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気付くはずのない真実

今月中に一章を完結出来そう。

 世の中には、気付いてはいけない真実と気付いてもいい真実というものがある。


 だが、今回ルーナが気付いた真実は気付くはずのない真実だ。


 気付いてはいけないのでは無く、気付いてもいい訳でも無い。

 気付くはずのない真実だ。


 本来、対の世界の存在は神と神の使いしか知らない事だ。

 この世界の住人もルーナが元いた世界の住人も知る事は決してない。


 何故なら、気付く要素が無いからだ。

 言い方を変えると知る事の出来る方法、干渉する方法が無いからだ。


 神で例えると分かりやすい、神はこの世界の住人にもルーナの元いた世界の住人にも存在する事が信じられている、だが、存在する事を信じていても、存在する証明はどちらの世界にもできない。

 何故なら、どちらの世界も神が本当に存在するのか知らない⋯⋯いや知る事が出来ないからだ。

 信じていても知らなければ存在する事を証明する事は出来ない。


 では何故、神が存在する事の証明が出来ないのか。

 答えは簡単、神という存在にこの世界の住人も、ルーナが元いた世界の住人も、干渉する事が出来ないからだ。


 干渉とは領域に触れるという事。


 つまり、どちらの世界の住人も神の領域に触れる事は出来ないという事だ。


 世界とは神が作ったもの、神から世界に干渉する事はあってもその逆、人間から神に干渉する事はない。いや、出来ない。

 さらに、神は世界そのものに干渉する事はほとんどない。

 あるとするならば、知識を持った生物、この世界では複数の種族、ルーナのいた世界では人間、それらが死んだ時だけである。

 魂裁定の間でのみ神は世界に干渉する。

 神の方ですら世界そのものには干渉をしないのに人間が神の存在を証明する方法などありはしないのだ。


 そう、知らなければ存在の証明をする事は出来ないのだ。

 つまり、知る事ができれば存在に気づく事が出来るということだ。


 ⋯⋯私は説明した。ルーナに、この世界の事を、対の世界の事を。


 たが、対の世界の真実は話さなかった。


 それは、知る必要の無い真実だから、気付くはずの真実だから。


 でも、ルーナは気付いた。


 知る必要の無い真実に、気付くはずの真実に。


 何故気付いたか、⋯⋯知ってるからだ。


 世界が二つ存在している事を。


 二つの世界が対の世界である事を。


 知ってるという事は存在の証明が出来るという事だ。


 この事を知っているのは私が説明したからだ。


 たが、その説明を聞いたという事は知識を身に付けたという事。


 その事について⋯⋯知った、という事だ。


 例え真実を隠して説明をしたとしても、知っているという事は気が付く事が出来るという事だ。


 だからルーナは気付いたのだ。


『意味が、結果が同じ世界』という、


 知る必要の無い真実に。


 気付くはずの真実に。


 だからこそ、神の使いであるクラーロは。


「⋯⋯お前、頭が良いとは思っていたが頭の回転も速いんじゃないのか?」


 と称賛する声を発するしか無かった。

小説を書き始めて、改めて人生について考える事が多くなりました。

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