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初めまして、初投稿になります。
実はこの作品は習作の様なもので、今構想を練っている王道系の作品の構想が固まり次第投稿できる様にサイトになれる意味合いもあります。
そのため、この作品は見切り発車の駄作になると思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。
最近なろうでは俺TUEEE作品が多く見受けられ、それを否定はしませんがせっかくなので反抗してみようという思いから誕生した作品です。
上で述べました様に練習という意味もありますので、特に文章の改行などの読みにくさに対する批判などどんどん頂けると嬉しいです。
門田拓也は考えていた。
どうしたら、自分は周りに馴染むことができるのかを。
これは彼の下校時の習慣であった。
彼がこの習慣を始めた訳は高校入学当初に遡る。
彼は別段、他者から嫌われるような特性は持っていなかったが、その実他者から認められるような特技も持っていなかった。
そのため、入学式から二週間に渡って病欠した彼が初めて教室に赴いたときには、既に教室内のグループ構造はあらかた出来上がっていて、知人は誰一人としていなかったため、彼はなんとなく馴染めないなと思いながらも、日々の生活を送っていたのであった。
彼は基本的に、現状に満足していたわけではなかったが、特にいじめられていたわけでもなかったので不満というほどでもなかった。
まあこれから、学校の行事等もたくさんあるし、徐々に馴染んでいけばいいだろうなどと考えていたのである。
しかし、6月末に行われた学園祭を境に、彼がこの状況に危機感を覚える様になる。
最初の大きな学校行事である学園祭は、基本的にクラスで協力しあって作業をするものでありながら、学園祭の準備期間を通して彼にはほとんど作業が回って来ず、また彼自身は自ずから積極的に声をかけるような性質ではなかったが、勇気を振り絞って声をかけてみたところ、
「あれ、あなたって同じクラスの人でしたっけ?」
などという反応をされ、自身の存在感の薄さとそれまでの楽観視に辟易させられたのであった。
結局、ほとんど何にも参加できずに青春の思い出の1頁になるはずだったイベントは水が流れるかの如く過ぎ去っていったのである。
彼も一応、高校生活に対して様々な憧れを抱いていた身でもあったので、このままでは自身が高校生活を振り返って誰の記憶にも止まることができないのではないか、何の思い出も得られないのではないかと、既に自分の理想とする高校生活に限りなく赤に近い黄信号が灯っているのに気づいたのであった。
のちに振り返って、感傷に浸ることができる様な清々しい青春時代というものが幻想に記すのではないかと。
ここで冒頭に戻る。
彼は現状を打破するべく、様々な方法に考えを巡らせながら、学校から家までの短い道のりを歩く。
時には、自分の行いを省みたり、あの時こうすればよかった等と後悔したりしながら彼は帰途につくのであった。
彼は結局、認められるには小さなことからでも徳を積んで少しずつ周りに認めてもらうのがいいという結論に至った。
そして、それは真面目な彼の性格になんとなくあっている様に感じた。
そのため、最近の彼が下校時に考えているテーマは、専ら具体的にはどの様に徳を積めばいいのかということについてだった。
そして、その日も例の様に考えながら帰途を歩いていると暴走している車が視界の端に入った。
しかし、考え事をしていた彼は反応が遅れてしまう。
気づいた頃には彼の体は宙に浮いていて、そのまま壁に叩きつけられる。
こうして、彼の人生は突然の不運な出来事によって幕を閉じることとなった。
享年16歳であった。