三つの言語
更新が遅くなり申し訳ありません。
「同じであり同じで無い世界か、」
俺はその意味を微妙に理解出来ていなかった。
「そう、意味としては矛盾するがこの世界とルーナのいた世界を表現する言葉としてはこれが正しい表現なんだよ」
「矛盾している表現が正しい、ね」
「そう、むしろ対の世界においては矛盾してる事が普通なのだ」
「なるほど、だが具体的にはよく分からないな、何で言語が一緒かも分からんし」
俺は人差し指で頭を抱え首を傾げた。
「そうだな、例えばルーナのいた世界、地球には様々な言語が存在するが、この世界には三つの言語しか存在しない」
「三つ?」
「そうだ、標準語、魔法語、古代語、この世界はこの三つ言語で成り立っている。
ただし、三つの種類の言語しかないという意味ではない」
「どういう事だ?」
「魔法語と古代語はそれぞれ一つずつの言語しか存在しないが、標準語だけは一種類の言語では無く複数の言語が存在する」
「複数の言語?」
「例えば、今私達が使っている言語は標準語なのだが正確には標準語の中の一つで共通語という」
「共通語か、」
俺はその言葉に対して少し気になる事があった。
「当たり前なのかも知れないが、日本語では無いんだな」
そう、俺が、いや俺たちが使っていたのは元いた世界では日本語と呼ばれているものだった。
たが、質問をしてみたが俺は薄々理解していた。
「いや、日本語という言い方も間違ってはいないよ。正確にはルーナのいた世界では日本語と呼ばれていた言語で、この世界ではその言語は共通語と呼ばれているって感じかな」
「なるほど」
俺はこの時、クラーロが言っていた『同じであり同じで無い世界』の意味が少しだけ分かったような気がした。
「後、共通語というのはその言葉通り、この世界の共通の言葉だ。君達の世界で言う英語みたいなものかな」
「つまり、共通語を使えればとりあえずこの世界では生きていけると」
「そういう事だな、この世界にも複数の国が存在するがルーナのいた世界みたいに国によって言語が違うという事はない。
全て標準語で統一されている」
「標準語か、つまり共通語以外で成り立つ国もあると言う事か?」
「その通り、まぁ正確には共通語以外の言葉も使っている国があるが正しいがな」
「なるほど、俺のいた世界にも同じような国があるから不思議ではないな」
様々な言語が存在する国は俺のいた世界では珍しくない、日本もその一つだしな
「まぁ、基本的には共通語さえ出来ていれば問題無いという事だ」
「つまり、俺は問題無いという事だな」
「そういう事だな」
俺は少し安心した。言葉を一から覚えろと言われたら大変だしな。
「標準語については以上だな、共通語以外の言語はあまり必要ではないから必要なった際に教えようと思うのだが」
「いや、その必要はないよ」
俺がそう言うとクラーロは何故だ?という顔をしたが直ぐに納得した顔になった。
「そういえば、神から知識の塊のようなものを貰っていたな」
「そういうことだ、標準語という言葉さえ教えて貰えば調べる事が出来るからな」
そう、俺は知りたい事の言葉さえ分かれば大体の事は分かるのだ。
ソフィアブックは神が知っている事なら何でも分かる優れものだからな。
とは言っても、
「まぁ、でもこの能力の本質は情報の擦り合わせあると思うから、全ての事が分かるなんて考えは危険かもな」
「どういう事だ?」
クラーロは不思議そうに尋ねてきた。
「神が知っている全てのことが分かる、それは逆に言うと神の知らない事は分からないという事、神の知識が間違っている可能性もごく僅かだろうが存在する。要するにこの能力も百パーセント正しいとは言えないって事だよ」
「なるほどな」
クラーロは納得したように頷く。
「だから、この能力は知りたい事があっても自分で調べてから使うようにしようと思う」
この能力は確かに便利だし、凄い能力だと思う。だけどこの世界は俺にとって未知の世界、用心するに越した事はないだろう。
「確かに、少し慎重すぎるかも知れないが軽率過ぎるよりマシであろう」
「だろ?」
「まぁとりあえず標準語についてはこれで良しとしておこう、たが共通語以外の言語については、」
「あぁ、さっきは必要ないと言ったが訂正しとくよ、使う時になったら教えてくれ」
「了解した」
「では次に魔法語と、この際だ魔法についても教えよう」
「待ってました」
俺はついに元の世界にはなかった、魔法というものを詳しく知る事になる。
ようやく次回、魔法の話が始まりますよー
次の更新は日曜日になります。
その更新をもちまして五月まで準備期間とさせて頂きます。
五月の最初の週から定期更新をスタートするので
よろしくお願いします。