、まぁ三時間ちょっとは持続するかな、それ以上使うのはまだ無理だな」
そう言いながら、ゴクゴクと水を飲む。
「まぁ、そもそも七歳で身体強化の魔法を使えること自体が凄い事じゃからの、二年前のあの時は本当に驚いたぞ」
「あぁ、あの時ね。俺もあんな事になるとは思わなかったたんだよ」
俺は二年前、魔法の使い方をクラーロに教わるはずだった。
はずだったのだが、
〜二年前〜
「確か過程と結果をイメージしてみたいな感じだったか?」
俺はクラーロから受けた魔法の説明を思い出し手を広げながらそう呟いた。
確か魔法という結果をイメージする為に魔法陣という過程をイメージするんだったか?
魔法は何となく分かるんだが、魔法陣は想像しづらいな、さてどうしたもんかね。
そんな事を考えながら俺は意識を手の平に集中していた。
すると、体の内から変な水の流れのようなものを感じた。
そしてそれが手の平に集中している事に気が付いた。
俺はそれが、記憶が戻った時に感じていたものと同じ物だと分かった。
これが魔力か、確かに不思議な力を感じるな。
「ほう、もう魔力の流れを感じ取っておるのか。すごいの」
その状況を見ていたクラーロは俺が手の平に魔力を集めた事に感心していてた。
「だが、魔法陣の変換の仕方が分かっておらぬようじゃの、まぁ、まだ教えとらんから当然なんじゃ⋯⋯が、」
そんな事を言った次の瞬間、信じられない光景が広がった。
ルーナの周りに火の玉が五個現れていた。
「あっ出来た」
俺はそう呟いた。
「お主、今一体何をしたのじゃ」
クラーロは驚きを隠せなかった。
何故なら、ルーナが使った魔法には魔法陣が無かったのだ。
魔法を使うのに必要であるはずの魔法陣が存在していなかったのだ。
「何って、魔法?」
「そんなものは見れば分かる、そうじゃなくて、何故魔法陣を使わずに魔法を使っておるのか聞いておるのじゃ」
「何でって、魔法陣は魔法を作ってから作るのものじゃないのか?」
「⋯⋯えっ⁈」
クラーロは驚愕の声を上げた。
二話更新の一話目だー
一時間後にもう一話上がります。




